行ってみた!「越前水仙カメラ」で学ぶローカルフォト
イベントレポート
reallocal福井、ライターの牛久保星子です。こんにちは。
私にはずっと避けていたことがありました。
それは写真を撮ることです。周りにプロアマ問わず写真が好きな人が多かったから、私は別に撮らなくていいやと思っていたことがまず一つ。だってその人たちが上手に撮ってくれるのだもの(ありがたや)。あと、機械類に非常に苦手意識がある(壊しそうで怖いし、メカ音痴)ということもカメラを避けてきたもう一つの大きな理由であります。
しかし最近reallocalの記事を書く頻度が増えてきました。
自分で写真が撮れないと不便すぎる。そしていつも誰かのお世話になってるわけにもいかない。自信ないとか言っている場合ではないぞ、このままではアカン!と焦燥に駆られはじめた今日この頃。
絶好のチャンスが訪れた!
そんな折、福井市の学芸員である藤川明宏さんから「越前海岸の水仙畑の文化的景観でローカルフォトスクールやるからおいで」とお誘いをいただきました。(ローカルフォトはreallocalの様々な記事で紹介されています。こちらをご覧ください。)
このタイミング!藤川さん、ナイスパスをありがとう!
ということで、越前海岸の水仙畑の文化的景観にもそもそも興味があったこともあり、二つ返事で参加を申し込みました。よーし!写真、撮れるようになるぞ!
いざゆかん、「越前水仙カメラ」
参加してきたのは、「越前水仙カメラ」。越前海岸の水仙畑の文化的景観※をフィールドに行われる全3回のローカルフォトスクールです。
※越前海岸の水仙畑の文化的景観とは、平地が少ない越前海岸エリアで自生していた水仙を、集落の人たちが棚田に栽培し、冬の特産品としたここで営みを続けた人たちの文化的景観のみられる地域。日本水仙の三大群生地の1つであり、「越前水仙」のブランド名で全国に出荷されている。2020年11月20日に福井県内では初めて国の重要文化的景観に選定されることが決まった。
第1回目が行われたのは2020年11月15日。福井駅から車でおよそ50分。越前海岸に面する「水仙ドーム」の中にある「越廼サテライトオフィス」が会場です。
カメラの基礎とローカルフォトの極意
まずは、講師のフォトグラファー堀越一孝さんがカメラの基本をレクチャー。堀越さんは、ローカルフォトの伝道者。そして現在、福井県小浜市で地元伝統産業の若狭塗り箸の会社に所属しながらまちを元気にする活動中の福井県移住者でもあります。
「今のカメラは高性能だから、これだけ覚えればとりあえず大丈夫!」と苦手意識を和らげてくれます。「ローカルフォトは、自分の目線が大事。これはこう撮らなきゃいけないというのはないから、自分が伝えたい想いをイメージしてシャッターを押してみて」という言葉は初心者にとって安心する一言でした。
ローカルフォトの主宰者であるMOTOKOさんは今回オンラインで。‟ローカルフォトは人と人とをつなげる新しい写真の概念“という、自分たちがこれから越前海岸の水仙畑の文化的景観を舞台に撮影しようとしている写真の目指すものの話など、ぐっと引き込まれる話がつづきます。
水仙について学ぶ
お昼を挟んで、今度は今回の主役となる水仙の話へ。ここからは福井市園芸センターの中村麻由美さんが講師になって水仙の基礎知識を講義。
水仙がヨーロッパから日本まで来た歴史や、水仙の特徴など多岐に渡る水仙のあれこれを教えてもらいます。みんなで水仙を分解して、構造も観察しました。中村さんの水仙愛に溢れる話に参加者一同興味深々です。
カメラを手に、実践タイム!
座学が終わったら、いよいよ外へ。
中村さんに水仙ドームの水仙を温室栽培している場所へ案内してもらいます。その道すがら、それぞれが写真を撮っていく実践タイムとなりました。最後に自分の今日の1枚をみんなの前で発表するとあって、ちょっと緊張感も漂います。
当日はここは北陸なのか?と思うほどの快晴。最初は気恥ずかしさもありましたが、そんなこと言っている場合ではない!カメラと友達になるんだ!と気持ちを奮い立たせます。
堀越さんの場の空気の作り方が実にうまい。どんどん参加者の私たちをその気にさせてくれます。写真家ってコミュニケーションの職業なんだって気が付きました。あー、私、写真家に対する解釈を完全にまちがってたー。目からうろこでした。
「今日の自分の1枚」は
講評でみんなの写真を見ていきます。同じ場所をめぐっていても切り取る場面がそれぞれ違います。MOTOKOさんと堀越さんの講評で、自分たちが何を撮りたかったのか紐解かれ、具体的なアドバイスでよりその情景が鮮明に写し出されます。
私は、藤川さんがメインの写真を今日の1枚に選びました。歩いている途中で撮った写真でしたが、見直していたら藤川さんが晴れやかな笑顔で、「幸せだ!」っていう気持ちが溢れているように感じた一枚です。こうやってこの場所をみんなで考えて、次の世代へ伝えたいと本気で思っている人がここに居るんだと思ったらなんだか胸が熱くなりました。
「三歩先の未来を撮影する」ということ
MOTOKOさんがローカルフォトについて「三歩先の未来を撮影する」いう話をしていました。「ありのままだけど、こうなったらいいなというちょっと先の未来を想ってシャッターを押すんです」
ああ、そんなことができるんだと思いました。文章を書くことや絵を描くことと同様に、自分の感情を込められるものなんだ。写真って「伝える」コミュニケーションツールなんだ。今回のローカルフォトスクールでその鱗片を掴んだ気がしました。
三歩先の未来を撮影できるようになるのは、まだ時間がかかるかもしれない。でも今回参加して一歩、カメラに近づけました。本当に気づきの多い1日でした。ありがとうございました!
さて次回から「越前水仙カメラ」はいよいよ、水仙畑の本格的な実践編へと進みます!越前水仙もシーズン真っ盛り。農家さんたちの普段見ることのできない顔や背景を切り取れるか、地域のどんな未来が想像できるのか。またレポート記事でお伝えしていきます。乞うご期待下さい。