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【福島・郡山】ローカルプロジェクトに興味がある人必見!指出一正×山崎亮×馬場正尊の「特別鼎談」〈後編〉

インタビュー

2022.02.25

地域づくりって、短期間で完結するものじゃない。いろんな人を巻き込みながら、地域づくりそのものを持続可能なかたちにするには、どうすればいいのでしょうか?そのノウハウやコツを、プロから教わりました。

2021年11月に郡山市主催のこおりやま街の学校presents 「まちのあれこれ談話室」があり、まちづくりや地域づくりのプロが郡山に集まって座談会が行われました。そこで、エリアリノベーション、コミュニティデザインの第一線をゆく、ソトコト・プラネット代表取締役の指出一正さん、オープン・エー代表取締役の馬場正尊さん、studio-L代表の山崎亮さんにこの度、取材することができました!

前編ではローカルプロジェクトを実施するときに自分自身が活動を楽しむことの大切さやまちづくりに興味のある若者がやっておいたほうがいいことなどについて、後編ではローカルプロジェクトを上手く仕掛けるプレイヤーの特徴や持続可能な地域づくりのコツなどについて語っていただきました!

前編はこちらです!

【福島・郡山】ローカルプロジェクトに興味がある人必見!指出一正×山崎亮×馬場正尊の「特別鼎談」〈後編〉
こおりやま街の学校presents 「まちのあれこれ談話室」の様子

本編が気になる方は、ページ下部のリンクからレポートをお読みいただけます。

地域での活動でいらないもの。それは自慢話と他人の悪口

――ローカルプロジェクトを上手く仕掛けているプレイヤーには、どんな特徴があると思いますか。

山崎:このお2人(指出さん、馬場さん)を見ていて、いいプレイヤーだなと思うところが2つはあるんですよ。それは、自慢話と他人の悪口を言わないことですね。お2人は、本当にそういうことと無縁ですよね。自慢話と人の悪口っていうのは地域で活動していこうと思うと、絶対に止めたほうが良いと思うんですよ。お2人は何か認識してるんですか?

馬場:他の人のことは、めったに悪く思わないかな。苦手なタイプはいるし、人を傷つける人だけは許せないけど、身勝手な人とかはいるよなっていうぐらいに適当に思ってるから。

山崎:そうなんだー。だから出力というよりは、入力の時からあまり気にしてないんですね。どうやって我慢してるのかと思ったら、我慢じゃないんだ。もうそう思わないんですね。

山崎:指出さんって、どうしてそんな仏みたいになっちゃったんですか。

指出:仏じゃない(笑)。僕もムカつくことはいっぱいあるので。普段怒らないのに急に怒ると、みんなびびるわ、みんなテンション落ちるわで、編集部は戦慄するわけですよ。あとは人と比べられるような競合性のあるものに、自分の興味があんまりないのかもしれないですね。

山崎:だから自慢する必要がないんですね。ある分野に同じ興味を持つ人たちがいれば自慢してるのかってなるけど、そういう話題ではないからもう独壇場なんですね。いやってか、2人ともすごいっすよ。馬場さんは愚痴を言うっていうより、悪く思わないっていうことでしょ。指出さんが自慢しないっていうのは、自慢してないんじゃなくて自慢する相手がいないっていうことだから。そういった人たちはプレイヤーとして好かれるし、みんなが応援してくれると思う。

【福島・郡山】ローカルプロジェクトに興味がある人必見!指出一正×山崎亮×馬場正尊の「特別鼎談」〈後編〉
インタビューに答える指出さん

ありのままの自分らしい姿は、仲間を引き寄せている。

指出:僕が『ソトコト』で取材させていただく特に若い人たちで、良いプレイヤーだなと思う人って、基本的に心配されるキャラの人が多いですね。ほっとけないなーとか、大丈夫かなーみたいな。だから仲間になる人たちが多いですね。おっちょこちょいだったりとか、なんかすぐ失敗にぶつかるみたいな人は、皆が集まってるなーって思う。人を引き寄せる力がある人は、良いプレイヤーなのかもしれないですね。

山崎:カリスマ性とか、完璧だから人々がついていくって感じではないですよね。

指出:全然逆ですよね一。「1人でやったらいいよね」っていう風になっちゃうんじゃないですかね。

馬場:あるよなー。建築業界ってカリスマ主義ですよね。それはやっぱりまだあるし、すごいたくさんの人が集まっていたりする。でも多分そのカリスマ性がある人っていうのは、カリスマ性が似合ってるんだと思うんだよね。カリスマ性がないけれども何故か人が集まってくる人は、カリスマ性がないことが似合ってるから。そのキャラとか居場所に合ったプレイヤーらしさって何かある気がする。

【福島・郡山】ローカルプロジェクトに興味がある人必見!指出一正×山崎亮×馬場正尊の「特別鼎談」〈後編〉
インタビュー中の馬場正尊さん(左)と山崎亮さん(右)

持続可能な地域づくり・7つのポイント

――最後にお聞きしたいご質問があります。お三方は、特定の地域でずっと活動できるわけではないですよね。自分がその街を離れても、活動が持続可能な状態にするために意識されていることはありますか。

山崎 :7つあります。地域づくりって、大人の部活みたいなものだと思うんです。大人の部活動みたいになれば、僕はいなくても地域の人たちで活動を続けられるだろうと考えています。
そうすると、

1つ目は、まず日々練習しているかです。日々練習しているということは、まちづくりの定例会議とか、情報収集、事例収集とかをやっているかどうかです。
2つ目は、ちゃんと定期的に練習試合をやってるかです。それは会議ばっかりやってないで、事例ばっかり集めてないで、社会実験と称したり、活動をちゃんとやってるかどうかです。
3つ目は、全国大会に1年に1回挑戦してるかです。地域づくり大賞とか、グッドデザイン賞とかに、応募しているかどうかです。賞を取れなくても、同じ立場の人達がどんなことをやってるか、学ぶことになるので。
4つ目は、自分たちで役割を決めてるかです。キャプテンとか会計とかを、決めることができるようになっているかどうかです。
5つ目は、新入生勧誘やってるかです。部活なので4月になったら、新しいメンバーを集めないと、どんどんメンバー固定化しちゃう上に、高齢化していっちゃいますよね。
6つ目は、卒業の仕組みがあるかです。5年くらい活動したら、相談役みたいな立場になっていくようにしないと、重鎮ばかりが集まるようになり、新陳代謝が起きないので。
7つ目は、部費をしっかりと集めてるかです。会費でも、営利事業をやって最低限のお金としてでも良くて、それができてるかどうかです。

これを僕らが関わる3年間の間に、7つできるようになったら、僕らはその地域から去っても、地域の人たちは活動を続けていくことができると思っています。

【福島・郡山】ローカルプロジェクトに興味がある人必見!指出一正×山崎亮×馬場正尊の「特別鼎談」〈後編〉
インタビュー中の雰囲気もとても温かかったです。

馬場:まちづくりが行われて、のちに街を経営する会社になるっていうフェーズがあるのかもしれません。例えば、ニューヨークだったらBID(Business Improvement District) と言って、維持継続して町の安全と豊かさを保つための会社として経営する 。そこにシフトチェンジするようなエリアも出てくると思う。だから、まちづくりやエリアマネジメントが本当の職業になっていくという道も、今後日本はあるかもしれない。法人や組織にするってことは、しっかりと継続するシステムを作るっていうこと。さっきの部活が プロ野球になるみたいな話だね。

指出:ダウン症の子ども達のお絵かき教室のスタッフを、東京でしばらくやらせてもらっていたんです。今は、ほとんど東京にいないので出来ないんですが、5年くらい行ってなくても「いつ来てもいいよ」ってメンバーのみなさんが言ってくれるんです。そして当たり前のようにスタッフとして入れてくれるので、毎週行ったり、3年後に突然行ったりしても、いつものように迎えてくれるみたいなことがあるんです。ある理由でしばらくは関われないけど、また来てそこで関わる人もいるみたいな、持続的に出来て、新しい人もスタッフも入ってこれるような、半分開いた状態みたいなものを思い浮かべました。

【福島・郡山】ローカルプロジェクトに興味がある人必見!指出一正×山崎亮×馬場正尊の「特別鼎談」〈後編〉
インタビュー後のお三方

インタビューを終えて

ローカルプロジェクトに求められる一番のスキルはコミュニケーションだと感じたこの取材。関わる人が心地よく感じるコミュニケーションをし、自分の周りからそういった雰囲気をつくることができる。大事な力だと思いました。

取材で特に印象的だったのは、山崎亮さんの「上手く仕掛けているプレイヤーは、自慢話と他人の悪口を言わない。」という言葉から始まった会話。この言葉は思わず胸に突き刺さりましたが、私が本当に忘れられないのはこのときの空気感です。和やかにお話をするお三方の周りにはとても心地よい雰囲気が溢れていました。この時感じたのは、相手の素敵だと思えるところを見つけられる人は、何かが生まれる空気感をつくれるということです。その空気感が仲間を引き寄せ、またいいコミュニケーションを生むのだろうと感じました。ローカルプロジェクトにおいて大切なことだと強く感じました。
また、お三方は場作りの最前線で活躍されているのにもかかわらず、未熟な私の質問に優しく温かな雰囲気でお話してくださいました。今回の取材の時間が私にとって、代えがたい時間になったのは、他でもない、お三方の人柄によるものです。

こちらも合わせてどうぞ(楽屋インタビュー!〈前編〉

※本編を知りたい方は、「こおりやま街の学校」HPをご覧ください。
【特別企画】こおりやま街の学校presents 「まちのあれこれ談話室」 | こおりやま街の学校(KORIYAMA TOWN SCHOOL.) (machigaku.jp)