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【郡山・イベントレポート】WITHコロナ時代、生活者のニーズに合わせたものづくり。

イベントレポート

2021.08.27

【郡山・イベントレポート】WITHコロナ時代、生活者のニーズに合わせたものづくり。

福島県郡山市に拠点を置き、グラフィックからまちのデザインまで幅広く事業を展開している
「ヘルベチカデザイン株式会社」。創立10周年を記念して、2021年7月31日(土)から8月5日(木)にかけてイベントを開催しました。この記事ではイベントレポートの第2弾として、「出張オールユアーズ試着会」で行われたクロストークの様子をお届けします。

ヘルベチカデザイン株式会社についてはこちら
出張オールユアーズ試着会についてはこちら

〈登壇者〉
株式会社オールユアーズ 代表取締役 / ライフスペック伝道師 木村まさし氏
IFNI ROASTING & CO. 代表 松葉正和氏
FARCRY BREWING 代表 小林宏明氏
Helvetica Design株式会社 代表取締役 /(一社)ブルーバード  佐藤哲也氏

アップサイクルな、服づくり。

佐藤:みなさんこんばんは。お忙しい中ありがとうございます。ヘルベチカデザイン株式会社が2011年8月に立ち上がってからちょうど10年ということで、今日は全国からスペシャルゲストが来てくれました。みんなが今やっていることや、興味あることを聞いていこうと思います。ではまず軽く自己紹介をしてもらえますか?

木村:東京から来ました。「オールユアーズ」の木村です。

松葉:静岡から来ました。「ブルーバード」でコーヒー豆を提供させてもらっている「イフニ」と言います。よろしくお願いします。

小林:今年の2月に、群馬県桐生市で産声をあげた「ファークライブリューイング」というビールの醸造所を経営しています。

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写真右手から、佐藤さん、松葉さん、木村さん、小林さん。みなさんそれぞれ、東京、静岡、群馬からお集まりになりました。

佐藤:ありがとうございます。みんな業種はバラバラなんですが、こうしたつながりから場がつくれるのはとてもいいなと思っていて。みなさんいろんな活躍をされていて、メディアにもがんがん登場されていますね。最近、みんながどういうことを考えているのかを聞いていこうと思っています。一発目に木村くん。今回、コロナでサービスを提供する側と買い手の距離が遠くなったというのがあったと思うんですが、オールユアーズは前からオンラインで注文するスタイルをとっていますよね。ほかのメーカーがそれに追随してるというか。そのあたりはどう思いますか?

木村:うちは考え方が違うんです。試着しかできなくて、その場で買えないんですよ。気に入ったらオンラインで買ってもらうんですけど。これやりだしたきっかけは、買い物に行ってその場のノリで買って、全然着ないってあるでしょ。それを止めたい。マジで、自分で決めてほしいんですよ。家に帰ってまだ欲しい服って、本当に欲しい服だと思うから。その場で決済してもらったらすごく嬉しいんですけど、強く推すようにはしてないです。「自分で買う」という体験をしてもらうこと。「自分で決める」ということ。それでオンライン販売のみにしました。

【郡山・イベントレポート】WITHコロナ時代、生活者のニーズに合わせたものづくり。
ブルーバードアパートメント喫茶室で行われた試着会

小林:「オールユアーズ」のスタイルって、時代の最先端をいってる感覚もあれば、逆を行ってる感じもあるなと。「ファークライブリューイング」ではアパレルも取り扱ってるけど、「オールユアーズ」を定期的に仕入れるというよりは、こうやってうちも試着会の会場に使ってもらって、そこに人が集まりネットで買ってもらうことが、すごく時代にフィットしている気がする。

木村:「オールユアーズ」は同じものを長く売っているので、その間に痩せたとか太ったとかいう人が結構いて。そういう人が気軽に買い換えられるように、回収のサービスをテストで始めました。回収した服は洗浄やリペアをして、セカンドハンドでちょっと安くしてもう一度売る。買ってみたかったなという人にも、より気軽に手にとってもらいやすい商品をつくりたいなというのがひとつ。あと、ぼろぼろになった服もほしいんですよ。着れなくなった服を二酸化炭素やダイオキシンを出さないでセラミックにできる技術があって、それで焼き物をつくりたい。服から器をつくるっていう。

松葉:ECサイトをやる人がすごく増えましたよね。お店は持ってないけど、サイトだけで商売をやってる人が、コーヒーや飲食業界でもすごく増えている。その分、すごくいろんな商品が出すぎてて、「どれが自分にいいんだろう?」って迷うこともある。そんなときに「ブルーバード」もそうだけど、実店舗や場所があるっていうのが、とても良いことだなと思いますね。

世界と、コーヒー豆でつながる。

小林:みんな自分のこと話してないから、僕が松葉さんの説明しますけど。ずっと付き合い長くて。松葉さんはエジプトかどっかで、発掘の仕事をしているときにコーヒーに出会って、コーヒーにハマっちゃって焙煎を始めたっていう。僕らのまわりで「イフニ」のコーヒーを使ってる人多いんですけど、みんな共通して「お茶みたいに飲める」って言うんですよね。

佐藤:そこなんだよ。

小林:もともと俺って、コーヒー苦手だったんだけど。「イフニ」のコーヒーは、毎日飲んでいても、お茶みたいに飲める。松葉さんは、日本人というフィルターを通したときに、日本人に合うコーヒーに昇華するところを、唯一実践できている焙煎士さんだなと思っています。

佐藤:ぼくらは、おじいちゃんおばあちゃんも来れる店がいいなと思って喫茶室をやってるんですけど。おしゃべりしていたらコーヒーがなくなっちゃって、もう一杯飲もうみたいなシーンをつくりたいと思っていて。そんなことを松葉さんと静岡で話して、一緒にコーヒーをやることになりました。みんなが飲めるものをつくりたいなと思って。

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ブルーバードアパートメント喫茶室で提供しているコーヒーは、「イフニ」が手がけたもの。

小林:松葉さんのいいなと思うところって、ドトールとかのコーヒーもちゃんと飲むし、おいしいって言うところが、すごく柔軟性あるなと思う。そこで「俺のつくってる豆が一番」って感じになってないのがすごく共感できるし、かっこいいなと。

佐藤:めちゃくちゃかっこいい。

松葉:好きな味を見つけてもらいたいんです。味がおいしいなんて、誰がどうやって決めるのか、基準が分からない。だから、とにかくまずくないというのが大事かなと。それだけでしか、コーヒーをつくってないんですよね。結局、デザインも服もビールも、そのときの気持ちが記憶にのこっていく。だから、味もその記憶をつくる、みたいな感覚がありますね。

佐藤:松葉さん、「WANTOK」の話をちょっと聞きたいんですけども。

松葉:実はぼく、日本政府やパプアニューギニアと仕事をしていまして。4年ほど前、パプアニューギニアへ行ったときに、コーヒー豆のジャングルみたいな場所へ連れて行ってもらったんです。コーヒーの品種ってだいたい200弱あるんですが、そこで見つけたコーヒー豆が、コーヒーの元祖といわれるもの。ジャングルを8時間くらい歩いた先から持ってこないといけないし、すごく大変なんだけど、外務省とかそのあたりの人たちに相談したら、日本とパプアニューギニアの架け橋としてやってみようということで。4年くらいかけてようやく輸入のルートが整って、この先30年まで、豆を仕入れられるようになりました。

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「WANTOK」の精神に強く惹かれたことをきっかけに、Tシャツやキャップ、トートバッグなどのアイテムを展開。

このプロジェクトは、アメリカが豆を鑑定してくれたり、船はロシアが出してくれたり、ほかにも外務省、経産省、パプアニューギニア政府と一緒にやってるというのがあって。で、「WANTOK」って、パプアニューギニアのことばで「家族」や「友達」という意味なんですけど。800くらいの部族があるなかで、「WANTOK」が唯一の共通言語なんですね。現地の人たちがもつ人を思いやる気持ちとか、愛国心に惹かれて、ぼくが日本で商標をとりました。

「発酵」をテーマに、日本で一番アバンギャルドなビールを。

佐藤:宏くんは、ビールつくってるじゃないですか。どうですか、ビールの売れ行きとかは。

小林:2月にオープンしたばかりというと、みんなびっくりされることが多くて。コロナ真っ只中で、よくこのタイミングで攻めたなって言われるんですけども。今は、生産が追いつかないくらいに売れています。ビール好きな人って、他のお酒好きな人よりも熱狂的な人たちが多いんだなとすごく思いましたね。だから、おいしくないと一気に廃れる。1年で相手にされなくなっちゃう世界だから。そういう意味では、良いスタートがきれたなと実感しています。

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小林:醸造の世界って、ちょっとノリがストリートっぽいんです。スケボーに近くて、うまいやつが一番、みたいな。頭悪かろうが、性格悪かろうが、うまいやつがその世界では一番みたいなノリ。焙煎士によってコーヒーの味が変わるように、醸造士によってビールの味も変わる。最新の機械を入れとけば、そこそこおいしいビールができると思ってたんですけど、全くもってそんなことない。結局、原材料が自然界のものなので、塩梅なんですよね。経験値や、もともと持ってる勘がものを言う世界。

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ファークライブリューイングのクラフトビールを片手に、トークを聞く人も。

小林:ぼくらのビールは、「日本で一番アバンギャルドなビールだ」と言い切っていて。何がアバンギャルドかって、日本のホップや麦を使うとか、そういうことではなくて。ぼくらはドイツのものを使っていて、うまいし安定供給だし安いし、お客さんに負荷がかからない。それと、白麹を使って醸しているビールをメインで出していて。

木村:結構、麹の味がしますね。

小林:外国人が「麹」って発音するくらい、今世界で注目されているんです。そういう意味では、時代が押してくれてる気もします。それに日本人って発酵文化とともに生きているから、本来はコーヒーやビールをつくることも、アドバンテージあると思うんですよ。

佐藤:醸造所は見学できるんですか?

小林:事前に言っていただければ、醸造士のテンション次第ですけど。あいつが醸造してるときは絶対ムリですね。ぼくも入れないので。

松葉:今話を聞いてて思ったのは、いろんな大きいメーカーがあるけど、ビールにしても、服にしても、良いものは良い。ブランド力でごまかせない時代になってるよねって思います。

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佐藤: 最後に、ヘルベチカおよびブルーバードの今後の目標と言いますか、オーガニックの食堂をつくろうと思って準備していまして。堆肥をつくって在来種の種から福島の野菜を育てて、それを食卓に並べるということをやろうと思っています。そういう、地域のなかで循環できる関係性や、産業を分断されているものをつなげていくところに興味があって。今日はそうした仲間たちが来てくれているんですけど。今日はオールユアーズの服も、松葉さんのコーヒー豆も、ビールもありますので、ぜひこの後も楽しんでもらえたらと思います。

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トークイベント終了後、会場は試着会に早変わり。みなさん服を手に取りながら、「オールユアーズ」の世界観を楽しまれていました。