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山形移住者インタビュー 雪ノ浦邦恭さん/新規就農と事業承継とIターン

移住者の声

2022.03.25

#山形移住者インタビュー のシリーズ。今回のゲストは雪ノ浦邦恭さんです。

雪ノ浦さんには、すでに、real local Yamagata の連載記事「食彩やまがた12カ月」の「霜月『リンゴ』」にご登場いただいています(記事はこちら)。その記事では、どうして山形に移住することになったのか、そしてどういう出会いから就農を果たしたのかという物語や、雪ノ浦さんが営む自然派の農業などについてレポートされています。

山形移住者インタビュー 雪ノ浦邦恭さん/新規就農と事業承継とIターン

雪ノ浦さんには、また、real local Yamagata編集部が制作した移住者の声を集めた冊子『Yamagata Life Real Voices 〜 山形市の暮らしに飛び込んでみてわかること 〜』にもご登場いただきました(記事はこちら)。今回のこのreal local記事は、この冊子の内容を再掲載するものです。

50歳を迎えたタイミングでの雪ノ浦さんの「シニア世代のIターン」の事例は、同時に「山形で新規就農」を果たしたという事例でもあり、そしてそれはまた「農家の事業承継」の事例でもありました。これまで数多くの移住者インタビューを積み重ねてきた real local Yamagata ですが、このケースは「十分にあえりえるけれども実際に実現に至ったのはまだ少ないと思われる非常に貴重なケース」であり、そしてまた非常に参考になるサンプルであるということから、ここに再度ご紹介させていただきます。

山形移住者インタビュー 雪ノ浦邦恭さん/新規就農と事業承継とIターン

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東京で会社員していたとき、山形出身の妻と結婚しました。ほどなく彼女は家業を継ぐため山形にUターン。以来、私は週末だけを山形で過ごすようになりました。

山形の自宅敷地内に20 坪ほどの家庭菜園をつくり、そこで枝豆やアスパラガス、パクチーなどを育てはじめたことが、山形での農業の営みのはじまりです。それからしばらくすると、市内で果樹農家として長く励んでこられたご夫妻が継承者を探しているという情報を耳にし、「これだ!」と思い、私はすぐコンタクトをとり訪ねていきました。

「いまは東京で会社員をしていますが、近々山形に移住して継承させていただきたいと思っています、まずはお手伝いさせてください」と申し出ました。人手が必要となる収穫期に果樹園に通い、実際に農作業をご一緒させていただくうち、私の土壌肥料等の知識と熱意、誠実さを認めていただくようになり、この土地でできた人との縁によって、就農が実現することになりました。そして東京を離れ山形に移住し、私は農家となったのです。

山形移住者インタビュー 雪ノ浦邦恭さん/新規就農と事業承継とIターン

実際のところ、移住して新規就農するというのは、技術、経営、販売、人間関係等いくつものハー ドルがあります。全く初めての方にとって決して楽なことではありません。

しかし一方で、現在の農家の状況を見れば、高齢や後継者不在といった理由から農家を辞めなくてはならない事例も少なくありません。必要なのは、新規就農を希望される方への継承をスムースにできるようなシステムづくりではないでしょうか。

ぜひ行政やJAにはそうしたところの更なる整備や支援をお願いしたいです。私も、これからの山形の農業の継続と発展のために、植物栽培の専門知識や実践経験を活かし、これからの新規就農者をサポート牽引できるような存在になっていきたいですね。

雪ノ浦邦恭さん・プロフィール
東京出身。大学は農学部を卒業。植物のスペシャリストとして複数の会社で活躍し、のち早期退職。 50歳で山形市に移住、農家を継承する。漆山地区でさくらんぼ、ラ・フランス、リンゴ等を栽培。 化学の力に頼らず、自然の力を信じ、有機栽培で生態系にストレスを与えない農業を実践中。

関連記事:「食彩やまがた12カ月」の「霜月『リンゴ』」

photo & text : 那須ミノル