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DiscoveRe-FUKUI 2019 最終プレゼンレポート。福井で見たい景色は、自分で作る

2020.01.16

DiscoveRe-FUKUI 2019 最終プレゼンレポート。福井で見たい景色は、自分で作る

たった一人という点が動き出し、点と点同士がぶつかり合って火花を散らすと、化学変化が起きる。「まちづくり」というワードは、なんだか生真面目で自分のことじゃないような気持ちになるのだけど、その火花を散らすことができるのは、誰でもない自分。

2018年に始まった実践型リノベーションまちづくり講座「DiscoveRe-FUKUI」。それは、個性的な点と点が福井という小さなまちに集まって、今出し得る知とアイデアで新しい化学変化で見たことのない一滴を生み出そうという時間です。

今回は行政からの支援を利用せずに、クラウドファンディングによって運営費を集めての実施。だからこそ、運営する人はもちろん、クラウドファンディングで支援した人、その動きを気になっていた人が磁石に向かう砂鉄のように集まりました。

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会場の響のホールには多くの聴講者が駆けつけました。このホールも再開発によって取り壊される予定になっています。

2019年9月7日から実施されたこのスクールは、少しずつ密度を上げながら熱気を帯びてゆき、全6日の講座を終えた11月4日の祝日にまさに再開発エリアとして指定されているビル内にある響のホールにて最終プレゼン講評会が開催されました。

会場には各対象物件のオーナーさんはじめ、今回はどんなアイデアが聞けるのか?と期待に満ちた参加者からは湯気が立ちそうな雰囲気でした。

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自分がこの福井で見たい景色は、自分で作る!!

リノベーションコースの講座に参加したメンバーは15人。福井駅から徒歩10分圏内にある3つの対象物件に対して各チームに分かれ、まちあるきやデータの読み方、事業計画の立て方など、座学やグループワーク、フィールドワークなどを通じて2ヶ月間学びました。

さらに、今回から初めてメディアコースも新設され、のべ5人の方がインタビューや講座の様子のレポートに挑戦しました。

参加者は福井出身在住者以外に、地縁のない県外からの参加者も。学生、会社員、主婦、事業主などなど多様なバックグラウンドの人々が、「福井のまちをおもしろくしたい」「自分の力で挑戦してみたい」という思いを胸にまちへダイブし、自分なりの宝の地図を作り出しました。

まずは3チームが徹夜で挑んだプレゼンの内容を、ぜひご覧ください!(動画もぜひ!)

* * *

1.チームガス

<物件概要>
福井市の都市ガス事業の民間譲渡に伴い、福井市役所から徒歩1分の場所にある「福井市企業局」の庁舎の1階が空きテナントに。元々、ガス設備のショールームとして使われていたためキッチンの設備が整っている。

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リノベーション対象物件の目の前にある中央公園を含めて事業化する「Minniwa」を提案。
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都市型音楽フェス「ONE PARK FESTIVAL」も記憶に新しい中央公園が、もっと日常的に開けた場所になる。写真中央奥にあるビルの1階が対象物件。

「チームガス」は、キッチン設備が整っている物件であることと、目の前に中央公園が広がっている立地条件を活かして、「Minniwa(ミンニワ)」を提案。これは、何も用意せず手ぶらで来ても美味しいご飯が食べれて公園で遊べるものもレンタルできる拠点となるという事業です。

実は、前日のプレゼンまで講師から「ワクワク感がない」などボロボロに突っ込まれ、かなり手厳しい言葉をもらっていたチームガス。一夜明けて絞り出された「彼女と手をつないで公園に遊びに行きたい!」という吉田さんの言葉は、まちが自分事となった瞬間でした。

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チームガスのメンバーとアドバイザーの景山直江さん(アーチザンパートナーズ・デザインコンサルタント)

講評では、馬場正尊さん(OpenA・建築家)から「拡大解釈をして『みんなのキッチン』として考えれば、もっと自由に広く使うことができるだろう」というアドバイスが。行政との連携を伴うことで、これからさらなる可能性も感じられる提案となりました。

2.チームオコゼ

<物件概要>
福井駅から徒歩7分ほどの場所にある、元布地専門店だった空き物件。福井駅の目の前を走る中央大通り沿いに建つ。「チームガス」の物件からも近い位置にある。

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「衣」をテーマとする事業のため、徹夜明けにもかかわらずこの衣装でやりたい!と、メンバー自らが着物をコーディネートしてプレゼンに臨んだ。HAI studioの浅野さんによる手作り羽織もこの日のためのもの。
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デザイナーの卵と端切を提供してくれる企業とのコラボ作品が飾る空間。

福井は繊維産業が全国でも盛んな地域で、「呉服屋の数が日本一」という事実に驚き(佐藤はこのプレゼンで初めて知りました)。かつて商業の中心だった福井駅前には、おしゃれの最先端を知ることができる店や布地屋さんが並んでいましたが、現在はそういったお店が数少なくなっています。

チームオコゼでは、福井の繊維産業を感じられる拠点として「Re ギルド Ayanasu(アヤナス)」を提案。これは、福井の繊維会社との連携によって不要な端切を使い、デザイナーの卵たちと共に付加価値をのったオリジナルプロダクトを作ったり、展示したりする場所です。

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たった二人のチームとなったチームオコゼとアドバイザーの清水さん(写真左)

今回の参加チームの中で最も紆余曲折あったチームオコゼ。途中から仕事の都合で参加できないメンバーが出てきてしまい、逆境に立たされたチームオコゼの二人のプレゼンは崖っぷち感があって勢いがありました。

たった10分に込められた発表には強い思いを超えて「意志」が感じられ、すぐにでも事業に起こしてほしい!と会場の聴講者の興味をグッと引きつけました。「10万円以上出資したい人はいませんか?」との声に、なんと両手を挙げて答える人も会場に出現!

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大号泣する清水先生・・・。

アドバイザーの清水俊貴さん(福井工業大学准教授・建築家)が感極まって涙をこぼし、私ももらい泣きしそうに・・・

3.ヨシダ組

<物件概要>
福井のまちなかを流れる一級河川「足羽川」にかかる「幸橋」の北詰の一角にある、老舗果物店である「フルーツのヨシダ」が所有する空きテナント。約15坪で2階ながらもグランドフロアに近く、足羽川や足羽などの眺望が素晴らしい物件。

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福井のまちなかを流れる足羽川の土手を利用してファーマーズマーケットを中心とした「摘むテラス」を開き、人が集まる場所を作る。
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「摘むテラス」のプレゼンには八百屋に扮したメンバーが登場!

果物店が所有する物件ということに加え、足羽川の河川敷を活かした事業をと提案されたのが「摘むテラス」。

廃棄されてしまう野菜や果物を活用しながら、空きテナントを使ったバルの運営や、週末に河川敷を使ったファーマーズマーケットの開催を通じて、足羽川とまちなかとの人の流れを作ります。

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ヨシダ組のみなさんとアドバイザーの丸山晴之さん(ヒャッカ・建築家)。

講師の石田竜一さん(テナワン・不動産業)からは「まちなかの市場だと思えば、素材を買う人もいれば、それを利用する飲食店も出てくると思う」との声。また、ゲスト講師の嶋田洋平さん(らいおん建築事務所・建築家)からは「いきなり大きく始めるより、一つの屋台から初めて平日も開けながら実験を繰り返すと良い」という実践的なアドバイスもあがりました。

またヨシダ組は、チームの中の学生が事業を引っ張っていくと手を挙げました。研究室の担当教授で、チームオコゼの担当でもあった清水先生が「それを卒業研究にしてもOK!!」と太鼓判。

こうして、その場で既存の方法や価値観がライブで変化していく様子を体感すると、自分たちにも何かできるのではないか?!と自然とこちらの思考も変化していくことが、このディスカバリー福井に触れる醍醐味なのかもしれません。

4.メディアチーム

今回から新設された「メディアコース」では、まちづくりは拠点づくりなどのプレイヤーとそれを伝えるプレイヤーの両輪が必要!とメディア発信の大切さを理解しながら、どう相手に伝えていくかを学びました。

講師の安田洋平さん(アンテナ・編集者)の「まちの動きを傍観しているのではなく、実際にそばで肌に感じてみると、その熱にあてられてこちらも体温が上がる。そういった気持ちが自然と文章に出てくる」という言葉に、まずは何よりも現場を感じることの大切さを学びました。

1日のみの参加者であっても、まちづくりの現場を目の当たりにした時の気持ちを、まずは表現し、伝えること。real localを使ったレポートアップなどメディアコース側でも動きはじめました。

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メディアコースの講師としてディスカバリー福井と伴走した安田洋平さん。現場の空気を感じながら、real local上で特設ページを作ろう!という新しい動きが飛び出しました。
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まちや人の様相を書き、伝えることも必要!とメディアコース受講生の山本さんと。(福井商工会議所で広報を担当しているそうです!)これからもしかするとreallocalでライターとして登場するかも?

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参加者には「ディスカバリー福井」の修了証書が授与されました。

3つのチームからそれぞれのアイデアが生まれましたが、どれも一つの拠点を軸に外へはみ出し、「公共の場所とどう変化させ、人々が交わるか」が重要なポイントになっていました。

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講評会の後はスペシャルゲストの嶋田さんとパネリストの馬場さん、後藤さん、そしてコーディネーターの小津さんによる「まちづくりシンポジウム」で、これからの福井のまちについて様々な意見が交わされました。

ただ物件をかっこよくしたり、魅力的なソフトコンテンツを入れたりするだけではなく、少し視点を広く構えて置かれている環境を観察することで、どんな人の流れが生み出せるか?を考えるのも重要だということに気づかされる講評会でした。

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眉間にしわを寄せながら、アイデアを絞り出して未来のことを考えた時間も糧になる。2015年に行われたリノベスクールで始まったクマゴローカフェを会場にした打ち上げパーティーでは、プレゼンを終えた参加者のみなさんからは清々しい笑顔が見えました。

今後の参加メンバーの活動にも注目しながら、次の動きにも期待が高まります!そして、また来年も続きますように・・・

>>9月の様子はこちら

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URL

https://www.facebook.com/renovation.fukui/