街中の旧ビジネスホテルを絶賛再生中!『M104』ビルオーナー/永井正彦さん
「天文館のビルオーナー」
といえば聞こえはいいが、実際は、両親が経営していたビジネスホテルを、両親が高齢になったことと、自分は歯科医師として、歯科医院を営業していたこともあり、旅館業を継がずに、建物だけを相続することになったというのが実情。
それまで、鹿児島市の中心地、天文館でいくつか営業していたホテル、旅館を閉じ、最後に残ったのが名山町にある7階建てのビジネスホテル。旅館業の権利は残したままであったが、開店休業状態を続けていた。
自らの歯科医院をビルの1Fで営業し、2Fを改装してレストランをオープンしたが、3Fから7Fは手付かず、、、という状態が続き、ビルの維持管理費や、固定資産税など、相続に関して誰もが頭を悩ます問題に直面していた。
今回は、ビルを相続して、どのように再生してきたのか、またこれから、ビルだけでなく、街やエリアに対してどのような未来を期待しているのか、ビルオーナーの永井正彦さんにお話を伺いました。
-永井さんの経歴を教えてください。
名山町生まれの名山町育ちで、親がこのエリア周辺で、いくつか旅館業を営んでいたこともあり、小さいころからずっと名山町によりそって生活しています。
現在は、名山町のこのビルを「M104 bldg.」と名付け、1Fで歯科医院を営業しています。
近隣エリアと連携して、街づくりの会をつくり、会長をつとめたこともあります。
会では、清掃活動や、すぐ近くにあるみなと大通り公園での夏祭りなど、色々なイベント活動も行っています。
-ビル再生のキッカケを教えてください。
一番は、このビルを相続するにあたり、「どうにかしてこのビルを再生しなければ」という強い危機感があったからです。
そこで、自らも2Fを改装して、カフェをオープンしたり、4Fにあるテラスを利用して、BBQのイベントをしたりなど、
色々活動していたのですが、そんな中で、鹿児島で街中の再生や、リノベーションに携わっているメンバーと知り合うことになり、
鹿児島の大学や大学院、建築系の専門学校の学生や、地元で活動しているデザイナーさんに参加していただき、このビルを題材にした
「リノベーション アイデアコンテスト」を開催することになったのです。
そのイベントでの新たな出会いが、ビル再生に進む大きなキッカケとなりました。
-なるほど。ビル再生にむけて積極的に動いていたところで、新たな出会いがあったわけですね。現状のビルの構成を教えてください。
もともとは、7F建ての鉄筋コンクリート造のビジネスホテルだったのですが、親が高齢になったこともあり、5年ほど前に、旅館業の権利はのこしたまま、ビジネスホテルとしては閉業し、建物だけ相続するという形をとりました。現在は、1Fで歯科医院を自ら営業し、2Fにはレストランや、ネイルのテナントさんが入っています。
最近は、1Fにバーと、4Fにカフェを併設したコワーキングスペースのテナントさんが、新たにオープンしています。
もともとのビジネスホテルの特性を活かし、3Fではゲストハウスを自ら営業し、5F~7Fに関しても、順次ゲストハウスとして営業予定です。
-飲食もあり、宿泊もできるちょっとした、複合施設として再生してきていますね。
歯科医院を経営しながら、ビルのオーナーとして、テナントさんの誘致や、ゲストハウスの運営、ビルの補修、改修工事など、
できるところは業者さんや職人さんと直接やり取りをして、コストを抑えながら少しづつ、ビルの再生に取り組んでいます。
建築畑でもない私が、一人で、この大きなビルを再生するのは、難しいと思っていたところ、色々なイベントを仕掛けることで、
色々なご縁を頂き、色々な方がこのビルに関わるようになりました。
-建築を専門にされているわけではないのに、積極的にビルのリノベーションに自ら関わっている姿勢に驚きを感じます。
ビル内に自分の歯科医院を開業したり、2Fでカフェをオープンする際に、色々な建築の施工業者さんと知り合うことになり、ビルの補修など自分で関われるところは、直接、職人さんとやりとりをすることで、失敗もしながらですが、少しずつ経験し、ビルの施工部分にかかわるようにしています。
中間の業者さんを挟まないことで、コストダウンにもなっています。
ビルの維持管理の面からも、建物の構造や設備的な部分の知識や経験が増えているのは、プラスだと思っています。
-「M104 bldg.」や、名山町というエリアに対してどのような未来を期待しているか、お聞かせください。
昔ながらの風情が残る名山町に、ここ数年、若いオーナーさんが色々なお店を新規オープンさせています。
今まで街づくりに関わってきた人たちが、少しづつ高齢になってきている中で、新たに若いチカラが入ってくるのは、非常に喜ばしいことだと思います。
ここ最近でも、「M104 bldg.」が面する通りに、お昼はコーヒースタンド、夜はバーとして営業しているお店や、パン屋さん、個性的なメニューを提供するラーメン屋さんなどが、新たにオープンしています。
今は、「M104 bldg.」の再生を中心に動いていますが、ビルが面している通りに「○○ストリート」として勝手にネーミングをして、通りに面して営業しているお店の皆さんと、点と点から一つの線として、何か一緒にイベントなどを仕掛けていけたらと思っています。
そのような活動が、ゆくゆくはエリアの面として広がっていく未来を期待しています。
最近のリノベーションの現場をみて感じるのは、建築屋さんが街中の遊休不動産を自らリノベーションして、自らリスクを取り、ビジネスを展開するか、
ビルのオーナーが建築の分野に入っていき、自らリノベーションの指揮をとり、自ら積極的にイベントを仕掛けるという流れがあるような気がします。
建築屋とビルのオーナー、それぞれが自らの領域を広げて、街づくりやリノベーションに関わっていく。
永井さんのビルオーナーとして、建築にも積極的に関わり、ゲストハウスなども運営し、ご自身の領域を広げているところが、非常に興味深くお話をうかがうことができました。
屋号 | Kagoshima Guest House M104 |
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URL | Kagoshima Guest House M104ホームページ |
住所 | 鹿児島市名山町10-4 |