「アオハル漫画」の舞台に七尾。SNSで人気に。

4人に1人が不眠症といわれる日本で、不眠症患者の若年化が進んでいます。そんな不眠症に悩む男女の高校生が織りなす青春漫画「君は放課後インソムニア」が小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載されています。

舞台は能登半島・七尾市。今年3月には「まちの顔」ともいえる駅前のビルが閉鎖の危機に陥り、全国ニュースにもなり、市内は暗い雰囲気が漂っていました。そんな中、この駅前がスピリッツのセンターカラーに描かれ、市内には「これをきっかけに町おこしできないか」と期待が高まっています。

発端は、七尾のまちなかで喫茶店を営むマスター窪丈雄さん。長年、スピリッツの愛読者で、駅前を描いたページをＳＮＳに投稿し、「いいね」の数はどんどん伸びて拡散されました。

七尾の活性化を目指す住民団体「七尾まちあるき」の代表でもある窪さんは、漫画に描かれた場所と実際の写真を並べた投稿を継続していて、「漫画で取り上げてもらうことで、聖地巡礼のように地元の人、そうでない人が七尾を歩くようになってほしい。それがまちの活気につながる」と話します。

主人公は高校1年生の男子、中見丸太。寝不足からくるいらいらで女子からは不人気。文化祭準備の場面から物語が始まります。

女子生徒にこき使われて、ふと見つけたのが天文台。亡くなった生徒の幽霊が出るとの噂があり、倉庫になっているこの場所に入るとクラスメイトの女の子、曲伊咲が寝ていました。彼女も中見と同じで不眠症に悩んでいて、時間を見つけては天文台で仮眠する学校生活を送っていました。幽霊が出る噂も彼女が流したもので、二人は天文台で仮眠をとる、という秘密を共有していきます。

コミックス１巻が９月に発売され、石川県内の書店では原画コピーが貼られてフェアが開かれていました。

よいニュースに少し浮き足立った七尾市民ですが、「なぜ、またこんな田舎に…？」の疑問が。

小学館週刊ビッグコミックスピリッツ編集部に問い合わせ、作家である女性漫画家、オジロマコトさん（代表作に「富士山さんは思春期」「猫のお寺の知恩さん」）にインタビューしました。

Ａ. 旅行で能登を訪れた際、天文台がある建物が目に入りました。ちょうど、不眠症に悩む高校生の物語を考えており、その建物が七尾高校ということを知ってインスピレーションを受け、物語の構想を思いつきました。

Ａ.　海があり、商店街や病院がコンパクトに集まっている。七尾湾や能登島が美しく、この作品の舞台として魅力的だと思いました。2017年9月に初めて能登を訪れてから、これまでに何度か、取材で足を運び、その度に数日滞在しています。

Ｑ.　石川県内、七尾市以外の市町村が登場する可能性もございますか？
Ａ.　七尾市を中心に、羽咋市の千里浜や、能登町の恋路海岸、珠洲市の見附島などは取材で足を運びました。金沢や奥能登の方も回っていますので、いずれ出てくることがあるかもしれません。
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7月13、14日、七尾市全体を挙げての祭り「七尾港まつり」が行われました。この日、オジロさんは担当編集者さんと取材で七尾を訪れていました。市民２千人が浴衣を着て、御祓川沿いを踊り流す「総踊り」を撮影したオジロさんは「いろいろな地域からこんなに沢山一カ所に集まって踊って、学生や企業チームもいて、独特な祭りですね、おもしろい」と楽しまれていました。

物語には今後、金沢駅や千里浜など石川県内の名所が描かれる予定になっているそうです。この漫画がきっかけのイベントの話もあり、七尾にさらに明るい話題をもたらしてくれることを期待します。

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「アオハル漫画」の舞台に七尾。SNSで人気に。

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