ぼくらの越前海岸水仙畑ものがたり
ローカルラーニング
こんにちは!福井での暮らしが7年経ったreallocal福井ライターの牛久保です。
昨年12月に書いたレポート記事、『行ってみた!「越前水仙カメラ」で学ぶローカルフォト』からあっという間に季節がめぐり、気が付けば夏。
ローカルフォトスクール「越前水仙カメラ」は、その後水仙畑や農家さんの作業場を舞台に本格的な写真撮影や、取材をして文章を書くライティングの実践講座などが行われました。
カメラと友だちになることを目的に参加していた私ですが、回を重ねるごとに、この場所とここで暮らす農家さん達に、惹きつけられていく自分がいました。
フォトブック「きょうと あしたの 越前水仙」完成!
今回の「越前水仙カメラ」では、「きょうと あしたの 越前水仙」というフォトブックを作成しました。フォトブックでは、参加者が撮った写真と、その写真に対するそれぞれの想いが掲載されています。手前味噌ですが、どの写真も、文章も素直な気持ちが表れていて本当に良い!ぜひご覧ください!
デジタル化した写真集はこちらからどうぞ。
※全国の自治体広報誌などが見られる「カタログポケット」に登録されています。
強く美しい風景と営みを未来に残したい
2021年3月26日には越前海岸の水仙畑の文化的景観(福井市下岬、越前町上岬、南越前町糠)が、正式に重要文化的景観に選定されました。
文化的景観という言葉を聞くとなんだか難しそうだけれど、人々がこの土地の自然や風土の中で調和しながら暮らしている風景のことを指しているのだと私は解釈しています。
「越前水仙カメラ」を通じて、ここに暮らす農家さん達に出会った私を含めたメンバーたち。
もしかしたら、そこに暮らす人たちにとっては、なんてことのない当たり前の風景なのかもしれない。でも農家さん達が活き活きと働く姿や水仙畑の写真を撮った私たちには、それは決して当たり前ではない、美しく強い、未来に残したい風景と営みだと感じました。
自分事の活動が仲間を増やしていく
地域の魅力だけではなく、課題も取材して発信していくのがローカルフォト!「今年度はもっと水仙畑のリアルに迫っていきたい」と企画を担当した福井市文化財保護課の藤川明宏さんは気持ちを新たにしています。
越前海岸の水仙畑は、担い手の高齢化と獣害により、年々手入れが行き届かなくなっているのが現状です。
10年先にこの風景を届けるために何ができるのか。
火付け役である藤川さんや中村麻由美さんは公務員としてこの場所に携わり始めましたが、今やこの任務は公務の垣根を飛び越えて、大切な自分事になっています。農家のおじちゃん達とも、親戚のような距離感で、この場所にすっかり馴染んでいる様子。
かくいう自分も「越前水仙カメラ」を通じて、この場所は他人事ではない、守りたいふるさとのひとつになりました。
草刈りからスタート!
そして先日、「リアルに迫るからには、まず企画担当者自身がその現場に飛び込まなくては!」という藤川さんのアツい想いのもと、水仙畑の草刈りをしました。参加したのは有志メンバー6名。
傾斜地の水仙畑と、作業道でもある遊歩道の整備を行いました。梅雨の合間の曇り空の下、朝からみんなで草刈り機や鍬をふるいます。
こまめに水分補給と休憩をとりながら3時間の作業を行いました。畑にはツル科の植物である葛(くず)が生い茂っていましたが、その根の強いこと!浜風にさらされる植物たちの強さに思わずため息が漏れます。
ムカデやハチ、ブヨなどの生き物が沢山いるので、暑くても長袖長ズボン。こりゃ、日中は暑すぎて動けません。
ものがたりが始まります
これから1年間、リアルな水仙畑の四季を実際に体験していきます。カメラで撮ったこうあってほしいなという三歩先の未来を思い描きながら、自分たちの好きになった場所の風景を守り育てる活動の第一歩。reallocal福井でも、一緒に手を動かしながら、土と風の匂いをみなさんに伝えていこうと思います!
題して、「ぼくらの越前海岸水仙畑ものがたり」。
長く続くものがたりは始まったばかりです。どうぞ読者のみなさんも記事を通じて追体験をしてください。