【郡山/イベントレポート】見て・聞いて・つくって、こけしづくし!中ノ沢こけし愛があふれる3日間
レポート
福島県郡山市に拠点を置き、グラフィックからまちのデザインまで幅広く事業を展開している「ヘルベチカデザイン株式会社」。創立10周年を記念して、中ノ沢こけし展示&トークイベント・絵付け体験を開催しました。この記事ではイベントの様子をお届けします。
イベントが行われたのは、2021年9月18日(土)〜20日(月)の3日間。郡山市内にあるブルーバードアパートメント喫茶室にこけしがずらりと並び、中ノ沢こけしの展示・トークイベント・絵付け体験が行われました。
【中ノ沢こけしとは?】
福島県の会津地方、猪苗代町の山奥に広がる中ノ沢温泉。
この中ノ沢温泉周辺で、およそ100年前から作られてきたのが「中ノ沢こけし」です。
100年の歴史がある 表情豊かな中ノ沢こけし
トークイベントでは、猪苗代地方史研究会・会長の安倍なかさんが中ノ沢こけしの特徴や歴史について教えてくれました。
「2022年で、中ノ沢こけしは誕生100年を迎えます。大きな特徴は、顔の表情。他のこけしよりも、ちょっと目が大きくてインパクトがあります。目の周りに赤い化粧をされているのが中ノ沢こけしを代表するこけし。“たこ坊主”と呼ばれています。」
中ノ沢こけしをつくった人は、岩本善吉という人。栃木県出身で、旅芸人の手伝いをしながら全国各地をめぐっていました。40歳を過ぎたころ、善吉は中ノ沢を訪れます。中ノ沢は、猪苗代町の山奥にある温泉郷。大正時代には硫黄鉱山のまちとして栄え、多くの人が集っていたそうです。
安倍なかさんはこう続けます。
「私は“善吉さん”と親しみを込めて呼んでいるんですけどね。この温泉街が、善吉さんにとって居心地よく感じたのではないでしょうか。もう少しこの地域にいたいと思って、宿に泊めてもらったお礼に踊ったりして、地域に少しずつ馴染んでいったんだと思いますよ。善吉さんは手先が器用な方だったそうで、ものづくりも得意。次第にいろんな人からものづくりの依頼が入るようになり、温泉街のお土産としてこけしをつくってみたらと言われてつくってみたのが、“中ノ沢こけし”の始まりだと思います。」
最初にできたこけしは、ちょっとやんちゃで酔っ払いのような顔だったんだとか。そこから「たこ坊主」という遊び心あるネーミングが生まれたのではないかと、安倍なかさんは語ります。
中には頭が青いこけしもあり、「あお坊主」と呼ばれているそう。同じ中ノ沢こけしでも、それぞれに個性があるんですね。
イベントには、こけし工人の方や、50年かけてこけしを収集しているこけしコレクターの方も。「いつもそばに置いておきたい愛らしさがある」「癒される」「人間くさいところが好き」と、中ノ沢こけしの魅力を語りました。
オリジナルの中ノ沢こけしづくり!
トークイベントの次は、絵付け体験。こけし工人さんから教わりながら、顔、胴体を描いていきました。「初めて絵付けする方は、お手本にするこけしを決めて、真似しながらやってみるといいですよ」と、こけし工人さん。
参加者の皆さんそれぞれにお気に入りのこけしを見つけて、無地の木に色をつけていきます。
こけしが好きな人も、こけしをあまり知らなかった人も、こけし愛くすぐられる時間でした。中ノ沢こけしに興味がある方、ぜひ中ノ沢温泉へ遊びに行ってみてはいかがでしょう?連れて帰りたくなるようなこけしとの出会いがあるかもしれませんよ。
中ノ沢こけしについてもっと知りたい方、こちらも合わせてどうぞ!
【中ノ沢こけし】日本橋のキャリアウーマンから、こけし職人に!/小林澄子さん