畑のある暮らしの日記〈01〉

こんにちは。山形暮らしのreallocalライター那須ミノルです。僕は、毎日のなかでちょっとだけ余っている時間とか体力を畑作業に注ぐような感じの、スモールな農業をやっています。たとえば、市内で安く借りた畑で平日の早朝の1時間だけ土を耕すとか、種を撒くとか。休日のわずかな時間だけ草取りするとか肥料撒くとか収穫するとか。あと、週末農業を楽しんでいる人のお手伝いをさせてもらうとか。大事な収穫の季節には専業農家さんでバイトしたりとか。他人からのご厚意にけっこう甘えながらやってる、本格的ではない農業です。ここでは、そんな感じでたまに畑に立つ僕の、畑から見た山形レポートをお届けしていこうと思います。

ここの仕事納めは昨年11月下旬のことでしたから、今日はそれ以来約5ヶ月ぶりにこの畑を訪れたことになります（ここは標高が高いため雪が壁のように分厚く積もるので冬の間はクローズします）。

山形市内から車で20分ほどの高原地帯にあるこの農園は、四方をぐるりと木々に囲まれています。人の気配もほとんどない、自然豊かな場所です。小道を進み、いよいよ近づいてくる畑に目を向けると、もそもそと動いている誰かの姿が。約束の時間より早いけど、この農園の主人はもうひとりで仕事を始めてたのかなーと思いながらさらに接近すると、なんとカモシカでした。

この畑に通って3年経ちますが、カモシカに出会ったのはこれが初めてです。シシガミ様に会えたようなちょっとしたシアワセ。

さて、春を迎えたばかりの、雪が溶けて間もないであろうこの畑は閑散としていました。
本格的に雪が積もる前のうちに、ネギも大根もカブも白菜も畑の作物はすべて（根こそぎ！）収穫しきってしまっていましたから当然といえば当然です。土の上にはほぼ何もない状態。カモシカくんは何を食べていたのでしょうか。

この畑で、厳しい冬を越して命をつなぎ今も葉を伸ばしているのは玉ねぎとニンニクだけです。どちらも枯れてなくてよかったです。周りの雑草を抜きました。

ほとんど何もないこの畑にこれからの春のシーズンでゆっくりと種を撒いたり、苗を植えたりしていくことになります。その前にまずやらなければならないのは土の準備です。石灰と肥料を撒いて、土を耕します。

この畑はなかなかに広いので、鍬で（つまり自分の体で）土を耕すのにはちょっと無理がありますし、小さな耕運機でもキビシイです。なので、季節の始まりに畑全体の土を耕すような時は、近所の農家の方にお願いして、作業料をお支払いして、トラクターでやってもらいます。この農園の主人が連絡してお願いしているそうです。こうした仕事の依頼や請負の関係を築いていくのも大事なことのように思います。大きな機械を必要としない小さな農業ではありますが、機械の力を借りた方がいいことも多々あります。

農家さんにお願いしたトラクター作業はもう何日か先のことなので、今日はその前段階として自分たちで石灰と肥料を撒いておきます。苦土石灰をバケツに入れて手づかみしてバラバラと撒いていきます。そのあと、あらかじめ準備された肥料の山（これも地元で肥料を扱う方にお願いして畑に置いていってもらったもの）をスコップで削って一輪車に載せ、その一輪車を手押しして傾けて畑にまんべんなく肥料をかけていきます。最後は、それらを軽く均します。地味ながらもけっこう体力を使います。ちなみに僕は足を怪我しているので今日は見てるだけでしたけど。