心を痺れさせる「毒」のあるオーダーメイド革製品工房 AMEERIEGA TORIBITATTA – 芦屋の横顔 vol.2 –
2019年秋に再び人の営みを取り戻した芦屋の石造り団地「旧宮塚町住宅」。そこに入居したテナントの紹介を通して、いわゆる住宅街というイメージとはまた違う「芦屋の横顔」を探るシリーズの第2弾。
多くの人に好まれる既製品よりも、たったひとりの心を痺れさせる「毒」のあるオーダーメイド品を提案する「AMEERIEGA TORIBITATTA」の和田木綿子さんにお話を伺った。
「毒」があるから美しい革製品
革製品の素材として馴染み深いのは馬・牛・羊の皮だが、エイ・クロコダイル・パイソン・サイ・エレファントといったエキゾチックレザーを使用して革製品をオーダーメイドできるのが「AMEERIEGA TORIBITATTA」だ。
ブランドオーナーで職人でもある和田さんは、「靴と服以外なら何でも作ります」と言う。
確かに、店内にはカバン・財布・キーケースなど様々な製品が並ぶ。そのどれもが、鮮やかな発色をしていることに驚いた。
AMEERIEGA TORIBITATTAというブランド名の由来は、熱帯雨林の宝石と言われるほど鮮やかな色彩を纏うヤドクガエル。「毒」があるから美しいその姿に、ブランドのインスピレーションを得たそうだ。
「正直、万人に受け入れられるものではない」が、それ故に「刺さる人には刺さる」と言う。何度もリピートオーダーする人がいるのもうなずける。
芦屋とものづくりの相性
和田さんは、約10年間の革製品工房での修行を経て、旧宮塚町住宅で工房を開くとともに独立した。AMEERIEGA TORIBITATTAは2014年に立ち上げたが、店舗・工房を構えての独立独歩は始まったばかりだ。
場所選びで大切にしたのは、「いつでも『作業したい』と思った時にできること」。
理想は、住居兼工房だが、住宅街に工房を構える場合は近隣への気遣いで夜間は作業を控えざるおえない。その点、旧宮塚町住宅は入居事業者のほとんどがクラフトメーカーなので心配する必要もなく、何より石造りの外観と、ヴィンテージ感を残した内装に心を奪われたと言う。
はじめは、『芦屋』と『職人』という組み合わせに意外性を感じていた和田さんだが、工房へ通う道ですれ違う人から感度の高さや独自のセンスを感じ取るうちに、いまでは「芦屋は自分が作りたいモノと相性の良い街なのでは?と感じている」と教えてくれた。
皮を「革」にする工程を鞣し(なめし)と言うそうだ。皮に手を加えて、防腐・耐水・耐熱・耐摩耗性のある「革」にする。何となくこの言葉を思い浮かべたのは、人もブランドも街も、聞こえは同じだが性質を変えていくものだからかもしれない。
和田さんとAMEERIEGA TORIBITATTAのこれから、そして旧宮塚町住宅で育まれつつある「芦屋らしくない芦屋」の性質が見えてくる数年後が楽しみだ。
文・写真 / 則直建都
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名称 | AMEERIEGA TORIBITATTA |
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業種 | 革製品工房 |
URL | |
住所 | 芦屋市宮塚町12-24 旧宮塚町住宅 |
TEL | 0797-34-2323 |
営業時間 | 11:00~17:00 |
定休日 | 不定休 |
アクセス | JR芦屋駅から徒歩約6分 |