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湘南で「くらし」を試す

マイクロステイ

湘南で「くらし」を試す
川村は特に決まった働き場所を持たない。天気の良い日は海辺が仕事場になる

湘南エリアには、移住前に実際の居住体験ができるサービスがある。平日と土日を含む1週間、一般の民家に滞在して、通勤や日々の生活を試してみることができる「マイクロステイ」だ。

代表者の川村達也は自身の移住体験からこのサービスの必要性を感じたと言う。川村は東京生まれの東京育ち、東京大好き人間だった。ところが奥さんの強い希望で湘南エリアへの引っ越しを検討するようになる。しかし大阪が地元の奥さんも当然土地勘はない。そこで最初に、漠然と海に近くて東京通勤も可能な印象のある茅ヶ崎を候補地とし、駅前のビジネスホテルに2泊して実際の通勤体験を行った。当時の川村は会計事務所に勤務していて深夜までの激務の日々だった。移住にあたっての最大のハードルは通勤だったが、実際は電車に乗り換えがないことで、会社とも自宅とも切り離された車内で過ごすまとまった時間は、思索に没頭できる貴重な時であることが分かったと言う。

しかし、ホテルの部屋では本格的な移住体験は難しいことにも気が付いた。民家のようにキッチンがないと周辺のお店で買い物をして料理をすることもできない。住宅街や近隣に住む人たちの様子を知ることもできない。特に家族で移住する場合は通勤以外に体験すべきことがもっとあって、こうした体験を求めている自分と同じような移住者予備群はたくさんいる、と思った。

その後、都心通勤圏である鎌倉駅徒歩圏の由比ガ浜に引っ越しをすることとなった。川村が意外だったのは、東京に比べて不便な湘南暮らしに奥さんが数か月で音を上げると思っていたのだが、なんと自分自身が鎌倉にハマってしまったことだった。

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その結果気が付いたら、「(鎌倉に)住んでいる人が地域をより良くし、(鎌倉に)移住する人をもっと増やしたい」という理念を共有する団体「カマコンバレー」の中核メンバーとなっていた。ここでは様々なプロジェクトを行っているが、川村は自身の経験である居住体験をより実践的なものにすべく、鎌倉山の一軒家を1週間単位で移住希望者に貸し出し、居住体験をしてもらうという企画をカマコンに提案し了承され実践した。結果は、年末の忙しい時期で短い募集期間にも関わらず満室状態であった。

川村はその後、マイクロステイ株式会社を立ち上げることとなる。まだサービス開始間もないが、鎌倉、葉山、秋谷3軒の民家でサービスを行い、すでに3ヶ月先まで予約が埋まっている状況だ。

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鎌倉市稲村ガ崎で提供中の一軒家。高台からダイナミックな海眺

実は、川村は鎌倉に移住後しばらくして勤務していた会計事務所を退職した。たまたま早期退職募集が行われたのだが、最初は退職する意思はまったくなかったという。ところが横須賀線を使った通勤の帰路、退職すべきだという結論に思い至ったのだ。通勤電車内という第三の場所でじっくりと冷静に考えた末だった。

川村はこう願望する。「突然やりたいことができた時、それに参加できない状態はいやだ。何かに縛られず、身軽で、自由でいたい。」東京を離れて、鎌倉に移住したことでこうした考え方に至ったのだ。

マイクロステイが提供していることも実はこういうことなのかもしれない。

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屋号

microstay株式会社

URL

https://microstay.net/