【長野】ロジェ/長野市 雑貨、料理、暮らし。好きをかたちに
善光寺門前界隈は、パン屋や八百屋などがある生活感漂う町と、全国から多くの参拝者が訪れる観光地の2つの側面がある。
参道にある仁王門を左に曲がって少し歩くと「ロジェ」がある。このお店にはレトロな食器や海外製の文房具、暖かい靴下や子供向けのおもちゃなど、かわいい雑貨が並んでいる。それと同じように、栗やリンゴ、山々など「長野と言えば!」で思いつくモチーフが愛らしく描かれた茶筒や御朱印帳、一筆箋などがある。
「善光寺に来られた方も手軽に買えるお土産をと思って作った、オリジナルの雑貨なんです」とオーナーの安達紘子さん。お土産の卸販売を営む家に育った安達さんは、東京で雑貨屋に勤めていたが、東日本大震災などを経て「自分のやりたいことをしたい」とUターンし、2012年にこの店を開いた。
「この魚の筆箱、学生時代に使っていたんです!」。そう嬉しそうに話すお客さんは自分用のギフトにと買い物。善光寺帰りらしい女性2人組は、長野らしい雑貨を手にとってどれにしようか悩んでいる。このお店では「生活を楽しくする雑貨」と「旅の思い出となるお土産」が同じように並んでいて、冒頭に書いたような善光寺門前らしさがぎゅっと凝縮されているのだ。
実は安達さんの夫・浩平さんは「ロジェ・ア・ターブル」という店名で料理のケータリングを行っている。「料理人の仕事は店を構えると、夜遅くまでになってしまうんです。でも長野に帰ってきて、子育ても2人でやりたいという思いがあって、彼はケータリングというスタイルを選んだんです」。自宅で美味しいお料理が食べられるケータリングサービスは、子供がいてなかなか外食ができない家庭や友達とのホームパーティーなどにも喜ばれているそう。
好きな雑貨を扱うお店を持って、夫婦2人で子育てがしやすい仕事スタイルを選んで。東京ではなく長野だから叶えられた理想のかたちなんだなぁと話をうかがっていたら、取材後にメールをいただいた。「好きなことをやれているけれど、お店を持ったことで場所に縛られているなと最近感じることがあって。人生一度きりだから自分の人生を楽しまなくては!」
そういえば取材時に、長野だけでなく旦那さんの実家の山形にも拠点があるといいな、海外にも行きたいな。そんなことを安達さんは話していた。お店が生き生きしているのは、そこにいる人がとどまらずチャーミングであり続けたいと願っているからだと思うのだ。