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「パン屋をはじめよう」レポート

建築家/神田川ベーカリー・嶋田洋平さん

3/26、山形市七日町BOTA theaterで開催されたトークイベント・BOTA MEETINGの様子をお届けします。

いいまちづくりをめざす人たちが集い話し合う場、BOTA MEETINGの「はじめようシリーズ」vol.5が開催されました。ゲストは建築家であり、〈神田川ベーカリー〉代表取締役をつとめる、嶋田洋平さんです。

会場には建築を学ぶ学生から、山形市のパン屋経営者、まちづくりに携わる人、これから飲食店をはじめる人など、多種多様な業種の人々が集まりました。

「パン屋をはじめよう」レポート

嶋田さんは建築家でありながら、建築の枠を超えた活動をしています。

建築事務所を立ち上げた後、まちづくり会社を設立し、豊島区都営荒川線の沿線上で食堂〈都電テーブル〉を経営。その後は不動産オーナーとなり、ついにはパン屋まで開業。都電沿線のまちで、職住遊が近接した、東京都心の新しいライフスタイルを実践しながら提案しています。

そのユニークな経歴から、建築、まちづくり、不動産、飲食業、農業、地域経済など、多角的な視点が盛り込まれながらトークは進みました。

「パン屋をはじめよう」レポート

嶋田さんは、やりたいビジネスに合わせて物件を借りるという一般的な流れとは違い、物件と出会い、そこでなにをしようか考えます。

豊島区高田1丁目の3階建物件との出会いをきっかけに、2〜3階を住居に、1階でパン屋を開業することになりました。

「パン屋をはじめよう」レポート
神田川ベーカリー。このエリアは学生向けの飲食店が多く、おいしいパン屋を求めていた近所のファミリー層やこだわった生活をする人たちに好評だという

今回、一番注目を集めたのはこの疑問。なぜ建築家がパン屋を始めたのか。答えはとてもシンプルでした。

「パンが好きだから」
「パン屋がある街に住みたいから」

おいしいパン屋がある街に住みたい。パン屋のある通りは雰囲気がいい。その建物は雰囲気がいいので入居したい。家賃が上がる。物件の価値も通りの価値もエリアの価値もあげられる。つまりは、パン屋をすることが、エリアデベロップメントにつながる。

まさしく建築家/まちづくりの視点からのパン屋経営です。コンテンツは自分がほしいものでいい。そこに共感してくれる人がいれば、いい循環が生まれていく。「ほしい暮らしは自分でつくる」という嶋田さんが大切にしている考え方です。

「パン屋をはじめよう」レポート
神田川ベーカリーは、ロゴやディスプレー、ショッパーなどデザインも魅力的

さらに、パン屋の運営構造にも嶋田さんの斬新な発想がありました。嶋田さんと建築事務所の社員自らがオーナーとなり、社員たちが経営までもを考えているというのです。自らリスクをとって事業をやり、ゼロから1を生み出す。そうすることで、身を以て建築以外の様々なことまでも学べるというわけです。

次に目指したのは「職人のいないパン屋」。職人の腕に依存しないよう、建築家である社員たちもシフトに入り、1週間の研修でパンが焼けるように厨房機器を整えました。設計事務所のスタッフとベーカリースタッフが力を合わせて、パンづくり、収支の計算、接客、メニューの開発まで役割を横断しながら店を運営しています。

これからの時代、専門性に縛られて働くことは困難になっていくと嶋田さんはいいます。専門性を軸に、そこから応用して広げていく視点。自分の本当にやりたいことにチャレンジしていくこと。

建築やパン屋の枠を超えて、これからの時代を生きていくヒントまでもらえた、濃密なトークイベントでした。

過去のBOTA MEETINGについては、こちらをどうぞ。


主 催:山形リノベーションまちづくり推進協議会
企画運営:山形リノベーションまちづくり推進協議会・BOTAcoffee