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山形移住者アンケートからの分析・考察・提言(後編)

移住実態アンケート調査

2021.03.19

山形市に移住した人たちの声をデータ解析してみたい」。山形大学4年生金子泰地さんがreal localを通じて独自に呼びかけたアンケート、232名の方のご協力を得ることができました。ありがとうございました。その分析と考察をお伝えするシリーズ・後編です。

さて、前編につづき、山形市への移住者を対象にしたアンケート等をもとに分析した結果から得られた3つの「考察」を提示していきます。前回はひとつめ「山形市は、まだ子どもの年齢が低い子育て世代の満足度が高いまちである」について紹介しましたので、今回は、残りのふたつの考察について、述べていきます。

前編のレポートはこちら。

【山形市での生活満足度について】

図1をご覧ください。

山形移住者アンケートからの分析・考察・提言(後編)

こちらは、前編でも使用したグラフで、現在の生活の満足度を説明する寄与率が高い変数を表しているグラフです。最も寄与率が高い〈年収満足度〉が普通よりも低くなると、生活の満足度が低くなる、という相関を見て取ることができます。

現在の生活満足度が高い人はこれからも山形市に住み続ける可能性が高く、低い人は住み続けない(=流出する)可能性が高い、と考えることが可能だと思われます。

また、アンケートの分析によると、移住してきた後の不満として「コスト面(が高い)」ということを挙げている人は生活満足度が低かった、ということもわかりました。

以上のようなことから、2つ目の「考察」は次のようになりました。

【考察2】山形市に住んで「コストが高い」と感じる人は生活満足度が低くなり、流出していく可能性が高まる、と考えられる。

 

【自然のある暮らし、低コストの暮らしが求められている】

次に、山形市のUターン者の特徴について説明していきます。図2をご覧ください。

山形移住者アンケートからの分析・考察・提言(後編)

このグラフは、山形市へのUターンについての相対的な関連性を可視化したもので、ここからは「山形市へのUターン者は〈コスト削減のため〉、〈都会に疲れたため〉、〈自然環境を求めて〉」といった理由から移住してくる」ということを読み取ることができます。

また、続いて、図3。

山形移住者アンケートからの分析・考察・提言(後編)

このグラフは性別年代と、コロナ禍における価値観の変化について分析した結果を示しています。これによると、コロナの影響により、20 代の人達が生活コストの低いところで生活したくなった、という価値観の変化を読み取ることができました。

これらのことから、3つ目の考察を導きました。

【考察3】都市部に移住した山形市出身者は、〈自然〉や〈コストの低い暮らし〉を求めてU ターンしてくる。また、コロナ禍の影響がある現在、若者がUターンする傾向が高まっている、と考えられる。

以上、ここまで、かなり駆け足で、ざっくりとではありますが、3つの「考察」を述べてきました。

今回は232名の方にご協力いただいたアンケートのデータを元にしていますが、その数がもっと増えればさらに違った知見も得られたと思います。また、各設問の「その他」のなかにも有益な情報が詰まっており、その具体的な内容についても収集・分析していくことが今後の課題だと感じました。

今回の解析が山形市に移住者を増やす一つのきっかけになれば、と願っています。これまでの考察から、山形市への移住者を増やすための提言を、最後にしてみたいと思います。

【提言】山形市は、子育て世代の満足度が高いまちです。そのことをより強くアピールし、子どもの年齢が小さい、もしくは子どもがまだいない既婚者に向けて、移住かつ定住してもらうような政策を取ることが有効なのではないでしょうか。また、生活コストについての不満が、人口流出につながりうることから、市民の暮らしの生活コストを下げるような政策も有効なのではないでしょうか。そして最後に、コロナ禍の状況においては、学生などの若い年代がUターンしやすいような政策をとると良いのではないでしょうか。

以上です。ありがとうございました。

2021.3.10
山形大学理学部4年
real local山形 インターン 金子泰地