【大阪】「場」としての印刷所 レトロ印刷JAM
「レトロ印刷」という名称を聞くと、なんとなく懐かしさと期待感が入り交じる。版画のような仕上がりと、紙の手触りや質感が魅力で、オリジナリティーを求めるデザイナーさんたちの御用達の印刷所だ。とかいう自分もかつて、ZINE制作でお世話になった思い出もある。
「レトロ印刷を始めたのは、10年程前。あるデザイナーさんに、大正時代の印刷物のような表現がしたいと言われたのがきっかけで。元々うちには一色刷りの機械しかなかったのですが、その方のために二色刷りにチャレンジして刷り上がった作品を、これが欲しかった!と大変喜んでいただきました。それ以降も面白い作品がどんどん出来上がるのを端から見ながら、これは面白いと私たちも感じ、『レトロ印刷』と名づけて運営の主軸に据えました」
もともとレトロ印刷JAMは、大阪北区にあった。近くの中崎町エリアは、細い路地裏に木造長屋をリノベーションしたカフェやギャラリー、雑貨店などが民家と混在して並んでおり、時の流れから取り残されたような雰囲気の漂う町だ。JAMはこの独自の文化を持つ町とともに育ってきた。そして2014年6年、もっと人が集まりやすく、作業しやすい環境を提供するため、広さを重視した現在の場所に移った。
昔から大阪は、フリーペーパーや自主出版の文化が盛んだと言われる。物事をフットワーク軽く始められる風土があるからだろうか。確かに、今までにない表現がしたいデザイナーが、神戸や奈良からJAMまで通ったり、何か表現したいと考えて集まったチームが「まず作ってみよう!」とJAMの扉を叩いたりしている。表現したい想いを受け入れてつなぐ、場としての役割がここにはある。
ワークスペースを生かした、ユニークな企画もいろいろ進行中だ。 例えば、「つながる企画」は、つくれる人とつくりたい人を結ぶという企画。例えば、音楽活動をしている人と絵を描ける人がCDジャケット制作でつながるといった具合だ。将来的には、ここの一角にギャラリースペースも設けられるそうなので、展示・発表もできるだろう。
「私たちの役目は、モノづくりや表現をする人のお手伝いをすること。原稿からこの場所でつくって、その日に作品として持ち帰ることもできます。家でつくりにくい大きさの作品も制作できますし、制作のチームで打合せに使っていただいてもOK。場所利用は無料です。インク・紙・文房具・工作するための必要道具も揃えています。ここに来たら、手ぶらでもとりあえず何かつくれると、そういう状態にしたいんです。仕上がった作品を見ていると、凄いなといつも思わされます。いろんな化学反応が、どんどんこの場所で起こってくれると嬉しいです」
屋号 | レトロ印刷JAMのお店 |
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URL | |
住所 | 大阪府大阪市北区豊崎6丁目6番23号 |
備考 | 【レトロ印刷JAM】 http://jam-p.com |