real local 湘南逗子に暮らす、現・空家レンジャー「加藤太一さん」 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

逗子に暮らす、現・空家レンジャー「加藤太一さん」

創造革命家

2014.08.22
逗子に暮らす、現・空家レンジャー「加藤太一さん」
加藤太一さん。取材の場にと、逗子海岸を案内してくれた。

加藤さんは逗子に住みながら、都内まで現役で通勤している会社員だ。

しかしサラリーマンのイメージからはとても考えられないくらい、パワフルな活動をしている。
代表的な活動が、2011年から行われた「浜の芸術祭」の主催者だ。(2014年は浜の問題等もあり、残念ながら中止が決定している。)

なぜ移住者の加藤さんが主催をすることになったのか。

加藤さんは会社員として大手電機メーカーでエンジニアとして働きながら、フリーでクリエイティブな活動しているという。数年前からはデザインに加えてアートに興味を持ち、創作活動の幅を広げていたときに、逗子という街に出会って住み始めた。

「逗子海岸で芸術祭を開催したい」

逗子には友人もほとんどいない状況だったが、市のイベントに参加したときに思い切って手を挙げた。
すると、そこから協力をしてくれる人がどんどん集まり、小さく始めた芸術祭が、3年目には関係者含めて数千人を集める芸術祭へと発展した。

逗子に暮らす、現・空家レンジャー「加藤太一さん」
第2回浜の芸術祭
逗子に暮らす、現・空家レンジャー「加藤太一さん」
浜の芸術祭の様子

浜の芸術祭を通して、加藤さんが感じたことがあるという。
「逗子にはクリエイティブな特技を持っている人がたくさんいて、みんな素晴らしい活動をしている。けれどもみんなバラバラに活動をしていることが多く、それで非常に苦労をしていたりする。もっとつながる場をつくれば、それぞれの特技が活かせた連携ができて、もっとすばらしいことが実現できるのではないか。」

そこから開催されたのが、『逗子30’sクリエイターズな夜』という交流会。

逗子に縁のある、30代を中心としたクリエイターが集う場としてスタートしたが、回を重ねるごとに世代や地域をこえた人たちも沢山参加してくれるので、「±(プラスマイナス)」がイベント名に追加された。

逗子30±’sクリエイターズな夜の記事はこちら

逗子に暮らす、現・空家レンジャー「加藤太一さん」
月に一度、逗子に縁のあるクリエイターが集まる

毎月開催されており、9月で第7回目を迎えるが、この場の出会いで生まれたコラボレート企画も生まれてきている。
まさに加藤さんがあの時感じた、クリエイターがつながれば、もっと発展していく。
ということが現実に起こりだしている。

加藤さんの逗子での活動はこの2つ以外にも、
逗子ステキ発見!景観フォトコンテスト』のプロデュース
夕感JUMP』の写真家としての活動
空き家施設の再生運動』などなど。
さらに都内でもデザインやものづくりの活動をしており、来年には世界進出も企んでいるそう。

逗子に暮らす、現・空家レンジャー「加藤太一さん」
それぞれの楽しそうなロゴがたくさん並ぶ!

このエネルギーが一体どこから湧き出てくるのか?
「東京で働いて疲れきっても、逗子に帰ってくると、精神的にも肉体的にもリフレッシュするんです」
逗子に引っ越してきたことによって、これだけのことができたという加藤さん。

しかし多くの都内で働くサラリーマンと同じように、加藤さんもはじめは都内に住んでいた。わざわざ通勤に時間をかけてまで、逗子に引っ越そうと思ったきっかけは何だったのか。
「就職で東京に出てきて、会社の寮に3年程住んでいました。でも都会の、’ただ寝るだけの街’に違和感を覚えて、やっぱり自然が好きだし、田舎に住みたいと思った。」
そこで、なんとなく’田舎’や’自然’という印象のある鎌倉を候補にして不動産屋で物件を探していたところ、たまたま隣の逗子を訪れることがあり、この街に一目惚れした。

逗子での心温まるエピソードとして、今でも印象に残っていることがある、と語ってくれた。

スーパーで買い物をしていたら、レジで袋が有料だった。袋を買おうとすると、後ろに並んでいた女性が「わたしの袋をあげる」と声をかけてきた。
またあるとき通りかかった家の前には「キレイなお花が咲きますように」と無料で鉢植えを配っていた。それまでの都内の暮らしでは考えられない温かみを感じたのだそう。

しかし何年間も都内へ通勤を続けていて、辛くないのか?
気になっていたので思い切って聞いてみたところ、全然辛くないという。
「逗子は始発車両があるので座って通勤できるし、寝ながら通勤ができる。2度寝の幸せが味わえるので、駅に行くのも苦にはならない(笑)」
また、急いでいるときは、グリーン車を乗り継ぎするという裏技も教えてもらった。

「自分が好きな街に住むということはとても大切なこと」と加藤さんは語る。
都内では通勤だけを優先して住むところを選んでいる人がほとんど。
逗子はこの街が好きで住んでいる人が多いから、協力し合う仲間ができやすいし、活発に動くエネルギーが湧いてくるのだそう。
ゆくゆくは自由なクリエイターとして、島暮らしがしてみたいと夢を語る加藤氏は、とっても楽しそうだった。

また今は、「逗子クリエイターズな夜」という集いもある。これから逗子に引っ越したい人も噂を聞いて参加 してくれているそう。
クリエイターといっても何か新しいことを始めたい気持ちのある人は皆クリエイターとして歓迎しており、これから移住を考えている人も、是非この交流会で仲間を作ってほしい。と加藤氏は語る。

加藤さんの描く楽しいビジョンに、共鳴されてどんどんおもしろい人々が集まる。
そしてつながることでよりエネルギーが増強されて、もっともっと逗子がおもしろくなっていくだろう。

加藤さんは、現在は「空家レンジャー」という組織を作りもくもくと活動中。今後が楽しみだ。