real local 金沢リージョナル(地域性)を発信する人 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

リージョナル(地域性)を発信する人

株式会社ノエチカ/高山健太郎さん

2014.08.28

「いま注目しているのは、ローカルでも、グローバルでもなく、リージョナル(地域性)なんです。」

2014年に設立された金沢の民間まちづくり会社、株式会社「ノエチカ」の高山健太郎さんとの話はこの言葉から始まりました。

リージョナル(地域性)を発信する人
「ノエチカの屋上からの眺めが好きなんです」と高山さん。

高山さんは1982年に大阪市で生まれ、高校卒業後にニューヨークに語学留学。帰国後は、香川県の直島にある「福武財団」にて「地中美術館」や「豊島美術館」の運営・管理、「瀬戸内国際芸術祭2010」などの企画、大阪のまちづくり会社「studio-L」にて「水都大阪フェス2012」などを担当するなど、ローカルとグローバル、両方の立場から、アートやまちづくりの分野で第一線の仕事をされていました。そんな高山さんが金沢に移住したのは、仕事を通しての気付きや人との繋がりからでした。

「それまではとくに金沢と縁はなかったのですが、studio-Lにいた頃に『風の人と土の人』(*1)の話を聞いて、自分は土の人だなぁと思ったこと。そして、直島時代の上司だった『金沢21世紀美術館』の秋元館長(当時はベネッセアートサイト直島・アーティスティックディレクター)とNPO法人『趣都金澤』とノエチカの代表を務める浦さんに誘われたことが、金沢に来るきっかけでした。」

ノエチカでは現在、工芸や現代美術を中心とした展覧会やアートプロジェクト、アートツーリズムのコーディネーションの他、神社の境内でさまざまな催し物を行う「金澤宮遊」などの地域振興イベントの企画や運営を行っています。仕事は順調なようですが、金沢に来た当初は、金沢人の文化レベルの高さに驚いたそうです。

「元金沢市長の山出保さんが『京都は文化を売る町、金沢は文化を使う町』と言われていましたが、まさにその通り。例えば、金澤宮遊のオープニングイベントで演奏家を呼ぶ必要があり、当初は何気なくアマチュアの方にお願いしようと思っていましたが、金沢でそれでは駄目だと(*2)。結局、その助言を受けてプロの方にお願いし、大成功しましたが、これまで仕事をしてきた地域では考えられないことでした。」

また同じイベントで、飲食屋台を誘致する際も、食文化にこだわりのある町だけに、お祭りの模擬店レベルはNG。市内の有名飲食店に声を掛けていったそうです。

リージョナル(地域性)を発信する人
ノエチカの活動の様子。

アートツーリズムでは、地元の芸術愛好家と市内の美術館やギャラリーを巡ったり、金沢21世紀美術館を目当てに来る外国人富裕層に作家のアトリエ訪問や伝統文化体験などの特別なプログラムをつくったりと、アートとまちづくりを繋げる活動を日々されています。

最後に、今後、ノエチカで行っていきたいことを伺いました。

「ひとつは、金沢は工芸のレベルが高い町ですが、トップレベルの作家の作品を常設で展示し、購入できるスペースが無いため、そういった場所を作りたいです。もうひとつは、2013年に開催した『第2回金沢・世界工芸トリエンナーレ』を台湾で巡回させたように、アートや工芸の展覧会を海外に巡回させたり、逆にそれを機に金沢に来ていただいたりして、食や町並みなど、観光と文化を共存させた、日本だけでなく、世界に通ずる金沢のリージョナリティを発信できればと思っています。」

リージョナル(地域性)を発信する人
世界工芸トリエンナーレのカタログ。左が台湾版、右が金沢版。

ローカルとグローバルな仕事から、金沢でのリージョナルな仕事へと。高山さんが関わるノエチカの活動からは、今後も目が離せません。

*1:その土地に新鮮な空気を送り、新しい種を運んでくるのが風の人、その土地に根を張って実を成らせるのが土の人。
*2:日本初のプロの室内オーケストラ「オーケストラ・アンサンブル金沢(1988年〜)」があり、2008年からは世界的音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ金沢」が毎年開催されているなど、クラシック音楽に触れる機会が多い。

屋号

株式会社ノエチカ(Noetica, Inc)

URL

http://noetica.co.jp/

住所

石川県金沢市下本多町六番丁40-1 3階

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