大野人に会いに。福井県大野市1泊2日秋の夜長の旅の記録
ローカルツアー
こんにちは、reallocal福井ライターの牛久保星子です。
すっかり寒くなってきた北陸地方です。福井に暮らし始めて6年目。実はそんなに私、県内旅してないなと気が付きました。というわけで県内旅コラムをあげていきたいと思います。今回の旅の舞台は福井県大野市。それではどうぞ!
旅する前のはなし
その①大学の大先輩に出会った
きっかけは、微遍路最終日。(微遍路って何?と思った方はリンクをチェック!)
微住の田中くんが微遍路最後の日、福井県の最南端、高浜市の青葉山に登頂するということで、福井県の各地から色々な人たちが高浜に集まっていた。
ゴール後、青葉山のふもとでビールのお相伴にあずかっていると、とても通る良い声のおじさまから声をかけられた。
おじさまの名前は山田さん。「大野のボスだよ。」と大野市の荒島旅舎運営メンバーの桑原くんが教えてくれた。そして話の流れで、山田さんが大学の大先輩だということが判明。もうね、その瞬間背筋が伸びましたよ。
「一度大野に遊びに来なさい。夜ゆっくり呑もうじゃないか。」とトントン拍子に話が進み、2週間後の週末に友人家族と一緒に大野に一泊旅行することが決まった。
その②ホステル「荒島旅舎」に泊まりたい
元々、大野はゆっくり訪れたい土地だった。
コンパクトな市街地は湧き水がそこかしこで湧いている。昔ながらの食堂や衣料品店もあれば、若い世代の営むコーヒーショップもあり、古いビルや家屋をリノベーションして新しい場所をつくっている。朝市や昔ながらの銭湯も魅力的だ。
福井市から車でおよそ40分。日帰りで何度も遊びに行ってはいたが、車で40分強という距離は、こりゃ帰れるよなあという微妙な距離。だからイベントがあっても昼間行って、帰ってくるという場所だった。
2020年7月、そんな大野の中心市街地に荒島旅舎がオープンした。
1日目
15:30モモンガコーヒーでバナナシェイク
15:30過ぎに大野に到着。ホステル荒島旅舎のチェックイン時間が16:00からとちょっと早めに着いたので、お隣のモモンガコーヒーさんでコーヒーブレイク。
私と夫はそれぞれ気になったコーヒーを、2歳になったばかりの息子はバナナシェイク。コーヒーはもちろん、バナナシェイクも濃厚で美味い!息子はストローでチューチューごくごく。ほぼ一人で飲み干した。
ほっと一息ついていると、ガラス張りの外から友人の娘さんあかりちゃんが手を振って入ってきた。この旅の仲間が集合した。
16:15チェックインすれば大野人へ仲間入り
隣の荒島旅舎に入りチェックイン。案内人は先日会った桑原くん。1階はチェックインとbarスペースのある空間。モモンガさん同様、荒島旅舎もガラス張りで、外の往来が水族館の水槽のように眺められる。大野の日常の景色に私たち旅人も自然と馴染んでくる。
私たちの部屋は2階の一室だ。バンクベット(2段ベット)で、上段がシングル、下段がセミダブルサイズになっていて小さな子どもと一緒でも十分なスペース。こちらも通りに沿った一面がガラス窓で、光が大きく入ってきて眩しいくらい。窓の外を眺めると古いビルの看板に踊るレトロな文字がかわいい。
3階のフリースペースで友人家族と今日の旅程会議をして、2階の自分たちの部屋で荷物をまとめていると桑原くんから「山田さんが来ているよ。」と声がかかる。(※ちなみに山田さんは五番通商店街で衣料品店を長年営んでいる御方であった。)
おお、もう既に大野の人になった気分だぞ。
17:05焼肉星山で早めの晩ごはん
大野と言ったらホルモンでしょ!ということで、今晩の夕飯はちょっと豪勢に焼肉に決定。荒島旅舎から徒歩3分。開店直後の焼肉六間星山大野本店へ。
今回の旅は大人4人、中学生1人、小学生1人、未就学児1人の計6人旅。よく食べ、よく飲む。「誰も運転しなくていいっていいよね」と言いながら、名物のホルモンをぱくつく。星山はすぐに満席になった。地元のおんちゃんたちが続々と集まってくる。早めの来店で正解だ。
19:20東湯でひとっぷろ
星山でたらふく食べたら日はとっぷり暮れていて、いよいよ夜の大野のはじまりはじまり。
星山から歩いて約10分。銭湯、東湯に到着。うーん、なんとも良い佇まい。
息子は夫と男湯へ、私はのんびり女湯を満喫。昔ながらのという言葉が似合う東湯のお風呂はやや熱め。身体の芯までぽかぽかに。こりゃたまりません。番台のおかみさんはおおらかな笑顔で対応してくれる。
帰り道。越前の小京都と呼ばれる町並みは月あかりに照らされて、とても静かだ。見上げれば星がきらきらとまたたいていて、静かな秋の空気が身体を包みこむ。
20:20荒島旅舎BARは男たちの集いの場
帰ってきた荒島旅舎はbarタイム突入。
ガタイの良い男の人たち(髭の人率も高し)が一杯ひっかけにカウンター前でたむろしている。少し圧倒されていると「おっさんばっかりで男臭いやろ」と荒島社代表の川端さんが笑顔でグラスをかたむけてきた。カウンターでは、大道芸が本職の色白な若者が器用な手つきでバーテンダーをしている。中学生には綺麗なノンアルコールカクテル作ってくれた。
荒島旅舎のbarは、靴を脱いで入る。無垢の木地を足に感じる。barだけど、だれかの家の台所でちょっと一杯飲んでいるような、そんな居心地のよさがある。
22:30最後は地元のスナックで
息子を夫に預け、ここからは大人の時間。山田さんに連れられて、友人夫婦と川端さん桑原くんと一緒に住宅街を通り抜け地元のスナックへ。星空が冷たく眩しい。こんな夜のお酒は透明な液体となって身体に無限に染み込んでいく。
唄声の響くスナックのソファ席で「若い人たちがやることは分からなくても、知りたいよね」と山田さんは言う。「先輩たちが後輩たちにおごるんだ。おごられたら、次の後輩たちにおごればいい。」大学でも部活の先輩に同じことを言われていた。たぶん大学生活で一番の教えはこれ。でもこれってお酒のことだけじゃなかったんだな。次の世代との向き合い方もこの言葉に重なってきた。
2日目
8:00大野七間朝市から七間楽市、秋コレ
2日目の朝から大野の中心市街地は賑やかだった。うん、昨日のお酒も残っていないぞ。週末の七間朝市に加えて、七間楽市や秋コレなどイベントが重なっていた。
朝市は今までも来たことがあったけれど、いかんせん早起きが苦手なもので終わりかけに駆け込むのが関の山だった。が、今回は泊ったからね!心ゆくまで歩き回るぞ。
おばあちゃんのつくったつるし柿(干し柿)や名物の芋きんつばを片手に、売り子の方たちとの会話を楽しみながら(こういう時、息子がいるとおまけがついたり、良いことがある!)食べ歩き朝ごはん。うーん、爽やかな朝だ。
9時、10時過ぎからこの日は七間楽市、秋コレが順番に始まっていく。午前中だけどすごい人出である。こどもも大人もすれ違う人たちの楽しそうな顔よ。
10:30新しい集い場、カンケイ商店
そして本町通りと七間通りの交差するところにNEWスポット、カンケイ商店が出現する。詳しくはリンク先をみてほしい。もうワクワクしかない。
以前は米の卸問屋さんだったこの場所。「長いこと空き家になっていたんだけど、ずっとこの場所しかないって思ってた。持ち主の方に僕たちの熱意を伝え続けたんだ。」とカンケイ商店メンバーの長谷川さん。朝からハートランドを飲みつつ屋内を見上げれば、古いベンガラ塗りの朱色の柱が優しい光に包まれていた。
2階にあがると七間通りが一望できる。この景色がみられるのもこの場所である意味なんだろうな。
旅のあとで
大野人たちに会う旅
1泊2日。時間にすれば短いものだけれど、両手いっぱいのお土産をもらったような気分だ。沢山の大野人と話せたからだろうか。
大野の人たちって少しシャイな人たちが多い。もっと大きな声で「おいでよ!」って言えばいいのにそれを言わない。でも自分たちのこのまちが好きで、このまちに確かなプライドを持ち、コツコツと居心地の良い場所をつくっている。
古いまち並みとそこに無理なく重なる新しいレイヤー。
美しい水と空気が、ちょっとセンチメンタルな気分にさせる。
川端さんが真夜中のスナックでフジファブリックの若者のすべてを唄っていた。
この唄が大野人によく似合うって今回の旅で気が付いた。
荒島旅舎や、カンケイ商店に行けば、あなたもきっと魅力的な大野人たちに出会えるはずだ。
やー大野、満喫!また大野人に会いに大野に行こう。