【山形】日常の風景を探しにいこう/ 千歳山公園
連載
2022.07.05
やまがたのまちを探し歩いて見つけた日常の風景をフィルムで撮りゆくシリーズ。
こんかいは、山形市民に愛される山・千歳山の麓にある公園です。
千歳山公園はその名のとおり、千歳山にある。裾野に、三角のかたちをして広がっている。
以前、この公園まえの道路を車で通りすぎたとき、「ここはなんだろう」と気になったものだった。きょうのお昼はここでお弁当をひらきたい。
公園の由来がしるされた立て看板には「千歳山公園は明治時代に山形市でも最初の公園として整備されたが、それ以前から物見遊山の歴史を持つ」と書いてある。昔からたくさんのひとびとが訪れた場所なのだ。ここでお弁当を食べたひとの数も数えきれないほどいるのだろう。
いくつもの大きな樹木に囲まれたベンチにそっと腰をおろす。休日なのに公園はとても静か。風で木々が揺れる音や鳥のさえずりなど、ふだん街なかでは耳にすることのような音が届いてくる。木漏れ陽が差し込む。大きな松の木からまつぼっくりが地面に落ちてボトンという音がした。
公園には動物がじっと息をひそめている。数えた限り、9匹いる。もしかすると、もっと隠れているのだろうか。
草が生い茂っていて、森のようだ。
動物たちは、この森みたいな公園で、静かな時間を生きつづけている。
photo / Junko
camera / canonet