唄うお坊さん だいもんてつじ
福井のまちのお坊さん vol.1
最近、お寺に行ったのはいつですか?
仏教が、歴史と文化に深く根付く福井県。仏教の教えや文化をそれぞれの解釈で表現し、まちをつなぐ個性的なお坊さんがたくさんいらっしゃいます。
そんなお坊さんを紹介するシリーズ、第1回目は、唄うお坊さん「だいもんてつじ」さんです。
風土が唄わせる歌がある
福井県大野市。北陸の小京都と呼ばれる碁盤目状のまち並みには、寺町というエリアがあり、9つの宗派16カ寺の寺院が並び、観光スポットにもなっています。
この寺町にある浄土宗のお寺「善導寺」。副住職のだいもんてつじさんは、自らを「唄うお坊さん」と名乗り、地域とお寺の関係をもっと身近にしようと、ギター片手にメッセージを伝えています。
仏教の面白さに気づき、大野へ戻る。
だいもんさんは大野のお寺に生まれ、大阪の大学へ進学。学生時代はバンドを組み、本気でミュージシャンを目指していました。大学卒業とともにバンド活動は収束ぎみになり、稼業を継ぐために仏教大学へと進みます。
そこで仏教の面白さを知り、卒業後、京都での1年間のフリーター生活を経て、大阪のお寺にて修行。2010年、結婚を機に大野へ戻り、善導寺の副住職として活動し始めます。
お寺って?目指すお坊さんの姿
お寺とは、先祖代々を祀り、本堂はご先祖さまがいる仏様の国を模したもの。家庭にあるお仏壇は、その本堂をミニュチュア化したもの。つまり、門をくぐればいつでもご先祖様と向き合うことのできる、とても身近な場所です。
さらに、昔のお坊さんは、遺産相続から人生相談、縁談まで地域の人と人を結ぶ役割を担い、困った時にはまちの人がお寺に集まって来ていました。お寺もお坊さんも、もっと地域の日常生活に入り込み、娯楽や、人生の価値観を提供できる存在になるべきだと、だいもんさんは考えています。
日々の修行を通して相手に伝えること
仏教の言葉に「自行(じぎょう)」と「化他(けた)」という言葉があります。自分自身の修行とその教えをもって他人への教化するという意味です。
自分自身の修行とは、普段の生活を丁寧に俯瞰してみること。人間だから喜怒哀楽はもちろんあり、その自分の状態を常に観察することが大切。この日常の気づきを、「だいもんてつじ」というお坊さんを通して、伝えたい。その表現方法が「唄う」ことでした。
「大学卒業後もずっと弾き語りを続けてました。そのことを聞いた檀家さんに、お説教の時に薦められて唄ったのがきっかけです。そしたらすごい喜んでくれて。感動した!って言ってくれて、泣いてくれる人もいました。」
(その時唄ったのが「ダイイングメッセージ」という曲。「歌にはパンチ力がある!メッセージが伝わるんや」と思ったそうです。)
大野という土地で感じることが歌になる
日々の暮らしを丁寧に見つめ、大野という土地に生まれ育ったことを大切にする。その想いは3年の年月を経て、CDアルバムとしてひとつの形になりました。
アルバムタイトルは「おばあちゃんのせなか」。以下、だいもんさんのアルバムに向けた言葉です。
「あの人の「せなか」が教えてくれた…いや、言葉にはしていなかったけど、不思議と伝わってきた想い。忘れたわけじゃないけれど、思い出すことはほとんど無かった。 田舎は僕らの中でずっと、ずっと生きていた。僕らを思い応援してくれていた。 今だからこそ、気づけて良かった、とても大切なこと。 僕らはあの頃の「せなか」から何を受け取って、何を伝えていくのだろうか?」
これは新しい故郷・大野の歌
いいフレーズが書けた時、神が降りてきた!などと表現しますが、このアルバムの曲は、大野という地に足をつけ暮らすことで湧いてくる自然な言葉や、日々感じたことがそのままメッセージとして表現されています。
親として子に、お坊さんとして地域の人に「だいもんてつじ」が伝えたい故郷の歌なのです。
今月23日、アルバムリリースを記念して、大野市でライブが行われます。お坊さんとして、大野に暮らす人としてだいもんさんが伝えたいメッセージを聞きにきてはいかがでしょうか?
==========
「おばあちゃんのせなか」リリースライブ第一弾
6/23(土)YUMEYA 18:00オープン
ゲストには津軽三味線奏者の加藤達郎(竹栄峰)氏も参戦!!
入場無料(ドリンクオーダーをお願いします)
住所 | 福井県大野市錦町4−11 |
---|---|
名称 | 善導寺 |
URL | だいもんてつじ Webサイト 善導寺 facebook |