福井のみなみの季節と養生 #4 / 7月夏の土用-大暑「夏の土用の養生・若狭の鰻」
福井のみなみの季節と養生は、福井の南に位置する敦賀でユニットを活動する養生(ようじょう)デザインのお二人と季節ごとの養生についておはなししていく連載です。
※養生…身体の状態を整えること
急に暑く感じる日が続くようになりましたね。7月は二十四節気では小暑と大暑を迎える時期。2021年は7月19日から夏の土用に入ります。
この夏の土用は8月6日までの19日間。土用が明けると立秋で、暦の上では秋を迎えます。
「土用の丑の日」で有名な土用ですが、実は年に4回あります。
この時期は季節の変わり目。胃腸をはじめとする消化器を労ることが大切になります。
次に迎える季節を健やかに迎えるために、身体の中心ともいえるおなかを大切にして、まずその季節の不調をととのえる。そして、不要なものを取り除いて、きたる季節をスッキリと迎える準備をする時期でもあるのです。
夏の土用の過ごし方とこの時期の養生三大ポイント
青木(以下青):この時期の養生ポイントは「お腹を冷やさない」「暴飲暴食をしない」「ストレスをためない」です。牛久保さん、この時期の過ごし方と照らし合わせてみてどうでしょう?
牛久保(以下牛):私、夏バテしないようにとこの時期けっこう食べ過ぎているかもしれません。。
青:では今年は少しでも気をつけて、この夏を元気に過ごせると良いですね。
お昼寝をうまく取り入れる
牛:あとここ最近、すごく元気な日と、なんだか調子が乗らない日の差があります。
青:梅雨時は、お天気によっても体調が変わるかも知れませんね。そして、この梅雨が明けるとさらに暑さで身体も消耗しがちです。午前中にたっぷり動いたら、午後少しだけ眼を閉じるだけでも良いので少し休憩しながら過ごしてくださいね。
牛:横になってもいいんですか?
青:はい、おすすめですよ。外からの情報をシャットダウンする意味でも、少し涼しい風に当たりながら休息をとってみてください。ただし、30分以上寝入ってしまうと深い眠りに入ってしまって、起きにくくなったり、夜の眠りを妨げることにもなります。お昼寝の目安は15〜30分間くらいにしましょう。
牛:暑いとそれだけでイライラしやすかったり、ストレスも溜まるんですよね。
青:そうそう。少しでもクールダウンする習慣を生活に取り入れて、身体と脳を小休止させてあげてましょう。
食中毒や寝冷えなど、暮らしの中の少しの隙を再確認する
青:急な暑さで、今まで常温で置いておいても大丈夫だったものが知らずに傷んでいるのもこの時期ですね。
牛:あ、確かに!うっかり冷蔵庫に入れ忘れたお味噌汁とか一晩でダメになっています。
青:自分は元気だから大丈夫!とか、いつも食べているものだから、と思っていても過信せず、この時期は慎重にしましょうね。それと、いつも元気なお子さんも急に発熱したりと、夏は症状が激しく急に現れるのも特徴の一つです。暑さ対策はカラダに気をつけるだけでなく、取り入れるお食事とその衛生面にも十分気をつけましょう。
御食国(みけつくに)若狭の鰻(うなぎ)
さて、「土用の丑の日」といえば鰻。福井県の若狭町は、鰻でも有名です。
若狭町には現在4件の鰻専門店があり、今回はそのうちの一つ、源与門(げんよもん)さんにお話を聞いてきました。源与門さんは昭和7年7月7日創業。現在は4代目の小堀和広さんが店主をされています。今回は3代目の友廣さんにお話をお伺いしました。
福井県の若狭地方には三方湖、菅湖、水月湖、久々子湖、日向湖と繋がる三方五湖と呼ばれる湖がありますが、この湖は淡水魚の宝庫。鰻もその一つでした。この地域は古くから御食国わかさと呼ばれ、京都の食文化を支える重要な役割を担っていました。江戸時代後期には鯖街道を通って、鰻も京まで生きたまま運ばれていたという記録も残っているそうです。
焼きたてをすぐ食べること!
源与門さんの鰻は炭火で鰻を一匹ずつ手作業で丁寧に焼かれています。
串打ち3年、裂き8年、焼き一生と言われ、焼き上がりの加減は指の弾力ではかっていらっしゃるとのこと。まさに職人技!暑い夏、炭火からの遠赤外線で暑さも極限状態の中、丹念に焼かれる鰻。より美味しいものを届けたいという源与門さんのこだわりが伝わってきます。
美味しい食べ方をお伺いすると「裂きたて焼きたてをすぐに食べる。鰻は味の瞬間芸だ」とお話しくださいました。実際、私たちも「写真を撮る前に食べる!」と念押しされ、一番美味しい焼きたての瞬間を逃さないことも、源与門さんの鰻を味わう秘訣の一つと教えていただきました。
運ばれてきた焼きたての鰻を口に運びます!外はカリッと、中はジューシー!思わず顔がほころびます。お話をお伺いしてからいただく鰻は、より味わい深く本当においしかったです。
とことんお客様へ美味しい鰻を提供することにこだわる源与門さん。ご予約は受け付けておらず、当日お店に到着された方からのご案内となっています。お店に並ぶ時から、鰻を食べる待ち遠しさも楽しみになりますね。
鰻の効能は目の疲れと、疲労回復
鰻は目をよく使う方、目の不調にお悩みの方におすすめです。昔から精のつく食べ物として珍重された鰻。疲労回復や滋養強壮といった夏のお疲れ気味の身体の強い味方でもありますよ。
ただし、脂が乗っている鰻はよく冷えたビールなど、冷たい飲み物と一緒にとることはあまりお勧めしません。食事を取るときにお腹が冷えてしまって、消化の妨げとなるからです。せっかく美味しく滋養のあるものをいただくなら、お腹を労りながら十二分にその栄養をいただきたいものです。
また山椒もお好みでご一緒に。鰻と相性抜群の山椒もお勧めです。実は山椒はお腹の冷えを感じる方に取り入れていただきたい食材なんです。知らず知らずのうちに、冷房や冷たい食べ物飲み物で冷えてしまったお腹をいたわるためにも薬味として取り入れてみてくださいね。
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屋号 | うなぎや源与門 |
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URL | https://unagiya-genyomon.com/ |
住所 | 福井県三方上中郡若狭町三方52-6 |