山形県寒河江市・学びの里 TASSHO
廃校活用
廃校となった小学校をリノベーション。建物を有効活用しつつ、それを取り囲むローカル色の豊かな地域資源をさまざまに楽しめる、宿泊可能な体験スポット「学びの里 TASSHO(たっしょ)」をご紹介します。
TASSHOがある寒河江市田代(たしろ)地区は、霊峰・葉山の山麓にひろがる標高300メートルほどのエリア。葉山の湧水にも恵まれ、中山間地の環境を活かした農業が盛んで、サクランボやブルーベリー、そして大根や白菜などの野菜、お米などを特産物としています。
かつては林業も盛んでした。また、国史跡の慈恩寺から葉山へとつづく修験道も通っていたと言われておりは、数多くの修験者たちが行き来していたことでしょう。信仰や自然とともにある人の暮らしの長い歴史が刻まれてきた場所なのです。
現代においてもここは、春の福寿草や夏のホタルに出会うことができる、貴重なまでに豊かな自然が残されたところ。夜には息を飲むほどに美しい満天の星空が降り注ぎます。
このエリアまでの道のりは、寒河江市街地から車で20分ほど。自転車でもすごく気持ちよく走れそうなルートです。山形市と鶴岡市を結ぶ国道112号線から県道286号線に入り、のどかな風景と緩やかな山道をゆく先にあります。
TASSHOは、この田代地区のこどもたちが通い学ぶ「田代小学校」でした。2014年に廃校となりましたが、2018年、地域の交流人口を拡大する拠点として生まれ変わりました。
では、TASSHOを探検しましょう。
まず1つめ。学びの里TASSHOには、地域の食文化を存分に味わえる里山レストラン「たしろ亭」があります。採れたての山のめぐみ、季節の旬の味わい、地域の伝統食などを楽しめます。里山定食や山菜そば、焼おにぎりが人気です。
季節のご馳走をさらに味わいたいなら、朱塗りの御膳で提供される「お膳料理」がおすすめです(要予約)。
2つめ。学びの里TASSHOは、宿泊も可能です。かつて教室だった空間は客室へとコンバージョンされ、2段ベッドの宿泊部屋や、畳敷きの和室になっています。もちろん浴室もあります。最大60人まで泊まることが出来ます。
保養や合宿にもすごくよさそうです。
田代地区はもちろん、寒河江全体をいろいろ楽しむ際の宿泊拠点とするのもいいでしょう。慈恩寺、さくらんぼ狩り、ぶどう狩り、イチゴ狩り、チェリーランド、温泉、酒蔵などなど、寒河江にあるたくさんの見どころ楽しみどころへ、ここから出発する旅は楽しそう!
3つめ。学びの里TASSHOは、さまざまな「里山体験プログラム」が用意されているアクティビティ拠点です。天下森トレッキング、わらび採り、星空観察、スノーシュートレッキング、スノーモービル、豆腐作りなどが楽しめます。
通年で体験可能な「豆腐作り」では、秘伝豆などの地元産の大豆(枝豆)や水、にがりを材料に、2時間ほどの時間をかけて手づくり豆腐をつくっていきます。
豆腐作りを教えてくれる先生は、田代地区のみなさん。今日の先生は、たしろ亭でも料理を提供してくれた宮林さんでした。豆腐作りのことだけでなく、地域の暮らしのことや何気ない会話に心癒されます。ありがとうございました!
そして、4つめ。学びの里TASSHOは、施設貸出しもしています。体育館、音楽室、多目的活動室、自炊室、グラウンドなどなど、小学校という施設だったからこそ残されているユーティリティを活用していただけます。スポーツ合宿、ピアノや音楽の練習、レジャーなどさまざまな使い道がありそうです。
最後に、5つめ。学びの里TASSHOは、地域の人たちによるホスピタリティでいっぱいです。
およその人口180人、戸数70、高齢化率50%以上という田代地区に暮らすみなさんが、この自然豊かな地域資源を喜んでくれる方たちの訪れをとても楽しみに待っていてくれています。
地元の人たちとの触れあいや、中山間地ならではの風景や自然や暮らしを、ぜひ体験してみてくださいね。
学びの里TASSHO Webサイトはこちら
text 那須ミノル
photo 伊藤美香子