蔵米だんご(ずんだ)/やまがた手土産001
やまがた手土産001
今回お持ちしましたのは、「蔵米のだんご」です。
そもそもだんごは山形市民にとってはとても馴染みの深い、ポピュラーな食べものです。お花見にだんご、芋煮会にだんご、おやつにだんご、食事にだんご、食後にだんご。どんなタイミングでもだんごを食べますし、小さな子どもからおじいちゃんおばあちゃんまでみんな大好きです。
山形の市内を歩いてみれば、和菓子専門店からお餅専門店、おだんご専門店まで、いろいろなタイプのお店でだんごが売られていることに驚かれるかもしれません。それほどに山形はだんごにアツい街なのです。
さて、そうした熱気あふれる山形だんごワールドのなかでも際立つ存在感を放つのが「蔵米のだんご」です。その特徴は、外袋の印刷を見ればわかるとおり、武田米店という「お米屋さんの」だんごであるというところでしょう。
一般的にだんごは米粉から作られるものですが、ここ蔵米のだんごはお米屋さんが作っているというだけあって、ちょっと違います。山形のおいしいお米の品種のひとつ「はえぬき」をそのまま(粉にせずに)蒸しあげて、それを潰して作りあげるという独特の製法をとりいれて製造しているのです。だからこそ、もう、見事なまでのモッチモチ。
お米屋さんならではの、お米の原料と食感へのこだわりが感じられる一品となっております。
あんこ、ごま、しょうゆなど味の種類もいろいろ揃っているなかで、私が特におすすめしたいのは枝豆をすりつぶした「ずんだ」のだんごです。
鮮やかな黄緑色の枝豆ペーストは今ではもう全国的に「ずんだ」として有名です。多くの人はそれが仙台発祥のものと認識されていることかと思いますが、齢四十を過ぎた山形生まれの私にとっては、昔から今に至るまでずっと山形ローカルなものなのです。
でも昔それは「ずんだ」という名前ではなく、みんな「ぬた」と呼んでいたと記憶しています。枝豆を「細かくすりつぶした」からそう呼んだのでしょうか。お店の方にお聞きしたところ、今でも「ぬただんご」と言って注文する方も多いのだそうです。もしかしたら地域によって呼び名が違うのかもしれません。「ずんだ」「じんだん」「ぬた」などいろいろとあるようです。
私が子供の頃は、枝豆が旬を迎える夏の時期になると、祖母が茹でた枝豆をすり鉢ですりつぶし自家製のずんだを作ってくれたものでした。ですからずんだはとても懐かしい味です。
また、枝豆もお米も山形の特産物ですから、「ずんだのだんご」は山形の素晴らしさが詰まったローカルフードなのです。
さて、そんな「蔵米の(ずんだの)だんご」。
モチモチ食感、枝豆の豊かな風味を存分にお楽しみください。
text by 那須ミノル