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【薩摩川内市樋脇町】毎日食べるからこそ嗜好品のように選んでほしい/原田米店 原田匠さん

インタビュー

2022.08.23

鹿児島県薩摩川内市樋脇町にて80年以上前から、米屋さんを営んできた「原田米店」。県内はもちろん、関東圏や外国にまで鹿児島のお米を届ける原田米店が持つ想いやこれからのビジョン等を、3代目代表・原田匠さんに伺いました。

【薩摩川内市樋脇町】毎日食べるからこそ嗜好品のように選んでほしい/原田米店 原田匠さん

 

日本の米文化を守り、届ける

今年で創業83年になる「原田米店」。そんな歴史のある原田米店は、もともと町の精米所としてみんなに愛されていましたが、米農家の減少が進むにつれ、精米所から卸業へと事業転換しました。そして現在は、鹿児島県内はもちろん、関東や外国までお米を届ける米問屋さんになっています。

【薩摩川内市樋脇町】毎日食べるからこそ嗜好品のように選んでほしい/原田米店 原田匠さん

 

「お米は食卓に並んだ時ときに主役になれるわけではないけれど、でも私たちには欠かせないものだから僕たちはお米を届けます。」

「薩摩半島に届ける分は、自分たちで届けに行っています。大変だけど、直接お客さんの顔を見ることができるから、頑張っています。」

卸業ということもあり、お客さんのほとんどが飲食店であるため、原田さんは自らお店へ出向き、ヒアリングしたうえでその飲食店にあったお米を選ぶそうです。もしかしたら、私も、この記事を読んでくださっているあなたも、原田さんが選んだお米を食べているかもしれません。

カルチャーに触れた20代

幼い頃から、精米工場がある環境で生活してきた原田さん。小学校では空手やピアノ、中高ではサッカーに打ち込み、活発な学生時代を送ってきました。そして大学進学を機に北九州へ。そこであるものに出会います。

「友達の家に遊びに行ったときに、大きなターンテーブルがあったんです。それを見たら、欲しくなってしまって。すぐに自分も買いました。」

「もともと音楽は好きだったんですが、DJがすごく楽しくて。毎日いろんな技を練習していましたね。」

と懐かしげに語る原田さんが大学時代に出会ったのは「音楽」。もともと音楽は好きだったそうですが、ターンテーブルを手に入れてからさらにその熱は高まり、北九州のクラブでは大活躍だったとか。お話を聞いていると大学時代の原田さんが見たくなりました。

大学卒業後は、関東の企業に就職し、様々な地方に出張へ出張の日々。そこでも、仕事を通して様々な地方のカルチャーに触れ、刺激の多い20代を過ごします。「いろんなものを見ることができて楽しかった」

と語る原田さんから当時の高揚感を感じることができました。

帰鹿、そして3代目へ

【薩摩川内市樋脇町】毎日食べるからこそ嗜好品のように選んでほしい/原田米店 原田匠さん

就職して3年後、結婚した原田さんは家族で鹿児島にUターン。そして、家業である原田米店を引き継ぎました。

「実家を継ぐために帰ってこようとかではなくて、ただ子どもを育てるなら地元がいいなと思ったので帰ってきました。」

帰鹿した後はすぐに原田米店の3代目代表に就任。働き始めたころは、多少の知識はあったものの、知識不足を痛感する場面が多かったといいます。

「お客さんにお米のことを聞かれたときに満足できる回答ができないことがあって。お米に関わる仕事をするにあたってこのままではいけないと思いました。」

そう感じた原田さんは、勉強や実験を重ね、5つ星マイスターの資格を取得。現在でもその資格を活かし、日々の食育活動や仕事に取り組んでいます。

お米の魅力に触れてほしい

【薩摩川内市樋脇町】毎日食べるからこそ嗜好品のように選んでほしい/原田米店 原田匠さん

現在、原田米店では工場の隣にお米を楽しめるカフェを作っています。今月中のオープンを予定しており、様々な品種を取りそろえたお店にする予定です。

「これからお米の生産量も消費量は減ってくると思います。だからこそ、自分の好きな品種を少量からでも買えるようなお店にしたい。コーヒーみたいに嗜好品として楽しんでもらえれば嬉しいです。」

「これまでは食育活動などで外に出向くことが多かったけど、これからはお客さんがこのお店を目的に樋脇に来てくれると嬉しいです。」

「お米を嗜好品のように。」「樋脇の拠点になりたい。」そう語る原田さんにはお米に対する熱い想いと、地元・樋脇への郷土愛が溢れていました。

原田米店がある樋脇町は人口約2000人の小さな温泉街です。現在でも町の至る所に温泉や老舗の旅館がありますが、高齢化・過疎化が進んでおり商店街は昔と比べて活気がなくなったといいます。

そんな中で原田さんは、お米屋さんという立場からこれからのお米の食べ方、地元のあり方を模索していました。

「子どもも少なくなったし、商店街も昔と比べると活気はなくなりました。でも、昔も今も商店街の人たちとは月1で集まって、飲みながら街の将来について語るんです。街の人はまだまだ元気なんですよ。」

にこやかに語る原田さんには、私たちには見えない街の将来が見えているのかもしれません。

屋号

有限会社 原田米店

URL

https://h-kometen.com

住所

鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野2454-1