【福島県郡山市】いつまでも人々に愛される店「サラダの店 赤とんぼ」
インタビュー
郡山駅の駅前大通り沿いに店を構え、45年に渡り市民に愛され続けてきた洋食店「サラダの店 赤とんぼ」。店主の体調面と店舗の老朽に伴い、2020年11月30日にお店を閉じました。
閉店の知らせを受け編集部では、昨年12月(リアルローカル郡山立ち上げ準備期間)に取材したものを改めて編集し、この町の思い出として、「赤とんぼ」を記事に残すことを決めました。店主の栗田誠一さんのお店への想い、料理へのこだわりを多くの方に知っていただければと思います。
ほっと一息つける安らぎの空間
「サラダの店 赤とんぼ」がオープンしたのは昭和50年。当時シェフとして東京の帝国ホテルで働いていた店主の栗田誠一さんは、ウェイトレスだった奥さんと、知り合いのお店の手伝いで郡山を訪れました。東京都出身の栗田さんご夫婦にとって郡山は身寄りのない土地でしたが、様々なご縁からこの場所で独立してお店を開きたいという想いが次第に強くなり、お店を構え挑戦することにしたそうです。
場所は郡山中町の車が行き交い、多くの方が出歩く駅前大通り沿いにあります。店の前には可愛らしい看板と美味しそうなメニューのディスプレイが並び、店内に入ると、忙しさを忘れるような温かみのある雰囲気に包まれます。
二人三脚から生まれた味
「お店の味は子どものようなものですね。この味を作るために一つ一つのメニューについて試行錯誤を繰り返しました。好調、不調の時期はありましたが、不調の時こそが成長する機会だと妻と何度も話し合いました。それで、しょっちゅうケンカになりましたよ。でも、そのケンカがあったからこそ、今まで仲良くやってこられたんだけどね。」と笑いながら語る栗田さん。
長年連れ添った奥さんへの深い感謝と愛情が垣間見えました。
栗田さんは続けて、料理のこだわりを教えてくれました。
「作り方のポイントは塩加減ですね。例え同じものを作っていても、塩加減で味の違いを生み出せると思うんですよね。だからこそ、この味は私にしか作れないんです。」
サラダの店
「店内にあるメニューはもちろん、サラダのドレッシングやマヨネーズも手作りしています。この味はお店を始めた時からずっと変わっていません。」
手間を惜しまない努力が常連さんを掴んで離さない秘訣だといいます。
サラダを美味しく食べるための手作りドレッシングの工夫が、「サラダの店」の所以なのでしょうか。
最後に栗田さんは、「食べ終わったお客さんが『美味しかった』と言ってくれることに、やりがいを感じています。その一言で『また頑張ろう』って思えるんです。」とお話くださいました。
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お店を閉じられる最終日には、閉店を惜しむお客さんが後を絶たず、売り切れのメニューも出てしまうほどの大盛況だったそうです。
この町に愛され、お店を愛した栗田さんの想いは、きっと消えることはないでしょう。いつまでも、人々の心の中に「赤とんぼ」は居続けます。