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まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】

実体験レポート

2022.12.16
まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】
春先のふれあい公園。桜と雪山がとてもかわいらしく見えるのはなぜだろう。

「ご無沙汰しております」という挨拶から入らなければならないほど、reallocal福井に記事を書くのは10ヶ月ぶりとなります、HOSHIDOの佐藤です(初めましての方はプロフィールをご覧ください)。実は私、昨年2021年の12月に福井市から大野市に移住しました。なんだって雪の降る寒い時期に、よりによって福井県内でも豪雪地域になる大野市に行ってしまったのか?ちょうど今年の初雪を観測した翌日(2022年12月15日)にこの記事を書くのは、とても感慨深いことです。

まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】
夏の生い茂った緑の亀山に聳える大野城。麓にある大野商工会議所に来る度に写真を撮ってしまいます。

大野市は福井県の最も東側。岐阜県に隣接し、日本百名山にも選ばれる「荒島岳」を含む山々に囲まれた盆地です。福井県立恐竜博物館で知られる勝山市と同様に、恐竜や植物の化石が結構発掘されているみたいです。また街中は、戦国時代の武将・金森長近が建てた大野城(現在の天守閣は昭和に再建)を玄関とした碁盤の目になっていて、戦災震災の影響を受けなかったため昔ながらの街並みが残されています。

まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】
今年の秋は3年ぶりに開催となった和泉地区の紅葉まつりにローカル鉄道の越美北線で行ってきました。

さて、私はなんで大野市に移住することになったのか?これまでライターとしていろいろな移住者の方のインタビューをさせていただきましたが、まさか自分が、どこかの土地を、自ら選んで、引っ越すということになろうとは思っていませんでした。

理由はいろいろありますので、ご想像にお任せするとして(言わんのかい、いや言えないんだよ、察してください)。一つのきっかけについてお話しておこうと思います。

まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】
アニメの聖地の一つ「エキサイト広場」に立てられたキャラクターの等身大パネル。大野市民の運動の場であるエキサイト広場には弓道場や相撲場まで完備しています

私は、「アニメ」が好きです。今でこそメジャーになってきた感じがありますが、いにしえのオタクというものは陰に潜む生き物でした。しかし、2021年1月、なんと福井県を舞台にしたアニメ『2.43 清陰高校男子バレー部』(原作・壁井ユカコ)が放送されることになったのです。原作が大好きだった私、さらにその舞台が大野市ということを知り、陰に潜んではいられなくなり(落ち着け)、県庁の担当の方に直接電話をし(受けた人は怖かったと思う)、そのままコラボ事業などをお手伝いさせていただくことになりました(本当にありがたい)。

その後、アニメ内に出てきた場面を取材したり、大野商工会議所青年部の皆さんとアニメとのコラボイベントをしたり、あれよあれよと行く機会が増え、一ヶ月に一度が、一週間に一度になり、しまいにはほとんど毎日大野市に通うことになりました。

まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】
毎年何回でも食べてしまう大野の「芋きんつば」。いろいろな店で食べ比べをします。

そうして通う度に、大野市の魅力の虜になっていったのです。つまり、最初はアニメきっかけであり、大野の土地のことはぜーんぜん知りませんでした。はっはっは。

ここで突然ですが移住を決めた三つの大きな魅力をプレゼンします。

まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】
私が大好きなのは佐開橋(さびらきばし)から見るこの山。こんもりとしていい形なんです。

まず、私は、とても「山」が好きです。実家は福井市の西側、日本海に近い地域で生まれ育ったのですが、まわりは山に囲まれ、遊び場も山でした。学校の帰りも知らない山道を伝って、山に登っては降りる。よく無事に帰って来れたなと思います。とはいえ、大人になると山は見るのが良いということになり、かっこいい大野の山を仰ぎみては「今日も素敵ですね!」と(心の中で)声をかけています。山に。本当に大野の山はどれもかっこよくて、すぐ写真を撮りたくなるほど日々の色、四季の様子を伝えてくれます。

まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】
名水に浸りながらの渓流釣りは夏休み中の子どもたちも大喜びでした。

次に、「水」です。水?どこにでもあるじゃないって言った人いますか?いいからちょっと大野の水を飲んでみてください。お願いします。これも私の幼少期の思い出になりますが、実家は裏山の湧水で暮らしていた時期がありました。まろやかで、やさしい、しみわたるような水でした。その記憶を呼び起こし、塗り替えてしまったのが大野の水です。まず、おいしい。うちの息子は「大野の水で作った麦茶がおいしすぎるから他の茶が飲めない」と言うようになりました(活字にするとすごいな)。だから、ご飯もおいしい。ちなみに、地下水を利用する大野の水は、山々からもたらされています。「今日の地下水の水位」が示されるので、毎日水の状況を気にしながら生活します。この水を沸かしたお風呂がね、ほんとに、こんな気持ちいいのってぐらい気持ちいいです。水に抱かれているような感覚なんです(伝われ)。

まさか自分が移住するなんて。1年経って振り返ることなど【大野市】
大野市のギャラリー「COCONOアートプレイス」のワークショップで街歩きをした時の一コマ。商店街のお店の中でコーヒーを出してもらい、まったりしてしまいました。

そして、三つ目は「人」です。基本的には、誤解を恐れずに言うなら、一見人見知りでおとなしい人が多い気がします。でも、少し中に入っていくと、おしゃべり大好き、お世話大好き、冗談大好きな人にたくさん遭遇するようになります。私の店「HOSHIDO」がある五番商店街の皆さんも、道端で会うと立ち話に花が咲き、一人、二人と立ち止まって増えていって、輪になって話し込むなんてこともよくあります。また盆地の中の大野藩という特長からでしょうか、個人で商売をしている方がすごく多い(アバウトな表現ですみません)。私が所属している大野商工会議所青年部のメンバーを見ると、お医者さんと弁護士さん以外はほとんど網羅してるんじゃないかと思うほど、いろいろなジャンルの商売をしている方がいらっしゃいます。だからこそ、生活で困ったこととか、事業で相談したいことがあると、すぐに声をかけられる距離にあるのです。

あ、あと福井弁じゃないです。大野弁です。イントネーションが全然違います。個人的には石川県の加賀の方に方言が近い気がしています。

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大野市の五番商店街に移転した新生「HOSHIDO」です!遊びに来てね!

とまぁ、まだまだ大野のおもしろさは言い足りないのですが、なんだかんだと毎日を過ごしていたら、あっという間に1年が経ってしまいました。大野の2回目の冬を過ごす準備は万端です。reallocalでもぼちぼちと大野日記をお伝えできたらと思います。遊びに来られる時は、ぜひ声をかけてくださいね!(佐藤実紀代)

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