志賀島に吹く、新たな潮風
レンタサイクル・コミュニティスペース「シカシマサイクル」
島の魅力を外の人に知って欲しい時、一番理想なのは実際に来て肌で感じてもらうこと。そして現地の人と接し、仲良くなれればもうそれは成功と言っていいだろう。
その近道となるべき「場所」が、志賀島(しかのしま)で産声を上げた。
「シカシマサイクル」
その名の通り、レンタサイクルと、島内外の人を繋ぐカフェだ。
スポットを案内するのではなく、自転車を提供し自ら周って見つけてもらう。きっとその方が自分なりの島の魅力に出会うことができるだろう。そして、島一周にかかるのは約1時間と、いい塩梅。潮風を浴びながら、程よい疲労感とともにスポットを巡るのはなかなかオツなものではなかろうか。当然、車と違って環境にも良い。
また、近年増加する、マイバイクで来島するサイクリスト向けにメンテナンス道具や場所の提供、ドリンク割引なども行っており、門戸は広い。
そして特筆すべきは、ここを運営するのが福岡のWEB系企業、カラクリワークスだということ。ん?どっかで聞いた名前。そう、あの会社がまたやってくれたのだ。
発起人は、 同社サーカス事業部の山崎基康さん。
元々旅好きで、インドを放浪していた時のこと。情熱的なインド人と比べるとどうしても日本は元気なく感じてしまい、いずれは田舎の地域活性をしたいと考えるようになった。
そんな矢先、帰国後ふらっと寄った志賀島。1人の漁師と仲良くなり、そこから数珠つなぎ状に島民と交流が増えていく・・そうこうするうちにここの魅力にどっぷり浸かってしまったのだという。
それができたのは山崎さんの人間性に依るところは大いにあるだろうが、きっかけに恵まれたとも言える。そのきっかけを気軽に得られる場所として、ここをスタートさせた。
博多港から市営渡航船で約30分、渡船場を降りたらほぼ目の前にある。この立地とウェルカム感溢れる外観が功を奏して、早速関東など遠方からも客が訪れている。と思えば、近所のおじさんがパソコンのやり方を聞きにきたりもするから狙い通りと言えるかも知れない。
さて、実はこちら、まだまだ発展途上。
2階はちょっとしたイベントや教室ができるスペースになる。早速、11月16日には創作系ワークショップを予定しており現在急ピッチで改装中だ。そして、奥にはまだまだ手付かずの空間もあるが、どうなるかはお楽しみということで。サービス自体も進化予定で、近々海の中道のレンタサイクルと提携して乗り捨てができるような構想もあるという。
「志賀島はとにかく金印の島というイメージが根強いんですけど、それだけじゃないってことをここを通して知って頂きたいですね」と山崎さんは熱く語る。
この小さな場所がハブになることで、島の隠れた魅力が広まり、活気が生まれる。
シカシマサイクルによってその兆しが出てきたことは間違いない。