能登の小さな島旅【後編】〜「島宿せがわ」で冬の味覚・タラと能登島の酒を堪能〜
能登半島の東岸、天然の生簀と称される富山湾に面した内浦は、豊かな水産資源に恵まれています。比較的波も穏やかで、沿岸には漁港も多く、ブリの定置網漁、牡蠣・海苔の養殖なども盛ん。フグも日本一の漁獲量を誇ります。冬の能登島周辺ではブリ、牡蠣が特に有名ですが、タラ(鱈)も日常的によく食べるそう。
プリプリの身、真子・白子だけでなく、エラや内蔵まで捨てるところなく丸ごと1尾を様々な調理法で食べるのが島の定番。2月に漁師が一年の豊漁と安全を祈願する「起舟」のお祝いでも、漁師の親方の家で「起舟御膳」としてタラのフルコースが振舞われるとか。
「島宿せがわ」のタラ料理×「純米 能登島」
この日の宿は「純米 能登島」の奉納が行われた「伊夜比咩神社」の前にある民宿「島宿せがわ」。ご主人はアマチュア相撲で活躍し、宿の玄関には「唐戸山神事相撲」に出場した際の凛々しい化粧まわし姿の写真が飾られている。少年相撲の指導を長年やっていて、「地元出身の遠藤や輝も、子供の頃からよく知ってますよ」と満面の笑顔。
「純米 能登島」奉納の様子はコチラ >> 能登の小さな島旅【前編】 〜能登島で「純米 能登島」の新酒を味わう〜
夕食のメニューはご主人自慢のちゃんこ風タラ鍋を中心に、タラのあらゆる部位を使って丸ごと味わうフルコース。広間でタラの解体ショーが行われ、賑やかに宴が始まりました。
初対面のツアー参加者もこの頃にはすっかり打ち解けて、鍋奉行を買って出る人がいたり、互いに酒を酌み交わしながら会話も弾んでいました。乾杯のお酒は関係者しか入手できない非売品の生酒タイプの「純米 能登島 生」です!
タラ鍋は他の具材を入れる前に、真子(たら子)だけを出汁に投入。火が通ってくると、ひらひらとボタンの花のように開き始める。こちらをまず頂いてから、鍋の中にタラの身やアラを投入し、野菜、キノコなどの具と煮ていきます。
普段は食べたことのないタラの胃袋やエラなどを土地の食べ方や、ご主人オリジナルのアレンジでいただいたフルコース。品数豊富でボリューム満点。これぞまさに、タラフク(鱈腹)!でした。
宴会の後は民宿内のミニバーに移動して、ご主人や奥さんと話しながらお酒を飲む時間も実に豊か。「昔は島外への交通手段は舟だけで、島の人は自分たちで作った米や野菜を食べて自給自足してたんですよ。島内に魚屋がないので魚は漁師から直に。だから今も民宿で使う魚は漁師から直接仕入れ。子供の頃は肉が貴重品で、魚ですき焼きをしていた」なんていう、島暮らしの逸話を聞けるのもアットホームな民宿ならでは。
翌朝は胃に優しい和朝食。今がシーズンの「ナガラモ(アカモク)」のお味噌汁が美味。トロ〜リと独特の粘りがあり、シャキシャキした食感も大好き。1〜2月頃に茎が切れて海面を漂って流れて来たものを食べるので、この辺ではナガラモ(流れ藻)と呼び、味噌汁に入れたり、ご飯にかけたり、天ぷらにしても美味しい。
「島宿せがわ」の温かいおもてなしに、旅の醍醐味は人との触れ合いだな、とつくづく感じた島の旅。1日のんびり島で過ごすのもいいし、能登島を拠点に能登半島を周るのもいい。能登島って結構いいかも。また色々な季節に訪れてみたいな。
名称 | 島宿せがわ |
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URL | |
住所 | 石川県七尾市能登島向田町118-1-1 |
TEL | 0767-84-1022 |
料金 | 1泊2食付き 9,000円(税別)〜 タラづくしプラン 1泊2食付き 12,000円(税別)※2名様から、1〜2月限定 宿泊・ランチプラン各種あり |