老舗紅茶専門店のゴールデンドロップ Tea Saloon MUSICA – 芦屋の横顔 vol.1 –
2019年秋に再び人の営みを取り戻した芦屋の石造り団地「旧宮塚町住宅」。そこに入居したテナントの紹介を通して、いわゆる住宅街というイメージとはまた違う「芦屋の横顔」を探るシリーズの第1弾。
紅茶本来の味と香りを楽しめる「香りづけされていない紅茶葉」だけを取り扱う老舗紅茶専門店 MUSICA TEAが、旧宮塚町住宅でファン待望の喫茶営業を再開した。
MUSICA TEAには、独自ルートでインド・スリランカ等の産地から仕入れた茶葉の卸売・小売部門と、仕入れた茶葉の味と香りを軽食とともに味わえる喫茶部門があり、喫茶部門は2013年に大阪・堂島の店舗を閉店してから実に6年ぶりの再開だったという。
古い建物と名店の集積
聞くところによると、MUSICA TEAの創業は1952年で喫茶部門を閉店する2013年までの61年間は、数回の移転はあったもののずっと大阪・堂島エリアに店舗を構えていたとのこと。現店主・堀江勇真さんが、祖父の代からの歴史が詰まった堂島を離れることを決めた理由は、「堂島の雰囲気が変わってきたから」という肌感覚だったそうだ。
もともと古い建物好きの堀江さんは、ビンテージビルの立ち並ぶ堂島の落ち着いた雰囲気が好きだったが、近年はその風景も変わりつつあり、それにともなって街を歩く人の様子も変わっていったという。そしてついに、2013年に当時堂島にあった全ての店舗を閉店し、卸・小売部門のみを住まいのあった芦屋に移転。
古い建物好きということで、住まいから店舗へ向かう道すがらにある旧宮塚町住宅の存在は知っていて、その前を通るたびに「もったいないから使えばいいのに。カフェでもできないものか」と考えていたところ、入居募集の話を聞きつけて手を挙げた。
また、宮塚町周辺にはぽつりぽつりと名店が存在し、評判の良い飲食店・食物販店が集積してきているのも決め手のひとつ。堀江さんは「旧宮塚町住宅に入居されているクラフトメーカーの方たちと一緒に、このエリアの魅力向上に役立てたら」と言う。
このエリアを訪れる人にとって、足を休めつつゆっくりと紅茶を楽しめる場所が増えるのは望ましいことに違いない。取材に訪れたのは開店から4ヶ月ほど経った頃だったが、すでに近隣住民をはじめ、このエリアへ買い物に訪れた人や神戸へ向かう道中の人たちにとっての憩いの場になっていた。
紅茶葉から抽出される最後の一滴は、茶葉の旨味が凝縮されていることから「ゴールデンドロップ」と呼ばれるそうだ。取材中に教えてもらった話を思い出していると、Tea Saloon MUSICAは紅茶専門店MUSICA TEAの61年の歴史が凝縮されたゴールデンドロップのように思えてくる。芦屋にお出かけの際は、ぜひTea Saloon MMUSICAへ足を運んで欲しい。
文・写真 / 則直建都
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名称 | Tea Saloon MUSICA |
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業種 | 紅茶専門喫茶店 |
住所 | 芦屋市宮塚町12-24 旧宮塚町住宅 |
TEL | 0797-35-7727 |
営業時間 | 11:00〜19:00 |
定休日 | 日曜 |
アクセス | JR芦屋駅から徒歩6分 |
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