【愛知県名古屋市】空き家のシェアハウスが 地域活性化を手助けする。
インタビュー
日本各地で空き家問題が深刻化する中、空き家で地域の活性化を実現しているコマヴィレッジ。空き家をおしゃれなシェアハウスにリノベーションすると、そこで若者が暮らすようになって、町も元気になるのだとか。そんなシェア不動産ビジネスの先駆けとして活躍する、コマヴィレッジ代表の仲尾正人さんに話を聞いてきました。
空き家の半分以上が、実は再生可能なお宝物件。
「空き家は世の中から捨てられる物件ではないと思っています。持っている人がいらなくなったからといって、世間もいらないとは限らないんですよね。」
そう考える仲尾さんのところに持っていけば、町の邪魔とされていた空き家を何かしら必要とされるものに変えてくれるだろうと、様々な相談が飛び込んでくるそうです。その中で得意としているのがシェアハウス。若者向けのシェアハウスにすることで、空き家のポテンシャル以上のことを表現できるのだと言います。
これまでに旅館や社宅、社員寮など様々な空き家を手がけてきましたが、その建物がもともと持っている雰囲気や面影を少しだけ残しながら、それが個性になっていくように再生すれば、新築よりも面白い物件になるのだとか。
もともとアパート・マンションを経営する会社で働いていた仲尾さんが、プライベートでも小さな分譲マンションを一室購入して賃貸運営を始めたのは20代の頃。30代では一棟を手がけるようになり、古いアパートをDIYでリフォームしてよみがえらせ、次々と満室にしていったそうです。そんな時に声がかかったのが、名古屋市港区にあった築40年以上の古い旅館の再生。
廃業になって建物を壊すにもお金がかかります。それならと、22部屋のシェアハウスにリノベーションしました。「22人の若い人たちがこのシェアハウスをいいと思って入居してくれれば、街にも活気が戻るかもしれない。街にとってもいいと思えた。」と振り返ります。
22部屋はわずか3カ月で満室となり、7人の入居待ちが出るほどの人気物件に。現在も、社員寮を手放す企業が多いけれど、古くても上手く加工することでマイナスな部分は無くすことができるのだそうです。
ワンルームでは得られない価値がある。
仲尾さんが会社を辞めて、シェア不動産ビジネスに参入したのは2013年。当時の名古屋では、戸建てのシェアハウス物件が50軒ほどあるくらいで、まだシェアハウスというカテゴリーもなく、ワンルームの延長にあったと言います。
家具家電付きのワンルームアパートと、共用部があって家賃が割安なシェアハウスと、入居者の優先順位ですみ分けがされていたのだとか。となれば、ワンルームにはない共用部をどれだけ魅力的にできるかがポイントになってきます。長く住みたいとは思ってもらうには、安いだけでなく、共用部の充実が不可欠。ここでしっかりと見せ場を作ることが大切なのだと言います。
「設備や間取りでトラブルがないようすることは大前提。それプラス何を用意できるか。例えば、テレビは大画面がやっぱり魅力だと思うから、50-60インチ以上にしています。
他にも広いリビング、使い勝手のいいダイニング・キッチン、シアタールームやライブラリーなど、物件を見に来た人にとって驚くポイントがいくつかあるように心がけています。
シェアハウスでリビングが一つだと、いくら交流好きな人でも息が詰まってしまうことも。息抜きできる場所も必要なので、遊べるスペースが2−4箇所と多めにあると、過ごし方が多様になります。
シェアハウスでは、住み方が大事だと感じています。誰と、どんな時間を過ごすのか?だから物件ごとに個性が出てくるべきで、もともとの建物の趣や、中古であることも活かしたいと思っています。
木材を多用して柔らかい雰囲気にしているのは、木材は劣化でなくエイジングしていって味が出るものだから。中古物件だからこそ、それが馴染んでいくようなものにしたいですね。」
一人暮らしでは味わえない「毎日が楽しく、ちょっとリッチで、余裕をもって生活できる空間」をコンセプトにした中尾さんのシェアハウス。県外から移住する人がまずここに住んで、生活しながら少しずつ町を知ることができる拠点になってほしいと言います。一人暮らしで友人もなく町を知ることは難しいから、ベースキャンプ的な存在になることが理想なのだとか。
シェアハウスは、ビジネスになるし、地域貢献にもなる。
これまでに20軒以上のシェアハウスに関わってきた仲尾さんは、名古屋での需要は確実に生まれていると実感。テレビ番組も手伝って、シェアハウスがどういうものかを知っている人は多く、でも住んだことはないという人が、住んでみたいというニーズに変わりつつあるのだとか。
そうした若者が地域の空き家を再生したシェアハウスに集まってくることで、地元の人が喜んでくれるというということを目の当たりにしました。これは仲尾さんも最初は予想していなかったことだそうです。
「これは僕にとっても嬉しい化学反応でした。こうしたシェアハウスを増やせば、地元に貢献できて利益にもなると確信しましたね。それで会社を辞めて本格的にビジネスにしようと思いました。
町おこしでは、お金にならないと思っていたり、お金を稼いではいけないという意識があったりしますが、そうでもないんです。町に住んでいる人ではなく、外から人を呼び込んでお金が落ちる仕組みを作れば、それが地域貢献になる。
これはやってみて分かったことですが、古いものをよみがえらせることが、それ以外の価値をも生むということ。その副産物が町の財産となって、町おこしにつながっていく。結果、こうしたビジネスが成り立つんだということを知ってほしいですね。」
現在はシェアハウスの企画・運営はもちろんのこと、コンサルティングや講座にも積極的に取り組んでいるという仲尾さん。生徒ができれば各エリアで展開できると、年間120-130人の生徒さんがそのノウハウを学んでいます。最近ではyoutubeでも情報発信をされているのだそう。
人が集まることで、新たな街が生まれますが、その仕掛けの一つにシェアハウスがあるのは驚きでした。東京ほど主流ではないシェアハウスですが、愛知の街を変えるきっかけになるのでは?そんなことを感じた取材でした。
URL | シェア不動産投資の教科書 社会貢献と不動産投資TV |
---|---|
屋号 | 株式会社 コマヴィレッジ |
住所 | 愛知県名古屋市守山区四軒家2丁目722 |