【金沢】4/4(月)から八百萬本舗で開催! 木彫りの熊をもう一度リビングへ -Re Bear PJ(リ・ベア・プロジェクト)-
イベント情報
※終了しました。
2022年4月4日(月)から4月18日(月)まで、石川県金沢市の「八百萬本舗」で「木彫りの熊をもう一度リビングへ」と題した、「Re Bear PJ(リ・ベア・プロジェクト)」の企画展が開催されます。
「Re Bear PJ(リ・ベア・プロジェクト)」は、木彫りの熊をアーティとコラボレーションしてアップサイクルする活動です。仕掛け人は富山県を拠点に、古い日本家具のアップサイクル、空間プロデュース、民泊の運営などを行う「株式会社 家‘s(いえす) 」の伊藤昌徳さん。日本国内だけでなく海外でも注目されている、アップサイクルされた熊の彫刻と金沢での企画展について、伊藤さんにお話をうかがいました。
木彫りの熊をもう一度リビングへ -Re Bear PJ(リ・ベア・プロジェクト)-
【期間】2022年4月4日(月)〜4月18日(月)
【会場】八百萬本舗(金沢市尾張町2-14-20)
【TEL】076-213-5148 【時間】9:30〜18:00 【休み】なし
https://www.yaoyoroz-honpo.jp
伊藤昌徳さん
株式会社 家‘s代表。北海道出身。大学卒業後、IT・インターネット領域のベンチャー企業の幹部採用支援を行う、人材ベンチャー企業の創業期に参画し、役員も経験。2017年9月に富山県高岡市に移住して「株式会社 家’s(いえす)」を創業。アップサイクル家具、空間プロデュース、インバウンド向け宿泊所の運営など、「古いモノ×新しいモノ=本当に新しいモノ」を体現するために、古い家具やオブジェをアップサイクルする活動を行う。 https://www.yestoyama.com/who-we-are
――伊藤さんは北海道のご出身ですが、富山を拠点に活動されているきっかけは?
僕は大学卒業まで北海道で、大学を休学して1年だけワーキングホリデーで、オーストラリアに行って、帰ってきてから東京で就職し、人材関係の仕事でIT・ベンチャー企業のヘッドハンティングなどに6年ほど関わっていました。
富山へ来るきっかけは「とやま起業未来塾」の外部講師をしていた知り合いが、富山の高岡にいい空き家があるよと教えてくれて。ちょうど僕も起業を考えていて、地方で仕事をしたいなと思っていたときだったので、富山で何かやってみようと思って。実は僕の場合は完全な移住ではなく、関東にも妻と子どもが暮らす家もあって、半分半分の生活をしています。富山は高岡市には事務所と宿を運営している古民家、氷見市に家具の展示ギャラリーがあるので、関東と併せて多拠点で活動しています。
家具の販売やリース、サブスクリプションの顧客は関東を中心に全国に展開していて、最近だとコワーキングスペースのインテリアとして使ってもらったり、設計チームと一緒に空間プロデュースにも関わったりしています。
――2017年に起業されていますが、前々から準備していたのですか?
まったく準備をしておらず、お恥ずかしながら何も考えていませんでした。空き家があるということで、最初に始めたのが民泊でした。その中で古い家具の魅力に出会って、大量に捨てられている現状を知って疑問を覚えたのが、アップサイクル家具の事業を始めるきっかけになりました。ここにある資源をどう活用するかという発想に結びついたので、何も考えずに来たことが結果的によかったと思っています。
――家具のアップサイクルを始めた動機・きっかけは何ですか?
ただ再生するだけだと、僕がやる必要はないと思ったのと、価値を上げた方が後世に長く残るのではないかと思ったからです。タンスのこともよくわかっていない僕が再生するより、他の人がやっていなくて、価値が上げられる方法としてアートを施すことを考えました。古い家具の価値は0円、あるいは廃棄にお金がかかりますが、そこにアートの力で価値を高めたり転換していかないと、使う人もいないんじゃなきかなと思って。
――アップサイクルしている家具はどこから集めているのですか?
だいたい個人からです。古い家具に新しい価値を与えるアップサイクル活動をしているというのを新聞で取り上げてもらったことがあり、その記事を見た人から連絡いただくことも多いですね。家財整理の業者さんから仕入れた家具に、デザインやアートを施すという流れもできていますが、埃をかぶっている家具を現場へ直接見に行くのも大事で、その状態を知っているからできるデザインのアウトプットもあります。
――家具の知識は元々あったのですか?
いえ、まったくゼロでした。やばいですよね、よくやったなと思います(笑)。最初は家具の善し悪しもわかってなくて、価値を知らず高いお金を払ったりもしていました。現場から学び、職人さんや骨董屋さんからお話を聞いて勉強していきました。古い家具や古民家などに興味があったわけでもなく、どちらかというとフラットな感覚でスタートして、仕事を通して好きになり、今はものすごく好きですね。
――家具や熊の彫刻のデザイン・加工はどのようにされていますか?
僕自身が手を動かすのではなく、あくまでプロデューサー。この家具はあのアーティストでこんな風に、この熊はあの人に作ってもらうと面白いだろうな、といった感じでアイテムごとにコンセプトを考えて依頼しています。アーティストの人選は重視していて、作品や実績から厳選してアプローチし、コラボレーションしています。
――アップサイクルで重視していることは?
用途を変えることですかね。タンスだから引き出しが必要といったことに拘らず、オブジェに転換して再生する場合もあります。タンスを半分に切ったり、アクリルを組み合わせてデザイン家具にしたり。あと、アーティストに依頼するときは細かく指定すると表現を妨げるので、コンセプトやポイントだけ伝えて発想はお任せしています。あと、熊の彫刻は大量生産ものと作家ものがあり、今は大量生産された熊の彫刻を加工してアップサイクルするようにしていて、作家の作品は極力もとの形状を触らないようにしています。
――「Re Bear PJ」の熊の彫刻は1点ものですか?
これまでに40体くらい作ったので、アーティスト数も40人くらい。基本的には1人1点を依頼していて、たまに同じアーティストに追加依頼することもありますが、同じように作っても少しずつ違い、まったく同じにはならないので1点ものといっていいでしょうね。作家を指名したオーダーを受ける場合もあります。東京でPOP-UPをしたときのお客さまで、購入された作品と対になるようにもう1体作って欲しいという依頼もありました。
――熊の彫刻に着目したのはなぜですか?
僕が北海道出身というのもあるし、ずっと熊のことは可愛いと思っていました。ただ、自分の家に飾るには微妙だな、色が変われば置いてもいいかなと考えていました。そしたらコロナ禍が始まり、アーティストから緊急事態宣言で仕事がないという話も聞いて、だったらコラボして熊の彫刻を再生していくと面白いのではないかと「Re Bear PJ」を始めました。
熊の歴史をたどると色々な説がありますが、一説ではスイスに由来するといわれています。北海道八雲町に入植した旧尾張藩の藩士や末裔が始めたもので、尾張徳川家が経営する徳川農場を19代当主の徳川義親が、貧しい農民たちが農閑期の副業や趣味として生活を豊かにできるようにと、視察で訪れたスイスをモデルに熊の木彫りを勧めたのが始まり。
――北海道土産の熊の彫刻の歴史とコロナ禍がリンクしたんですね。
そんな熊の木彫りの歴史背景と、コロナ禍の厳しい状況もリンクしたし、コロナ前に海外で色々なオブジェを見て興味が高まっていたことなど、いろいろ重なったと思います。古い熊の彫刻を引き取り、アートにして新しい価値を加えて販売していますが、その売上の3%を八雲町の文化を守る活動に寄付しています。少しでも北海道に貢献しながら、またこの熊が蘇って長く愛されるようになったらいいなと思っています。
2021年に東京とニューヨークで展示会を行ったのですが、海外では「Re Bear PJ」がタンス以上に反響があり、あまりの反応のよさに驚きました。西欧はオブジェを置く文化があるからでしょうね。また「なぜ熊なのか」という背景にも関心が集まりました。
100体くらい並べて展示会をやりたいし、こんな時代だからこそ海外で展示したいですね。日本のいいものを世界に紹介していきたい。日本人は身近すぎてわからなくなっている熊の彫刻や古くていいものを、日本人にも再発見してもらうきっかにしたい。
――八百萬本舗「Re Bear PJ」展示販売会について教えてください。
2022年4月4日(月)から4月18日(月)の2週間、金沢市尾張町の八百萬本舗で開催します。アップサイクルの熊の彫刻を20体ほど展示予定で、新作も用意しています。1階にも少し展示しますが、メイン会場は2階になります。展示だけでなく、ご自宅で不要になった熊の彫刻を回収するBOXも設置予定です。
金沢は金箔もあるし、工芸の作家さんやアート好きな方もがたくさんいらっしゃるので、会場での新しい出合いに期待しています。蒔絵や彫金、加賀友禅と熊の彫刻なんかも面白い作品になりそうですし、そうした方達とコラボして本当に価値あるものを創り上げられたらと考えています。
会場 | 八百萬本舗 |
---|---|
住所 | 金沢市尾張町2-14-20 |
TEL | 076-213-5148 |
期間 | 2022年4月4日(月)〜4月18日(月) 9:30〜18:00 |
URL |