金沢市立玉川図書館
”天下の書府”金沢の図書館 vol.1
加賀藩の五代藩主・前田綱紀公は、全国各地の多種多様な工芸品と、ありとあらゆる書籍・資料を収集。天下一を誇るその蔵書から、加賀藩は「天下の書府」とまでいわれました。現在の金沢も図書館が充実しています。住む人はもちろん、訪れる人にもぜひ使ってほしい。そんな思いから、金沢の図書館シリーズをはじめます。第1弾は「金沢市立玉川図書館」です。
歴史がすごい、建築がすごい図書館
本好きはもちろん、歴史好き、建築好きにおすすめしたい金沢の図書館がここ。4館ある金沢市立の図書館で最も歴史があり、隣接する玉川公園や玉川こども図書館とともに、近隣住民、オフィスワーカーにも利用されるまちなか図書館です。昭和5年に金沢城のお堀端・大手町で開館し、昭和54年に現在の玉川町に移転しました。
ここは藩政期に加賀八家(かがはっか/加賀藩の家老8家)の長家の屋敷地があった場所で、「玉川図書館」は一般図書だけでなく郷土資料を中心とした資料を収集・保存していく保存館としての役割も担っています。併設の「近世史料館」では、郷土に関する古文書を取り扱い、前田家はもちろん、織田信長や豊臣秀吉の書状など、すっごいお宝文書も生で見ることができます。
武家屋敷跡の広大な敷地には、大正時代に「金沢市煙草製造所」として工場が建てられ、昭和47年の移転にともない、金沢市がその建物を譲り受けて「玉川図書館」「近世史料館」として再生・活用しました。
それにしても、建築がやけにカッコいいと思いませんか? それもそのはず、金沢市出身の建築家である谷口吉郎が設計・総合監修、その息子でニューヨーク近代美術館や鈴木大拙館などを手掛けた谷口吉生が設計を担当。谷口親子の最初で最後の共同作品なのです。コールテン鋼と呼ばれる錆びに強い金属と、ガラスのシンプルな外観ですが、中庭側や渡り廊下でつながった「近世史料館」はタバコ工場の赤レンガの外壁が活かされています。まさに新旧の融合と調和、いつまでも色あせない美しさがあります。
蔵書50万冊以上、雑誌150種以上!
「玉川図書館」は地下に大きな書庫を抱え、50万冊もの本を収蔵しています。小説や実用書、生活、娯楽、趣味などの一般書を中心に、1階だけで10万冊を開架。雑誌も充実、その種類は何と150以上! 大きなガラス窓から自然光が射し込む席で読むもよし、貸出し(一部を除く)もしているので自宅でじっくり読むもよし。1階だけでテーブル、ソファー席を合わせて100席以上あり、ゆったり利用できるのも特徴です。
カフェで3食、丸一日おこもりしても大丈夫
この図書館のもう一つの魅力が2階にある「ハスネカフェ」。ドリンクやスイーツだけでなく、軽食やランチも充実しています。モーニングから利用でき、日替わりランチの他にもカツカレー、鶏天丼、ミックスピザなど品数も豊富。図書館で一日中読書にふけっても食事の心配は無用、毎日だって通いたくなります。