餅の星野屋 丹波黒豆大福/やまがた手土産014
今回お持ちしましたのは、「餅の星野屋 丹波黒豆大福」です。
山形はおいしいお米の都。だからでしょうか、餅とだんごの都でもあります。
まちを歩けば、餅の専門店があります。だんごを売る和菓子屋もあります。だんごを売るお米屋もあります。だんごを売るスーパーも道の駅もあります。私たち山形市民にとって餅&だんごは、なんら気取りのない、ごくふつうの日常のおやつです。
さて、星野屋の「丹波黒豆大福」です。
山形市内にさまざまある餅&だんごのなかでも独特のポジションを占めている一品、と言えるでしょう。このまちの餅&大福カテゴリーで一般的なものといえばおそらく草餅やいちご大福といったところでしょうが、そうしたなかで「黒豆大福」というのは稀有な存在に違いないですし、かつそれが「丹波黒豆」だというのですからまさに孤高の存在とすら言えるのではないか、という気がいたします。
実際、ひとくち噛んでみればほら、餡に黒豆が添えられていることによって、甘さと食感に奥行きというのか多様性というのか、みたいなものが感じられて、まあ食べるのが楽しくておいしいんですね。
とある日に、星野屋さんまで買いに行った店先の棚の中が空なのを見てしまったら「ああ、売り切れか~?」と非常に悔しいような気持ちになってしまうわけですが、その刹那に「ご注文いただいたらすぐお作りしますよ」みたいなことをお店の方に教えてもらって、それではということで実際に注文してみると、本当にすぐに柔らかお餅で黒豆餡を包んでくれて、まさに出来立て!を用意してくれたりする。
それは偶然の出来事だったのかもしれないけれど、そのときの「売り切れか~?」という失望から「わ、出来立て!」という歓喜へと、地獄から天国へと、自分の心のありようが一瞬にして転換する瞬間まで楽しめたのも私にとっては素晴らしい体験でした。
そのまさにできたての「にゅわ〜ん」とした柔らかさももちろん好きなのですが、でも私がもっとも好きなのはもうほんの少しだけ時間が経って、餅にちょっと硬さが生まれているくらいのタイミングです。
ほどよい噛み応えの餅の弾力を感じて黒豆餡を味わう。それを濃いめのお茶でずずーっと胃に流し込んで、ああ、おかげさまで今日も山形暮らしの最高の午後を味わいました、ありがとうありがとうって手を合わせたくなる感じです。
reallocal山形ライター 那須ミノル
※シリーズ「やまがた手土産」は山形市在住のライター那須ミノルがじぶんの価値観に従ってセレクトした手土産たちの素敵なところを勝手にご紹介していくコーナーです。
photo by 根岸功
屋号 | 餅の星野屋 |
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住所 | 山形県山形市旅篭町1-3-8 |