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目を奪われる緻密な鉛筆画。妻木良三展「渚にて」

東日本大震災から6年目の東北で見せる、海のむこうの常世(あの世)と、この世の境としての「渚」の風景。

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とんがりビル1階の多目的スペースKUGURUにて、和歌山県有田郡湯浅町在住の画家・妻木良三さんの個展が開催されています。緻密な鉛筆画で描きだされた、あの世とこの世の境である「渚」の風景が、近く・遠くに浮かび上がるようです。

11月23日(木・祝)には、妻木良三さん、本展キュレーター宮本武典さんによるアーティストトークをおこないます。

以下、とんがりビルウェブサイトからの転載です。

妻木良三展
「渚にて」

この夏、特急くろしおに乗って、和歌山県有田郡湯浅町にある妻木良三の画室を訪ねた。妻木は同地で400年続く浄土真宗本願寺派本勝寺の住職である。湯浅は明恵上人所縁の地であり、その奇態な細密画に、聲明の響きや補陀落渡海、熊楠の粘菌など紀伊半島の濃厚な土着を帯びたあれこれを、クレイアニメーションのように次々と連想してしまう。

画室には、妻木が湯浅の浜で拾い集めた亀の甲羅や小動物の骨が整然と並べられていた。浜辺を歩くのを日課にしているという。壁に立てかけられていた近作は、これまで彼がくりかえし描いてきた俯瞰の盆景ではなく、低い視線からうねる波のような、砂紋のような、雲海のような不穏なビジョンを捉えていた。

南紀の浜で、常世からの贈物のような漂着物を探し歩く若い僧侶。私はふと、遠野物語99話を思い起こした。明治29年の明治三陸地震津波にまつわる奇譚である。大津波で妻子を失った男が、月夜の砂浜を歩いていて、死んだはずの伴侶とすれ違う。渚は現世と常世の接点である。震災以後の東北に生きる私たちは、このような幽霊話も、妻木が描く世界も、みな空想や概念ではなく、現実の光景であり得ることを知っている。

妻木は生と死を「すやり霞」のようにつなぐ渚の描き手である。その緻密な鉛筆画は、遥か海の向こうの須弥山的想像力から、(彼が集める亀甲のように)列島に打ち上げられるメッセージのようだ。

(企画:宮本武典)

 

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妻木良三/Ryozo Tsumaki
1974年和歌山県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。1998年より鉛筆による絵画を描き始める。東京での活動の後、2008年に和歌山県湯浅町に帰郷、実家の本勝寺で僧職を務めながら研鑽を重ねる。主な個展に2009年「境景」ラディウム・レントゲンヴェルケ(東京)、2011年「ZONE」Onomachi α(和歌山)がある。また「VOCA展2006」、2007年 には目黒区美術館「線の迷宮Ⅱ-鉛筆と黒鉛の旋律」2011年「DEEP DIG DUG PRESENTS PRISMA」マキシミリアンフォーラム(ミュンヘン)等に参加。近年は写真やコラージュといった分野にも取り組み、表現の領域を広げている。1999年武蔵野美術大学卒業制作展三雲祥之助賞、平成28年度和歌山県文化表彰文化奨励賞を受賞。

 

◎ イベント

2017.11.23(木)18:00-19:30

アーティストトーク

妻木良三 × 宮本武典(キュレーター)

イベント名 妻木良三展「渚にて」
会期 2017.11.11(土)〜 12.03(日)
開廊時間 12:00~19:00(月曜定休/入場無料)
会場 KUGURU 
〒990-0042 山形県山形市七日町2丁目7-23 とんがりビル1階 ※専用駐車場はございません。近隣の有料駐車場などをご利用いただきますようお願いいたします。
企画 kanabou
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