【鹿児島県いちき串木野市】発酵が生み出すご縁とワクワクの循環/発酵食Lab 塩田亜耶子さん
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鹿児島県西部にある、いちき串野市の商店街で2021年6月にオープンしたお店「発酵食Lab」。オーナーを務める発酵料理研究家の塩田亜耶子さんに話を聞いてきました。
転機は病気と島旅
塩田さんは関西出身。京都の大学で服飾や食物、流通のことを学んでいたといいます。就活をしていく中で服飾に興味を持ち、アパレル業界に就職しました。
仕事やプライベートも楽しんでいましたが、生活習慣や食生活の乱れがきっかけで大きな病気になってしまいます。
当時の食事はコンビニ弁当や外食が多く、不規則な生活も続いたことから体調を崩し、骨腫瘍を患いました。
そこから、食生活を見直すことにした塩田さん。色々調べていく中で出会ったのがマクロビオティックでした。仕事をしながら休日を利用してマクロビオティックの教室へ通ったといいます。
病気以外で大きな転機にとなったのが島旅。都会で育ち、かつ、都会でずっと仕事だったのは塩田さんにとって、島は触れたことのない世界でした。
その中で伊豆大島が好きになり、よく泊まっていたゲストハウスのオーナー夫妻や旅仲間と出会い、人生観が大きく変わったといいます。
そこから島暮らしを意識するようになったそうです。離島のことを調べていると、ある求人を見つけることになります。
それは地域おこし協力隊の募集でした。薩摩川内市の甑島で食の特産品開発がミッションという内容。
それまで鹿児島にすら行ったことがなかった塩田さんでしたが「病気や食の経験が活きるかもしれない」と思い、応募。見事採用され、甑島にて新しいスタートを切ることになります。
ご縁の循環
初めての島暮らし。特産品開発のミッションを進めていく上で大きな壁にぶつかったといいます。
それはクライアントの思いをうまく汲み取ることができなかったこと。甑島で仕事をするまでは趣味として食に関する活動をしていたので、自己完結することがほとんどだったそう。
様々なクライアントとやりとりしていく上で、相手に寄り添うことの大切さを学んだという塩田さん。
甑島での経験を積み、たくさん人の状況や背景を知るたびに、もっと相手の思いを汲み取る必要があると感じ取ったそうです。
地域おこし協力隊を卒業後、甑島といちき串木野市の2拠点で発酵料理教室を開催。
回を重ねるにつれ、受講者が新しい人を連れてきたり、自宅で発酵料理を作ってSNSで発信したりすることで色々なご縁が生まれてきました。
「教室だけで終わらず、受講者の皆さんが楽しんで生活に取り入れてくれているから、発酵の楽しさが伝わったのだと思います」と塩田さんは話します。
その時だけの楽しみではない、その人や周囲の人の人生を豊かにすること。それが教室を開催している中で一番の喜びだったといいます。
味噌から広がるワクワクすること
昨年末に仕事をお願いしていた仲間から「受講者だけではなく、皆が気軽に発酵食品を購入できる場所があったらいいよね」と会話になったそうです。
その日のうちに空き家のオーナーに相談し、お店をオープンする準備を進めてきました。設計もウェブも写真等も全て信頼関係のある人たち。
「このお店は、ご縁のある人たちで作って空間です。皆さんに素晴らしい仕事をしてもらったから、私も更に素晴らしい仕事をしようと思いました。」と塩田さんは嬉しそうに語ります。
お店をオープンしてから今まで交流がなかった人たちが足を運んでくれるようになったそうです。元々発酵に興味があった人、何かわからないけど何気なく立ち寄った人等、様々。
塩田さんの最終目標は味噌汁をコーヒーの代わりに飲んでもらえるような場所にすること。
味噌玉をお湯に溶かすような、今の時代に合った手軽に取り入れる方法を提案したいと考えているそうです。
塩田さんは「商品を売ることが目的ではありません」と話します。 「一人でも多く味噌を自分で作って、その美味しさを実感してもらうことが一番の目的です。そうすることで、発酵や味噌を日常として取り入れて、色々なご縁が広がっていってほしいと思っています。そうすることで、もっとワクワクすることが増えていくのでしょうね。」 そう話す塩田さんの表情からは、そんな未来を感じさせるオーラが漂っていました。
発酵や味噌、塩田さんの活動に興味がある方は、一度『発酵食Lab』に足を運んでみてはいかがでしょうか?
屋号 | 発酵食Lab |
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URL | |
住所 | 鹿児島県いちき串木野市旭町76-1 |