榮玉堂 どら焼き/やまがた手土産013
今回お持ちしましたのは、「榮玉堂のどら焼き」です。
かつてこれを持参して訪ねていった友人たちのうち誰ひとりとして喜ばなかった者がない、という圧倒的なチカラをもつというシロモノ。山形の手土産界のてっぺんのひとつ、と言っても過言ではないでしょう。みんな大好き榮玉堂、みんな大好きしっとりどら焼き。この愛され方、尋常じゃありません。
オーセンティックなどら焼きはもちろん、ものすごくたくさんの種類の味わいを楽しめるのがなんといってもうれしい。生クリーム、抹茶生クリーム、モンブラン、カマンベール、生チョコといった定番ラインナップに加え、イチゴやモモなど季節限定のモノたちがショーケースにブワッと並んでいます。店舗に買いに行くたびに「え〜、どーしよ〜」とかなんとか言ってセレクトに迷い悩むそのとき、選ぶよろこびもまた味わっている気がします。
私の友人のひとりは「やっぱりふつうのどら焼きがテッパン」という揺るぎのない信念にもとづいて一本気なチョイスを貫きます。また別の友人は「モンブランとカマンベールが最高」と言い、そのふたつを柱にチョイスを楽しみます。私はと言えば生チョコが気に入ってます。もはや洋菓子とかケーキに近い感じすらして、どら焼きを超えてしまったような気もするけど、それもまたド直球においしいんです。
とある資料によると、榮玉堂は江戸末期創業という歴史ある菓子店とのことなのですが、正直なところ、生まれ育った山形市を1990年代半ばに離れて2005年ごろに再び舞い戻った私にとっては、その不在の間にいつのまにかできていたどら焼きの名店、みたいな印象のあるお店です。つまり子どもの頃の記憶や思い出はなかったけれど、大人になったある日の山形に揺るぎないどら焼き専門店として突如存在していた、ような感じと言いますか…。
パッケージを見れば、原材料がとてもシンプルであることがわかります。このシンプルさから、これだけのおいしさをクリエイションしていることを思うと、その素晴らしい仕事ぶりに心打たれます。さらに、ひとつのお値段がだいたい170円前後と、とてもリーズナブルなのがまたうれしいところです。耳をすませば「このどら焼きとともに過ごすティータイムのなんと幸せなことよ」という山形市民の心の声があらゆる家々から聞こえてきそうな午後3時。さあ、今日もいただきましょう。
reallocal山形ライター 那須ミノル
※シリーズ「やまがた手土産」は山形市在住のライター那須ミノルがじぶんの価値観に従ってセレクトした手土産たちの素敵なところを勝手にご紹介していくコーナーです。
photo by 根岸功