YIDFF2017『また一年』日本配給が決定
インターナショナル・コンペティション部門/ジュー・ションゾー監督
映像文化を推進する山形市から最新ニュース。「山形国際ドキュメンタリー映画祭2017」をきっかけに、日本での上映が決定した作品の紹介です。
山形市では「映像文化創造都市やまがた」として、長年にわたり映像文化を活かしたまちづくりを推進してきました。その代表的な活動が、1989年にスタートさせた山形国際ドキュメンタリー映画祭です。
10月31日には、山形市がユネスコ「創造都市ネットワーク」の映画分野で加盟認定されたとのニュースが舞い込んできました。
山形国際ドキュメンタリー映画祭に関連して、もうひとつニュースがあります。
2017年のインターナショナル・コンペティション部門に出品された15本のうち、もっとも話題になった作品のひとつ『また一年』(英題『Another Year』)の日本での配給権が決定しました。
中国出身でアメリカ・シカゴ在住、新進気鋭のジュー・ションゾー監督による作品。概要は以下の通りです。
中国のとある出稼ぎ労働者家庭における食卓風景を章立てにより、1年間を描き出す圧巻の180分。
長廻しの定点カメラで撮影された食卓では、家族間の歯に衣着せぬ会話がリアルタイムで展開する。
その切り取られた時間の中で、観る者は、どこにでもある日常がふとした瞬間に神秘的で美しい絵画的空間に変質するのを目撃する。
故郷の山村にある家と、出稼ぎのために都会で借りている家。その二つの家を往復しながら暮らす、三世代からなる一家。
彼らが直面している様々な問題から、極端な都市化の波と経済成長著しい中国社会の実相がほの見える、「一年」にわたる「時」の流れの記録。
ジュー・ションゾー監督はYIDFF2017を振り返り、中国と山形(日本)に親和性を感じたといいます。
「本作品を欧米の映画祭で上映した際、多くの観客が、映画に出てくる母親の祖母に対する態度と、母親の存在事態を否定しました。
しかし山形の観客は、母親の態度を理解するだけでなく、彼女の行動と言動の背景にある、一家の世話をする母親としての厳しさ、愛、そしてあたたかさを感じたと解釈したことに驚かされました。
それは、きっと日本と中国は近しい文化を持ち、家族関係においても近い価値観を共有しているのだと実感し、とても嬉しく思いました」
ジュー・ションゾー監督は「次回作でまた山形に戻って来たい」ともコメントしていました。
また、国内配給権・オールライツを獲得したサニーフィルム代表の有田浩介氏は、「映画祭期間中、ジュー・ションゾー監督と会話を重ねることで、映画だけでなく彼女自身の魅力も感じ、日本の映画ファンに彼女の作品を届けたいと強く思った」と語ります。
少し笑えて、少し泣けて、いつの間にか愛おしくなる『また一年』。映画祭で見逃した方は、劇場に足をお運びください。
上映時期や会場などの詳細は、決定次第、サニーフィルムのウェブサイトにて更新されます。
サニーフィルム ウェブサイト
https://sunnyfilmpromotionoffice.tumblr.com/