名古屋を面白がる人を増やしたい。
気になる人
“名物より好物”をコンセプトに、愛すべき名古屋の愛すべき姿を独自の視点で紹介していく名古屋案内本「LOVERS’ NAGOYA」。その企画・取材・編集を手がける加藤さんに話を伺いました。
きっかけは、雑誌ブルータスのナゴヤ特集。
2019年に雑誌ブルータスで、「名古屋の正解」という特集が組まれたのはまだ記憶に新しいと思います。
「名古屋?」と感じた方も多かったのではないでしょうか。ところが売れ行きは、予想をはるかに超え、地域特集の中では、最も売れたのだそうです。編集に参加していた加藤さんもこれには驚き、同時にほっとしたと振り返ります。
「それまでの名古屋のイメージって、名古屋めしに代表される個性派グルメだったり、ちょっと変わった町として取り上げられることが多かったけれど、ブルータスの内容はそうではなかったんですね。
文化的な側面や街の雰囲気をそのまま紹介してもらえて、「そのままでいい」と言われた気がしました。自分が好きな名古屋をどう伝えたらいいだろうと悩んでいたのが、そのままの名古屋を自分なりに掘ったり近寄ったりすればいいんだと思えたんです。
それがLOVERS’ NAGOYAを作るきっかけになりました。」
若い頃は、ブレない自分が欲しかった。
高校時代、強豪チームでサッカーに打ち込んだものの、引退後、同級生が当たり前のようにボールを置いてペンを持ち、大学受験に向かっていく姿になぜか同調できなかったと言います。
やりたいこともないまま大学に入って何ができるんだろう?という漠然とした疑問。そんな時、友人の一人が特殊メイクを学びたいからハリウッドに行くと言い出したのが刺激になったのだとか。
「全く知らない場所で、自分がどこまでやれるのかを試したくなり、渡米しました。何かを学ぶというより、生き抜く力みたいなものを身につけたかったんです。
家を借りたり、車の免許を取ったり、友達や彼女を作ったり・・・。そうして2年を過ごすうちに、国や人種が違っても友達はできるし、周りにいる人たちは何ら変わらない。
そこに自分がどう関わっていくかなんだと感じて、帰国後は人と関わる仕事がしたくてリクルートの営業代理店に入社しました。」
大阪の人たちの地元愛が、カッコ良く思えた。
転勤によって、名古屋を離れ大阪で3年間を過ごした加藤さん。大阪の人は自分の街についてよく語ることに気づいたのだそうです。「自分の街のココが好きだ!」と胸を張って話しているのがカッコ良く見え、熱を帯びた言葉の強さを感じたといいます。
一方で、それは、名古屋出身の自分にはあまりなかったこと。何だかアイデンティティがないようで、カッコ悪く思えたのだとか。
「アメリカでも感じたことですが、自分はこう思うと言えるマインドだったり、誰かの受け売りではなく、それを咀嚼して自分のものとして伝えること。そうやって自分の柱を持たないと生きづらくなっていくだろうなと感じ、ブレない人間になりたいと素直に思いましたね。」
名古屋を面白がる人を増やしたい。
名古屋に戻ると早速、名古屋という街と向き合うべく、まちの魅力を発見・発信するNPO法人「大ナゴヤ大学」にボランティアスタッフとして参加。加藤さん自身も面白がって楽しみながら企画を考え、1年半後には2代目学長として代表を引き継ぐことになっていたのだとか。
「学長として引き継いだ際、僕は「名古屋を面白くする」のではなく、「名古屋を面白がる人を増やす」ことを大切にしました。視点が変われば行動も変わるという、リクルート営業で学んだマッチングの面白さも活かしながら、人それぞれの興味を掘っていく感じです。
ただ、大ナゴヤ大学は利益より学びの場を大事にしていました。そこで、収益を上げ自立した事業にするために「大ナゴヤ大学」からスピンアウトして2017年に立ち上げたのが「大ナゴヤツアーズ」です。その土地にしかない地域資源に出会いにいくツアーです。2000〜3000円で参加できるプログラムを年間300回開催し、3000人ほどをガイドしています。」
大ナゴヤ大学に大ナゴヤツアーズと、名古屋の街に10年以上も関わる中で、自分にしかない視点で名古屋を面白がることや、街を想う人たちの声を借りて一緒に面白がることをどう表現すべきか考えている時に、あのブルータスの名古屋特集に参加することになったそうです。
「名物」を載せたガイドブックではなく、僕たちの「好物」をまとめた1冊。
そこで働き、遊び、生活する人たちの「好き」をたくさん教えてもらい、「好き」の背景にあるエピソードや物語も大事にして、それぞれの「好物」が様々な視点で紹介されていくLOVERS’ NAGOYA。情報だけが先行されがちなガイド本や観光グルメサイトでは見えづらい「まちの温度」を大切にしたいと加藤さんは言います。
「例えば、伏見にある「大甚」という有名な居酒屋の大将が登場しますが、店のことなら皆知っているけれど、その大将はどんな1日を過ごしているんだろう。僕はそっちが気になりました。
話を聞くと、定休日の日曜にも雑用で店に行くという大将が、仕事の前に必ず立ち寄る喫茶店がありました。30年間通い続けているモーニング。美味しいからとかでなくても、行ってみたいと思っちゃいます。
そうした点をつなぎ合わせることで見えてくる、ナゴヤ人が愛するその街の姿を伝えたい。
名古屋を好きな人たちに話を聞きながら、人づてに数珠つなぎで紹介していくものです。取材に行ってみないと展開は分からないし内容も変わっていくから、僕もワクワクしながら制作しています。そのワクワクが皆さんにも伝わるといいなと思っています。」
LOVERS’ NAGOYA は、下記の販売店の他、
オンラインでも購入いただくことができます。ご興味ある方は是非!
https://loversnagoya.stores.jp
屋号 | LOVERS’ NAGOYA |
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URL | |
備考 | 【LOVERS’ NAGOYA 販売店】 |