【福島県・葛尾村】移住者に聞いたリアルな村暮らし「楽しいことは自分でつくる!」
移住者の声
短大を卒業し、福島県葛尾村に移住した茂木さんにインタビュー。葛尾村での暮らしや働き方などについて語ってもらいました。
福島県、葛尾村。
村で住み、暮らす方が400人程度というちいさな村ではありますが、若い世代の移住者や関係人口が増え、勢いのある村です。
今回はその移住者の一人、茂木若菜(もてぎわかな)さんを取材。秋田県出身、福島県郡山市にある短大を卒業後、2021年4月に「一般社団法人葛尾むらづくり公社」に入社されました。葛尾村でのリアルな暮らし、これからやってみたいこと。葛尾村が気になっている方や、暮らしてみたい、働いてみたいという方にも読んでいただきたいストーリーです。
初めは、思ったより田舎だ!って思いました(笑)。
ーー 茂木さんは2021年の春に移住して、公社で働かれているんですよね。まだ半年も経っていないと思いますが、葛尾村での暮らしは慣れてきましたか?
ひとり暮らしそのものが初めてで、最初は大変だったんですけど…だいぶ慣れてきましたね。村の人の顔と名前がようやく一致してきて、自分から積極的に話しかけられるようになりました。
ーー そもそも葛尾村へ移住したきっかけって、何だったんですか?
わたしの祖母が郡山市で民泊を営んでいまして、学生時代はそこで下宿していたんです。わたしも住みながらお手伝いをしていて。コロナ前のことなんですが、民宿には県内外から、そして海外からもいろんな人が集まっていました。訪れる人も、地域の方も、みんなが楽しそうに過ごしているのを見て「いいな」って。そこから、わたしも「地域活動」に興味を持ったんです。地域の人たちと関わりながら、地域を盛り上げるような活動をしてみたい。そこでつながったのが、葛尾村でした。ここでは同じ大学の先輩がいたり、祖母の知り合いがいたりして、それが心強いなと。
ーー 茂木さんご自身は、葛尾村へ来たことはありましたか?
実は、ないんです。「葛尾村」の存在は知っていたんですけど、行ったことは一度もなくて。
ーー 移住してみて、最初はどんな印象をもちましたか?
「思ったより田舎だ!」と思いましたね(笑)。「大きなスーパーがない!」って。
ーー 田舎って、都市に比べて不便なところもあるかと思うんです。そこに対する抵抗感みたいなものはなかったですか?
そうですね…いろいろと考えはしたんですけど、都会より田舎の方が好きかなって。学生時代に住んでいた家も、郡山とはいえコンビニまで車で10分くらいかかるような田舎で、「これまでの環境と似てるっちゃ似てるなあ」って(笑)。それよりも初めてのひとり暮らしで、周りに知ってる人が誰もいないっていうことが、すごく心細かったです。
悩みを相談できる人がそばにいる、安心感。
ーー 今はどんな仕事をされているんですか?
葛尾村には「凍み餅」や「ヤギパン」など、いろんな特産品や商品があるんです。それらを物産展などで販売するときの接客や在庫管理、納品など、葛尾村のPRに携わっています。
ーー 初めての仕事だと思いますが、今の手応えはいかがですか?
まだ先輩に教えていただきながらではあるんですが、少し仕事に慣れてきたのか「自分もできてる!」って、ちょっと自信がついてきました。できることが増えていくのって、嬉しいですね。
ーー まわりの方のサポートも大きいのでしょうか。
それがすごく心強くて。先輩も、特にたみこさんの存在が大きいです。
ーー たみこさん?
葛尾村出身の、公社のスタッフです。みんなのお母さんっていう感じで、わたしにもたくさん話しかけてくださるんです。「仕事どうだ〜?」とか、「漬物つけたから食わっせ!」とか。仕事だけでなく生活面でも、すごく気にかけてくださるんですよね。
ーー 初めは心細かったというお話がありましたが。たみこさんがいることによって、不安が解消されたことも?
そうですね。まず悩みごとを相談できるのが安心です。地域をまわるときに同行させていただき、地域の人たちと話す機会をつくってくださったり、仕事でも細かなことから教えてくださって。
ーー 田舎って、まずは地域に溶け込むことが大切だったりすると思うんです。そのあたり、工夫されたことってありますか?
うーん、やっぱりしゃべるしかないと思います。自分から話しかけるのって緊張するんですけど、たみこさんがいてくださるから、わたしも話すきっかけをもらえていて。イベントの案内や、公社でつくっている野菜の話をしたり。あと最近はコロナで開催できていないんですが、地域の方々といっしょにバドミントンをすることもあります(笑)。そうした交流から、顔見知りが増えるので楽しいですね。
「ないものは、つくる!」じぶんで楽しみを見つける、ゆたかな暮らし。
ーー ちょっとプライベートのお話も聞いていいですか?仕事が終わってからや、休みの日って、どんな風に過ごされていますか?
葛尾村に移住してから、料理をするのが好きになったんです。「今日はこれをつくってみよう!」とか、「漬物つけてみよう!」とか。あと、公社で野菜を育ててるって話をしたんですけど、今は毎日、ナスときゅうりとズッキーニに追われています(笑)。
ーー 野菜に追われる日々(笑)
仕事が終わって先輩と一緒に「お疲れさまでした〜!畑行ってきまーす!」みたいな感じで。自分でお野菜を育てるのは初めてで、「がんばれ!もっといけるぞ!」って、野菜たちに声をかけています(笑)。
ーー なんか楽しそうですね〜!!
お野菜がとれた時の感動もすごくて。「あ!とれた!」って最初はなるんですけど、途中から「あれ、減らないなあ」って思い始めて、みんなに「いる?」って聞くんですけど、「あるからいらない」って言われて。
ーー みなさんそれぞれに、お野菜育てたりしていますもんね。
あとは星空もすごくて。夜寝るときに、カーテンの隙間から星がキラキラして見えて「天然のプラネタリウムだ!」って感動しましたね。で、そのままカーテン開けっぱなしで寝ちゃったんですけど。
ーー なんか、すごく毎日が充実していますよね?
すごく充実しています(笑)。あちこちにカフェがあるわけではないから、都会暮らしのような楽しみ方はできないんですけど、その分自分で楽しみを見つけたり、楽しいことをつくれることが多くなったと思います。
やりたいと思ったことは、みんなが後押ししてくれる。
ーー 「田舎って何もない」ってよく聞くんですが、「何もないならつくっちゃえ」っていうポジティブな姿勢が、茂木さんからは伝わってきます。
それはわたしだけじゃなくて、葛尾村のみなさんや、公社の人たちもそんな感じだと思います。「これやってみたいんです」って相談すると、地域の方々も「じゃあやるか!」って後押ししてくれますし、ここならやりたいことを形にできるような気がします。
ーー みなさんが応援してくれる環境なんですね。
みなさん、あったかい人ばかりで。公社の職場でも、仕事の話ももちろんするんですけど他愛ない話で盛り上がったりして、すごく明るい雰囲気というか。「楽しい!」って思う場面や瞬間がたくさんあって、初めての職場がここで良かったなって思います。
ーー これからどんなことにチャレンジしてみたいですか?
みんなが楽しいと思えることや、笑顔になれることをやりたいという気持ちがありまして。まずは葛尾村の文化やあゆみをもっと深く知って、葛尾村をいろんな人に知ってもらえるような活動に取り組みたいです。まだ具体的ではないんですが、「民泊」ができたらな…とも考えていまして。
ーー 茂木さんのおばあさんも、民泊をされていますもんね。
はい、わたしもそこでのつながりがあって、今ここにいるので。次は、自分からつながりをつくっていけるようになりたいです。
ーー 村の人たちや、公社のみなさんと支えあいながら、いろんな人が集まる場をつくっているイメージが浮かびます。
そうなれるように、がんばります!