BARAIRO FOREVER
「BARAIROフェスティバルかのや」レポート

2015年3月7日、8日に鹿児島県鹿屋市で開催された「BARAIROフェスティバルかのや2015」(以下、BARAIRO)。2008年に誕生した「デザインマーケット」から商店街全体を使った現在の形になり、毎年多くの人が訪れるまでに発展しました。主催者発表によれば今回は過去最高の1万8000人が来場したとか。
今回もたくさんのショップとお客さんで大にぎわい。実はこれが最後の開催だったのですが、感傷に浸っている暇もないくらいに盛り上がりました。そして、そこには鹿屋の未来のための布石がたくさんありました。


BARAIROに先駆けて誕生し今年で8回目を迎えた「デザインマーケット」。鹿児島県はもちろん、同じ九州の他県や遠くは東京、千葉からの出店もあり、元パチンコ屋の空き物件を利用した会場にはクラフトや雑貨、食べ物やグリーンなどがずらり。品物の物語を語る店の人の声、買い物を楽しむ人の声があちこちから聞こえてきました。さまざまなデザインを囲んで、つくり手やセレクトした人と話すことができるのもこのイベントの醍醐味です。
とても1日では見尽くせないボリューム。2日かけてじっくり吟味しました。


デザインマーケットは「鹿屋にデザインの文化を根付かせたい」という街の人の想いから生まれました。そこから8年が過ぎ、この街にはデザインを提案する人や店、そしてそれを暮らしの中で楽しむ人が増えています。デザインマーケットが街を変えたと言っても過言ではありません。ここで育まれた文化やネットワークはこれからも続いていくはずです。
このイベントで私が最も楽しみにしていたのは、今年初登場の「GOOD MORNING MARKET」です。農家や加工品の生産者を集めたこのマーケットは私たち消費者と生産者との出会いの場。両者のつながりをつくり、「食」に対する意識を高め合うコミュニティーの形成を目的としています。

ほとんどが鹿児島からの出店。ここにいると鹿児島の食の豊かさに改めて気付かされます。また、つくり手と話していると、「この人だから買いたい」「この店の味だから食べたい」という気持ちが芽生えてきます。そんな想いと想いが交差して、早くに完売してしまう商品もありました。GOOD MORNING MARKETは今後も不定期で開催していくそうなので、今回買えなかったものは次回以降で狙いましょう。

私たちR不動産は3月7日開催の「地域の可能性を発見するトークイベント」に参加。東京R不動産編集チームディレクター・安田氏、神戸R不動産ディレクター・小泉氏と鹿児島R不動産、そしてBARAIRO実行委員長の川畠康文さんで鹿屋の魅力についてお話ししました。
トークの中で印象的だったのは、はじめて鹿屋を訪れた県外組がこの街を「南米みたい」と表現したこと。ダイナミックな山並みや緑の濃さがそう想わせたようですが、南国ならではの人の陽気さもひとつの要因だったかもしれません。「音楽が聴こえてきそうな雰囲気がある。僕もそこの通りで楽器を弾きたい」「Airbnbをやる人が出てこないかな」など楽しく自由に語った2時間。鹿屋の可能性を感じていただけたでしょうか。

このほかにも、街なか養蜂の巣箱設置式や、「リノベーションスクール@鹿屋」から生まれたプロジェクトの出店、鹿屋市を含む大隅半島のまちづくりキーマンが集まったトークショーなど、今後につながる仕掛けが用意されていた2日間。今年はまるで鹿屋を面白くする人や店やプロジェクトのショーケースのようでした。

このイベントは鹿屋に暮らし働く人々の街を想う気持ちと、ひとつになって実践する力を育てました。この結束力があれば、きっと街は面白くなるはず。
鹿屋のまちづくりはBARAIROを手放し、次のステップへ。終わってしまう寂しさよりも、期待感の方が強く心に残りました。
(写真協力:BARAIROフェスティバル実行委員会、かごしま写楽)