鎌倉の音楽好きが集う大人の秘密基地「univibe」
鎌倉駅には表と裏がある。東口には鶴岡八幡宮が鎮座するから表駅、とはわざわざ呼ばないが、反対の西口のことはあえて「裏駅」と呼ぶ。所在地を伝える際によく使うのだが、鎌倉R不動産のある場所は「裏駅から御成通りに入ってちょっと行ったところ」などと説明する。
この「裏駅から御成通りに入って、もうちょっと行ったところ」に、隠れ家的なバーがある。1人でも行けるし、10人ぐらいのグループでも行けるし、イベントがある時には100人以上集まる、そんな鎌倉のローカルが愛するお店「univibe(ユニヴァイブ)」をご紹介する。
御成通りに面した入口は、いきなり20段の階段になっている。木製の階段をトントンと上ると、そこは店というより誰かの家に遊びに来たような、座り心地の良さそうなソファが並んでいる。照明は目に優しい暗さで、壁やランプの灯りをたよりに中へ進んでいくと、奥にあるカウンターから店主の松岡さんが迎えてくれた。どうやら階段の音はドアベルの役目も兼ねているようだ。 「来てくれたお客さんにちゃんと挨拶したい。店のカウンターが奥にあるから、誰か来ても気づくように、音でわかるようにね」
忙しくても常にアンテナを張って店全体に意識を向けている松岡さん。でもラフなシャツにスニーカー姿の松岡さんは、実にゆったりといつも肩の力を抜いているように見えて、店主なのかお客さんなのかわからないくらい自然体だ。だから常連客は松岡さんではなく愛称の「まっちゃん」と呼ぶ。
店のつくりはちょっと変わっている。細長く奥に向かって扇形に広がる形で、奥にバーカウンター、そして広い店内にはアンティークソファがたくさん並んでいて、1人で来ても、グループで来ても対応できるようになっている。
松岡さんにお店の名前の由来を伺った。
「音楽好きな人からは、ジミヘンが使っていたエフェクターの名前『univibe』から名付けたの?って聞かれるけど、昔カリフォルニアのバークレーに住んでてね、よく通った近所の楽器屋の名前が『univibe』だったのと、uni=ひとつの、vibe=雰囲気とか気持ちを表す言葉の組み合わせがすごくいいなと思って。みんなのvibesがひとつになるって感じでね」
店の中は真空管アンプから透明感のある音が流れる。ギタリストでもある松岡さんの選曲はぜひ聞いてほしい。ジャンルを問わず、音楽の楽しみを教えてくれる。
鎌倉は音楽好きな人が多い。カウンターで飲みながら熱く語り合ったり、いきなりギターのセッションが始まったりすることもしばしば。奥の壁には松岡さんのギターコレクションがずらりと並んでいる。そして音響も手がける松岡さんの音作りに惚れ込んだミュージシャンが、自らオファーしてくることもあるそうで、時折ライブも行う。
ライブのある日は人が続々と集まってくる。ライブ会場がなじみの顔で埋め尽くされるというのも、地元ならではの嬉しい光景である。ここに来れば会える、ここで楽しんでいると自然にみんな友達になってしまう、そんな居心地の良さが「univibe」にはある。
「univibe」には自由な空気が満ちている。仕事帰りの1杯を飲みに来る人、ウォーキングの途中で寄る人、ひとりトランプをする人、寝てる人、本を読む人、ギターを弾く人、それぞれ自由なスタイルで、好きな席に座っている。お酒が飲めなくても、ここにやってくる。そして「まっちゃん」と話しながら、自由にくつろいでいる。家でも仕事場でもないどこか、遊び心を抱き続ける大人たちが集まれる秘密基地、それが「univibe」なのだ。
名称 | univibe(ユニヴァイブ) |
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業種 | cafe&bar |
URL | |
住所 | 鎌倉市御成町7-13-2F |
TEL | 0467-67-8458 |
営業時間 | ランチタイム 11:00~15:00 バータイム 18:00~ |
アクセス | JR横須賀線「鎌倉」駅・西口徒歩4分 |