【大阪】50年前もこれからも変わらない。 中之島/リーチバー
アンティークやインテリア好きにはたまらない空間だろう。リーチバーは、民藝活動の中心的人物であった陶芸家のバーナード・リーチの着想をもとに、日本建築の大家である吉田五十八が意匠設計した、東洋と西洋が融合した空間となっている。この美術館のような空間を、広くホテルのお客様に気軽に親しんでもらえる場所にしたいという想いから、バー営業がスタートした。
リーチバーの営業時間は、朝11時から24時。創業50周年を迎える老舗のバーは、営業時間を変えずに、創業当時のスタイルをずっと貫いている。2度訪れたことがあるが、朝11時に訪れた時はグラスを置く音まで響きそうなくらいに静まりかえっていたし、待ち合わせに利用した19時頃は、お客さんの会話があちこちから程よく聞こえてくる居心地の良さだった。時間によって、全く雰囲気が異なっていたのが印象的だった。
家具もインテリアもほぼ当時のまま。天井から吊るされたランタンや曲木の椅子は、壊れると新たに入手できず、限られた職人でしか修繕不可能なものばかり。細心の注意を払いながら、50年前から受け継ぐ空間を守り続けている。
「変わらないことというのは、一番難しいことだと思うんです。歴史のあるホテルのバーですので、長い月日の中で勤めるバーテンダーは変わっても、変わることなく通ってくださるお客様が多くおられます。代々のバーテンダーが築いてきた”リーチバーとお客様との関係”を守るべく、お客様がいつこのバーに足を運んでも、変わらぬ心地よさを感じていただけるサービスを心がけています。」
訪れる幅広い層のお客の中でも印象的なのは、50年来の常連さん達。どちらかというとスパルタな方が多いですが、学ばせていただくことばかりですよと影山さんは微笑んだ。少し厳しい意見の裏にある温かさや、バーへの想いを感じることが多いそうだ。
「私たちは、50年という長い歴史に守られています。また、その50年はお客様が築いてくださった歴史でもあります。お客様がバーテンダーを育ててくださり、包み込んでくれるような時間と空間がここには存在しています。歴史あるこのバーにふさわしいバーテンダーであると共に、お客様の印象に残り続けるサービスを行うことが、私たちの責任でもあります。リーチバーの歴史はこの先にも続いていきます。先輩方から代々受け継いできたものを、次の世代に繋げながら、バーテンダーとしての自分の歴史も刻んでいきたいと思っています。」
この場所に来ると感じる”安心感”は、空間を守るべく努力を続けるバーテンダーと、愛情深いお客さんによって保たれているのだ。リーチバーの魅力が、またひとつわかった気がした。
屋号 | リーチバー |
---|---|
URL | |
住所 | 大阪市北区中之島 5-3-68(リーガロイヤルホテル 内) |
備考 | 【営業時間】11:00~24:00(ラストオーダー 23:45) |