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山形県村山市/楯岡中学3年生のみんなから地元のまちへ、いろんな形のエールを届けるプロジェクト

2022.02.02

2021年春から秋にかけ、村山市楯岡中学の3年生120人が、総合的な学習の時間を利用して取り組んできたプロジェクトをご紹介します。

その名は「楯中CMプロジェクト」。「CM」とはもちろん「コマーシャル」の意味もありますが、そもそもは「Cheer up Murayama(チアアップ村山=がんばれ村山)」から名付けられたもの。

山形県村山市/楯岡中学3年生のみんなから地元のまちへ、いろんな形のエールを届けるプロジェクト

じぶんたちのふるさとのまちを元気にしよう、まちの魅力をPRしてみよう、持続可能なまちづくりに繋げていこう! という狙いです。そして、さらに、このご時世ということで、「コロナ(C)に負けるな(M)!」という気持ちもそこに一緒に込めている、とのこと。

たとえば、飲食店や菓子店をはじめ村山市内のさまざまなお店の商売繁盛を支援しようと、じぶんたちで取材し、伝えるべきことを考え、POPや販売促進ツールを制作した「チラシ制作」のグループ。また、まちの魅力を言葉と絵で伝える「かるた制作」に取り組んだグループ。さらには、地域にある素敵なスポットなどを撮影し、動画編集制作を行った「CM制作」のグループなどなど、生徒たちはいくつかのチームに分かれ、みずから主体的に動いて制作を進め、成果物を作り上げたのでした。

山形県村山市/楯岡中学3年生のみんなから地元のまちへ、いろんな形のエールを届けるプロジェクト

上の写真は、チラシ制作のグループのふたり。それぞれにじぶんが好きなお店をセレクトし、取材に行き、お店をPRするチラシを作った荒井俊祐さん(左)と結城一輝さん(右)です。

「ぼくが取材したのは「満月」という食堂です。ここのスーラータンメンがすごく美味しいので、多くの人にぜひ食べてほしいと思って作りました」と荒井さん。

結城さんは「お店に行って取材のお願いをするときは緊張しましたが、お話を聞いたり、写真を撮ったりする作業は楽しかったです。チラシの表面だけでなく裏面まで情報を書き込んだり、地図情報も入れたり、がんばりました」と語ってくれました。

こうして手作りされたチラシやPOPは、印刷やラミネートされて村山市のお店の人に手渡され、どの店でも非常に喜ばれたとのこと。地域の中学生が進んでPRツールを作ってくれたなんて、お店の人にとってはとても嬉しく、励みになる出来事となったにちがいありません。この取り組みの様子は、2021年11月30日の山形新聞にも紹介され、その誌面は校舎内にも貼り出されています(写真下)。

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一方、かるた制作チームは、村山市の名物や伝承のものがたり、名所や自慢などを50個集めて、それを50音にうまく合わせながら、その価値や内容が適切に伝わるような言葉を選び、それがどんなものか想像がつくような絵を描く、というクリエイティブな作業の試行錯誤を積み重ねました。

山形県村山市/楯岡中学3年生のみんなから地元のまちへ、いろんな形のエールを届けるプロジェクト

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かるたチームの加藤瀬那さん(写真上_右)は、「自然や人物を立体的に描くのは難しかったですが、しっかり伝えられるよう粘り強くやりました。以前にはわからなかった地元の良さというものに気づけた気がします」と語ってくれました。

同じくかるたチームの田中みなみさん(写真上_左)は、「この取り組みを通して、じぶんは今まで村山市への関心をきちんと持っていなかったことがわかりました。絵札を作るために、市内のいろんな建物を巡ったおかげで、こんなところがあるんだ!という発見がありました」とのことです。

山形県村山市/楯岡中学3年生のみんなから地元のまちへ、いろんな形のエールを届けるプロジェクト

動画CM制作のグループで活動したのは、平優菜さん(写真上)です。

「わたしたちは東沢バラ公園を取材し、取材や撮影、動画編集をやりました。これまでなんどか行ったことはありましたが、バラが咲いている時期に園内を訪れたのは初めてのこと。その風景を見て、すごくいい場所だなって再認識することができましたし、ここはどんな人にとっても癒しになるところだなって感じることができました」と振り返ってくれました。

そしてまた、3年生みんなで「コロナに負けるな!」という想いを地元・村山市に届けたことも「楯中CMプロジェクト」の大事な成果のひとつです。医療従事者の方々や村山市職員に向けた感謝と応援メッセージをひとりひとりが書きました(写真下)。このメッセージは、ワクチンの集団接種時の会場に掲示されました。

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校舎正面にも「市役所、医療従事者の皆さん、コロナ対策ありがとう!」のメッセージを掲げました(写真下)。

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こうして「楯中CMプロジェクト」に取り組んだことにより、楯岡中学3年生のみんなは、いろんな形のエールをじぶんたちの手で作りだし、すこし元気を失いかけている商店街のひとたちを励まし、感染症の不安のなかで医療に従事しているひとたちに寄り添いました。

プロジェクトをきっかけに、「地元なのに知らないことが意外と多い」という事実に気づきもしました。そして、知らなかったことを知ろうとし、行ったことがない場所に行き、わかっているつもりだったことを改めて調べ、じぶんが好きなお店を見つけ、いいなと思える場所を得て、お店のひとと話し、お店の人に喜んでもらい…という経験をし、生徒たちは地元・村山との関係性をぐっと濃くしたことでしょう。

そんな楯中3年生のみんなはもうすぐ卒業し、高校生になり、やがて社会人になっていきます。それぞれのこころのなかに、このプロジェクトから繋がった地元の好きなものや応援したいものをひとつでも多く持ち続けてくれたら、と願わずにはいられません。地域のこどもたちがいつまでもずっとその地域のことを好きでいてくれること。それこそ、地域の元気であり、地域の未来です。SDGsってきっと、そういうことじゃないのかな、と考えさせられたプロジェクトでした。

report : 那須ミノル
photo : 伊藤美香子