世界に3人しかいない醤油ソムリエが、日本の食文化復活のカギを握っていた
醤油ソムリエ 大浜大地さん
突然だが、今まで何種類の醤油を家庭で味わっただろうか。
5種類、いや10種類くらい? 正直、そこまで意識したことがないという人が殆どだろう。
醤油はそれほど食生活において身近なものでもあるが、その奥深さや楽しみ方を知る人はきっと少ない。
そこで今回紹介したいのが、その伝道師となる、大浜大地さん。
日本、いや世界に3人しかいない醤油ソムリエの1人だ。
「美味しくない醤油はないんです」と語る大浜さん。なので、仕事は品評をすることではない。
人それぞれ、育った場所が違えば好みも違う。食材が持つ魅力を最大限に引き出すための醤油、これを好みに合わせてセレクトし提案するのが、醤油ソムリエという職業。
その為に大浜さんが今までテイスティングした数は約2000種類。あまりの多さに驚いたが、これでも全体の6分の1程度だというから、やはり奥が深い。
そして、ここ日本初の醤油バー「バル福萬醤油」では、その数多くのものから厳選した約300種類を取り扱う。テイスティングしながらショップでは購入、バーではランチを楽しむことができるなかなかナイスな空間。
さて、醤油を楽しむコツを聞いてみた。
「ワインと同じで、まずは香りです。醤油の違いも香りで判断しますが、それぐらい個性が出るんです。香りで食欲が湧いたりもするので、例えばスープの隠し味として使うのもお薦めですね」
ちなみに、バル福萬醤油WEBサイトのドメインは「soywine.jp」。醤油は大豆のワイン。
つまり、ワインなどのお酒と、醤油などの調味料は醸造を経て作られるので、プロセスという意味では同じということ。なるほど!
大浜さんと話していると、知識の深さに対する驚きもあるが、自分が忘れていた当たり前のことに気付かされることが多い。伝道師の必要性を強く感じた瞬間でもあった。
そういった点も含め、大浜さんが注力しているのは食育と海外への啓蒙だ。
「醤油や味噌がいかに健康に繋がるか、また美味しい食べ方などを小中学生や海外の人に伝えていきたいと思っています。子供が知らないと、次の世代にも伝わっていかないですからね」
また、”九州は甘い”など、各地域によって大きく違いがでるのも醤油の魅力。
いずれは米や日本酒などのように、千葉産、金沢産など地名で選んでもらえるようにもしていきたいのだそう。
とにかく、醤油のテイスティングなど、そうそうできるものではない。 まずはここ「バル福萬醤油」で、各地を旅するように、味を渡り歩いてみてはいかがだろうか。
普段、自分たちが何気なく口にしている発酵調味料を広めることが、徐々に欧米化する日本の食文化復活のカギを握っているのかも知れない。
だとすれば、近年ワインのソムリエが増えているように、4人目5人目と醤油ソムリエの誕生が続くことを願うばかりだ。