お客さんと一緒に笑いたい「笑夢カレー」芳賀航さん
インタビュー
2006年10月19日の1号店オープンから15周年を迎えた「笑夢カレー」。
福島でスパイスカレーと言えば必ず名前の挙がる、地元では抜群の知名度を誇るお店です。
今回はオープンから二人三脚で「笑夢カレー」を営んでいる芳賀眞(まこと)さん・航(わたる)さんご兄弟それぞれにお話を伺いました。
この記事では、弟・航さんのインタビューを掲載しています。
笑顔を引き出すスパイスに
――現在は福島市を中心に3店舗を展開し、キッチンカーでのイベント出店やレトルトカレーの販売まで。「笑夢カレー」そして「芳賀兄弟」は本当に福島のカレーシーンには欠かせない存在ですよね。
僕は、カレー屋としてカレーを売りたいというより、「カレー好き」を増やしたいという気持ちが大きいです。
社長である兄貴(眞さん)が外で営業をかけたり人脈を広げたりする一方で、自分の役割はこの店をどう明るくして、守っていくか。カレーだけなら兄貴がいれば十分。カレー以外のスパイスを自分が出したい。お客さんがカレーを食べてひとつ笑って、僕らと話してもうひとつ笑う。そういう存在でありたいですね。
新しい仕事の話を持ってくるのは8割兄貴です。彼は新しいことへの追求が凄まじい。そこは尊敬しつつも、時にはストップをかけたり、彼がやろうとしていることをスタッフにかみ砕いて伝えたり、バランスを取るのが自分の役目です。自分がクッションになった方がなんか上手くいくんですよね。もちろん失敗もたくさんありますが(笑)。
はじめは二人とも未熟だった
――最初は兄弟二人でお店を始められたんですよね?
はい。発起人は兄貴で、僕は半ば強引に誘われて(笑)。
店を始めたのは僕が25歳、兄貴が27歳の時です。もともと高校卒業後は二人ともサラリーマンとして働いていました。実は僕たちは三兄弟で、僕はその末っ子。最初は兄貴の誘いを断ったんです。兄弟で店をやって、うまくいかずに共倒れになったら…と考えるとすごく不安で。結局押しに負けたのですが、そこから人生が一気に変わりましたね。
最初は料理を作るのが兄貴で、接客が自分でした。僕自身、人と話すのは好きでしたがサービス業の経験はなかったので、最初の頃は兄貴に怒られっぱなし。「こんなこともできないなら店に居なくていい」と言われたこともあります。当時は二人でやっていたのではけ口もなくて(笑)。
お客さんが1日に5~6人しかこない日もあったし、朝の仕込みから夜の片付けまで休みなく働いても安月給、そんな時期が2~3年続きました。まぁでも誘いに乗ったからには、兄貴の根拠のない自信を信じて、一緒に夢を追いかけるしかないですから。キツかったけど、お客さんの笑顔や言葉に支えられながら毎日がむしゃらに働いているうちに少しずつ常連さんが増えて、兄貴と僕それぞれの役割が確立されていって、看板メニューの「笑夢のバターチキンカレー」が生まれて、お店も軌道に乗っていきました。
だから常に初心を忘れず、お客さんを大事にしたいと思っています。
結果的にまちが元気になれば
――「笑夢カレー」はお客さんをはじめとして、「ひと」や「まち」との繋がりが強い印象があります。何か意識していることがあるのでしょうか?
カレーはコミュニケーションを繋ぐ武器です。不思議とカレーが好きなお客さん同士がどんどん繋がって、いつの間にか友達になっていたりする。そういう場面を見ると嬉しいし、笑夢らしいお客さんとの関わり方だなと思っています。
福島県とか福島市という括りにおいては、決して自分たちだけ目立ちたい、名を上げたいとは思いません。福島の飲食業界全体が盛り上がるのが理想。盛り上げることは二人とも好きですが、一緒に盛り上げてくれる人がもっと増えて欲しいです。最近は福島市内の飲食店から声をかけていただいてコラボメニューが実現したりと、少しずつ輪が広がっていると感じています。
近年の福島市は、体力があるはずの大手やチェーン店の撤退が目立ちます。そんな状況で、個人店同士が手をとって頑張っていけるまちにしたい。個人でやられている魅力的なお店がたくさんあることを笑夢に来るお客さんにも知って欲しいので、どんどん伝えています。
カレーで活力を
――最後に、笑夢カレーとしての目標や展望を教えてください。
浮き沈みが激しい世の中ですが、「笑夢のカレーで福島に、日本に、活力を与えたい」その一心です。福島で生まれ、ずっと福島でやってきたからこそ、故郷の力になりたいという想いがあります。どこまでできるかわからないけど、福島の魅力をカレーとリンクして全国に展開していきたいです。店舗は全国にたくさんというわけではなく、ここなら勝負したいという場所で出店していきたいです。そこは兄貴の勘に任せて、自分はそれを信じます。
お店ではこれからも変わらずお客さんを明るく迎えたい、スタッフと一緒にずっと笑っていたいですね。一緒に笑っていただければ、僕らは嬉しいです。
「笑夢」の看板を背負って積極的に外に出る眞さんを陰で支えながら、スタッフと共に店を守る航さん。
目の前のお客さんに対する航さんの真摯な想い、15年で培われたご兄弟の絶妙なバランスが垣間見えるインタビューとなりました。
素敵な笑顔で「カレーで元気を与えたい」と話す航さんの姿は本当に輝いていて、元気を頂きました。
今後もカレーでどんな新しい世界を見せてくれるのか、ワクワクしますね!
名称 | Curry dining bar笑夢 |
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住所 | 福島県福島市大町2-35佐藤ビル2F |
TEL | 024−522−1841 |
営業時間 | 11:30〜14:30(Lunch Time) 18:00〜21:00(Dinner Time) |
定休日 | 毎週火曜日(※月曜はランチ営業のみ) |
備考 | ○Curryria&Cafe笑夢
18:00〜21:00(Dinner Time)
○CURRY LABORATORY 笑夢 かわまちてらす店
●TEL/022−797−7559 |