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【金沢】この場所で、“今この時代”を。/galleria PONTE

移転情報

2022.02.07

金沢21世紀美術館から徒歩数分の場所にある「里見町APARTMENT」に、アートギャラリー「galleria PONTE」が移転されました!

「金沢」と聞いて、美術や工芸を連想する人も多いのではないでしょうか。
金沢21世紀美術館をはじめとした公的な施設はもちろんのこと、まちの画廊やギャラリーも金沢のアートシーンを支えています。

そんなギャラリーのひとつ「galleria PONTE(ガレリアポンテ)」は、13年目となる今年2022年1月、野町から里見町に新たに出来た「里見町APARTMENT」へ移転オープン。オーナーの本山陽子さんにお話をうかがいました。

【金沢】この場所で、“今この時代”を。/galleria PONTE

――野町から移転されて、率直にどうですか?

私、美大を卒業した後、すぐそこのタテマチ(竪町商店街)にあった東京ストアーというスーパーの上階の「サロンゆたか」というギャラリーで働いてたんです。なので、戻ってきたというか、懐かしいなという気持ちがあります。周辺の商店の皆さんには当時もお世話になっていたので、「ただいま」という感じです。
一番言われるのは、「野町よりも来やすくなった」と。21美(金沢21世紀美術館)や他の美術館に行って、そこから歩いてきたという方も多いですね。

【金沢】この場所で、“今この時代”を。/galleria PONTE

かつて駐車場として使われていた空間に、ギャラリーがさりげなく現れる。
ガラスのファサードに白い壁。すっきりと整えられた”箱”で、真っ青な床に広がる作品へ自然と目が向かう。

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こけら落としとなった展覧会「STRAIT -海をわたる-」は、塩を使ったインスタレーション作品を手がける山本基さんを迎えました。

本山さんは、「古い建物をリノベーションした空間で、建物全体の先陣を切ってオープンするにあたって「場を清める」という意味や、基さんにとっても初めての試みとして過去の作品で使用してきた塩を混ぜ込んだことに「引き継ぐ」という意味を持たせられたかな」と話します。

「空間の設えは、基本的には野町ポンテをベースにしています。ただ、野町ポンテよりもさらにニュートラルになるよう意識して設計を依頼しました。金沢のギャラリーって、町家や蔵をつかった空間自体に個性や金沢らしさがあるところが多いと感じていて、意外とホワイトキューブって少ないんです。あえてそれを目指しました。」

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――今回の展示はインスタレーション作品ですし、その他にも絵画、彫刻、工芸、書などさまざまなジャンルの展示を行っているイメージがありますが、ご自身ではどう思っていますか?

今はギャラリーも細分化していると思いますし、ジャンルやコンセプトを限定するやり方もあると思います。

ただ、私の場合は、わりとそのあたりのレンジは広く持っていて、そのとき共感できた作家、ぜひうちのギャラリーで見てみたいなと思う作家をとりあげています。その結果、こういうバリエーションになったというところもあるかもしれません。

私は、美術のもつ、”今この時代”をオンタイムで、かつ、いろいろな見方で俯瞰させてくれる役割にすごく魅力を感じているので、たとえば、ポンテで工芸を扱うときは、”工芸”だけではなく”立体表現”というとらえ方で、造形性が高いかとか、その人なりに今の時代を解釈して表現してくれているかという視点で見ます。そういう意味でギャラリーのものさしはあるんだけど、そのものさしの幅であればジャンルは360度網羅するようなイメージですかね。

【金沢】この場所で、“今この時代”を。/galleria PONTE

「ギャラリーとして箱をもつやり方に意味があると思っています。場所を持たずに作品だけをもって売るやり方もありますが、私は”箱を構えることで責任をもつ”スタンスでいたい。作家は作家で人生かけて表現しているわけで、そこに対する責任である見せる場、紹介する場、という役割を果たしたいと思っています」

本山さんは金沢美術工芸大学芸術学専攻出身。美術の方向に進もうと思ったころから、「自分がつくるよりも、つくるひとを橋渡ししていくことに興味があった」といいます。屋号の「PONTE」も「橋」という意味。

「学芸員の道に進むことも考えたんですけど、美大で大学生活を過ごして、身近にものをつくる人がいる環境の中で、アカデミックな研究よりもこの人たちが食べていける方法を一緒に探るような方がいいなと思って、ギャラリーに勤めることにしました。

独立したのは、勤めていた「サロンゆたか」が閉店してしまったのがきっかけです。2008年のリーマンショックのときでした。野町の画材屋さんが声をかけてくださって、「使っていないビルがあるから、あなたもったいないしそこでギャラリーやったらどう?」って。

そのビルも13年経って、老朽化で出ないといけなくなり、次の物件を探しはじめて、ここに決めました。思い返すと、変化や独立の決断はけっこう受動的なんですよ。やむを得ずの岐路で、ぽよよん、ぽよよんとステップアップするみたいな。迷ったりはしないけど、じーっと考えて、最後は直感でこっち!みたいな感じで決めてきましたね」

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拠点は、大学時代からずっと金沢ですよね。

大学を選ぶときに工芸に興味があったので、大学に“工芸”がつく「金沢美術工芸大学」を選びました(笑)これも直感。あとは、大阪生まれ、宮崎育ちなので、「雪国ってどんなとこやろ」って全然違う風土に興味があって。それで住んでみたら水が合ったんでしょうね。この曇天も嫌いじゃないです。

大学卒業が近づいてきたころに、21美の準備室ができたんです。新しい現代美術館がこの古いまちと共存してどんな役割を担っていくのかも興味がわいたし、県立美術館の古九谷のコレクションからもポテンシャルを感じたり、伝統工芸の産地でもあり若い作家もいたり、こんな状況の土地はなかなかないな、これからおもしろくなりそうだな、と思って金沢に残ることにしました。

なんだかんだと今も金沢にいるのは、もう帰ってきたらほっとする場所になっているというのもありますが、今でもまちの魅力を感じていて、おもしろいまちだなと思っているからでしょうね。

だからこそ、ここである意味、金沢である意味は大事にしたいなと思っています。他でもないここにきてもらって、ここで作品に出会ってもらうという場をもっていたいなと。
“今この時代”を見せてくれる美術を、さらに金沢というこの土地で見せることで化学変化が起こるなら、それはもっとおもしろいことだなと思います。

この山本基さんの企画展では、金曜土曜は照明をつけたまま帰ることにしています。というのは、ギャラリーが閉まっていても通りから作品が眺められるように。
自分自身の新しい試みとして、まちの中にそういう新しい景観をつくりたいなという思いがあります。それが金沢らしい路地裏にある里見町でできることもたのしみに思っていますね。

本山さんの考えるギャラリーが、思っていた以上にまちや土地とつながっていてとてもうれしくなりました。

美術とか作家とか作品って、自立しているしどこでも持っていけるような流動的なものだけれど、根っこやアイデンティティって作家にも作品にも絶対にある。何もない断絶されたところからは生み出されないし、何かしらの背景がある。その背景としての歴史だったりとか土地だったりとか、生い立ちとか、そういう“見えない”膨大な量の情報や感情がおもしろいし、その先端部分が作品として見えている。それをどう感じてもらえるのかなというのも含めて大事にしたいなと思っています。

【金沢】この場所で、“今この時代”を。/galleria PONTE

場をニュートラルに構えることで、そこで見る者の目に、作品、作家、さらにはそのまち、時代が立ち上がって見えてくる。
ガレリアポンテという場で、どんな作品が“今この時代”を見せてくれるのか、これからもたのしみです。

▼今後の展示予定
2022年2月11日(金)~2月27日(日)
竹村友里 展 Yuri Takemura Solo Exhibition

【金沢】この場所で、“今この時代”を。/galleria PONTE
©Yuri Takemura
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©Yuri Takemura



名称

galleria PONTE(ガレリアポンテ)

URL

http://galleria-ponte.art.coocan.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/GalleriaPonte/
Instagram:@galleria_ponte

住所

金沢市里見町42-8 里見町APARTMENT102

定休日

水曜
※企画展期間内は要確認

アクセス

北鉄バス「片町」バス停徒歩4分

業種

ギャラリー、美術品商

TEL

076-254-1522

営業時間

11:00~18:00(展覧会の会期外は休廊の場合あり)

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