【沖縄】きっかけは波乗り、出会ったのは植物 南の島の植栽家/HADANAさん
インドアグリーンの販売から、屋外の植栽デザイン・施工・メンテナンスまで。ときにはワークショップも。沖縄の気候に合った、植物のある暮らしを提案しつづけているHADANAさん。
HADANAの葉棚達也さんと奥さんの由真さん。二人とも関西からの移住組である。植物に携わる仕事をされているので、南国植物に魅せられて…というような理由から移り住まれたのかと思っていたが、そうではなかった。
「二人とも趣味がサーフィンなんです。関西にいたときは、波を求めて毎週末何時間もかけて、車で寝泊まりしながら波乗りに行っていた。まとめて休みが取れれば国内外問わず、波乗りにほとんどの時間を費やしていました。そんな生活が10年以上続き、海の近くに住んですぐに波乗りが出来る環境への憧れが募っていた頃、海外のような波を体験した沖縄にあっさり来てしまったんです。」
達也さん自身は神戸出身だが、親戚は皆、奄美群島出身。子供の頃に刻まれた島の思い出が環境の近い沖縄を選んだというのも自然な成り行きだったのかもしれないと話す。
「いま思えば、沖縄の神さまに『ほんまにやっていく覚悟はできてるんか?』って試されていた時期だったのかも。」移住してからの3年間は、思い描いていたスローライフとは裏腹に、怒涛の日々だったと言う。
「沖縄に来てから、最初に働いたのは知人の木工所で給料7万円。やっていけるわけもなくまずは稼がなければと思いました。そして、どうせなら昔から興味があった花の仕事ができないかと、沖縄一格好いいと思った花屋に飛び込みで働かせてもらって、植物担当に。沖縄とは思えないほど厳しくて、一日中働いていた。
はじめは知識がなく、お客さんへ説明もできず情けないやら悔しいやら。観葉の本はほとんど本土の気候で書かれているから、それ通りにやっても上手くいかない。そこで、自宅に植物をつれてきては実験、どんな環境を好み、どんな育ち方をするのか、日に日に家は植物に覆われていったね。休みの日には生産者のもとへ行き、手伝いながら教えてもらいました。そして、少しずつ植物がわかるように。」
植物にのめり込んでいく反面、忙しさで大好きな波乗りもできなくなっていった。
しかし、葉棚さん曰く、波乗りと植物はまったく別物ではないそうだ。
「波乗りは一般的なスポーツとはかなり異なり、場所と道具があるだけでは出来ません。その日の風向き、潮の満引きなど、自然の変化に合わせて波乗りをします。いつも季節の変化や自然の変化を敏感に感じとらないといけない。植物の世界でも共通する点がたくさんあると感じています。波乗りで培った感覚が活かせる仕事でもあると。」
花屋で修業したのちに、HADANAをはじめた。現在では、インテリアの仕事に携わってきた由真さんも加わり、2人で屋内空間でのグリーンコーディネートから庭づくりまで、多岐にわたり、緑を使った空間デザインを行っている。
沖縄に来てから今年で11年目になる葉棚さんに、来てから変わったことを聞いてみた。
「人生すべてかもしれない。動けば景色が変わるって言ってた人がいるけど、ホントにそうやなと思って。景色っていうのは実際の景色もそうだけど、人との関わりや生活、違う地域に入らせてもらって見え方が大きく変わった。
中でも一番感じたことは、優しい人には勝てないということ。沖縄では、売り手の僕に家族や友達のように心から接してくれる。関西でいう駆け引き、お金払ってんねんから当たり前やん的な感じが全くない。値切ってなんぼ、みたいな自分の考えがしょうもなく思えてきたんです。優しくしてもらったらこれ以上に返そうと思うのが人情というもの、僕も精一杯出来ることをお返しします。植物はお客さんとの付き合いも長くなりますから。お客さんも喜んでくれて植物にとっても良い状態で、自分も嬉しいというのが、一番だと思います。沖縄の人に助けられて今までやってこられました。」
元はといえば、サーフィン三昧のスローライフを夢見て沖縄へきた葉棚さん。
いまは多忙で出来ていないが、これから2,3年を目標に、以前のように波乗りができる生活を送りたいという。数年後、植物と波乗り。この二つが葉棚さんのワークライフバランスとなっているのが目に浮かぶ。
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