ミリタリーと音楽が交わる場所。自衛隊用品とオーディオの店・驗屋(あかしや)
連載
新栄商店街には個性的なお店が立ち並んでいます。一体、どんなお店があるのでしょうか?real local 福井では、実際に訪れて店主さんの声を聞いてみることにしました。
今回のお店は、「驗屋(あかしや)」さん。県内では珍しい自衛隊用品を取り扱っているお店です。でも、店内の奥へ進むと濃い音楽の匂いが……。さらに歌姫までいる!? 一体、どういうお店なのかお話を伺いました。
新栄商店街の動きについてはこちら↓↓↓
・新栄商店街のこれまでとこれから
https://www.reallocal.jp/105651
・新栄商店街を陰ながら支えて
https://www.reallocal.jp/106379
【目次】
・地元で自衛隊のお店を!
・心を癒す音楽と共に
・歌姫との出会い
地元で自衛隊のお店を!
2017年に新栄商店街で自衛隊用品の店「驗屋(あかしや)」をオープンして、今年で6年目。オーナーの白崎輝夫さんは、中学を卒業して15歳から退官する56歳まで、長年に亘り自衛隊として活動してきました。
20年暮らした東京を離れ、故郷である福井に戻ることになった時、友人知人もほとんどいなくなってしまった地元で、しばらく会社員として勤めましたが、中学の同級生に勧められて自分のキャリアを活かせる店を始めようと思い立ちました。
「当時の新栄商店街は今よりももっとシャッターが閉まっていました。でも、紹介してもらったこの空き店舗が、L字型の変わった間取りを見て、東京の下北沢にある店を思い出して、ちょっと試してみたいなと思ったんですよ。普通の間取りだったらやっていなかったでしょうね」と、白崎さんは当時を振り返ります。
「開店当時は、全然お客さんが来なくて最悪でしたよ(笑)。天井も雨漏りで浸水して、大変でしたね。でも徐々に自衛隊関連のイベントに出店で呼ばれるようになって、コロナ禍が落ち着いてからは毎週のように出店が続いているので、なんとかやってます」
サバイバルに特化した自衛隊用品だからこそ、防災にも使えるランタンや防寒の機能的なアパレル製品などもあり、普段の私たちにも使える商品がたくさん並んでいます。こうした商品は、元自衛隊である白崎さんだからこそ仕入れられるものであり、一般的には流通していない貴重なものです。
白崎さん自身も、毎年の台風や豪雪のような時には、災害派遣で出動していました。北陸地方には石川県小松市に航空自衛隊の基地がありながら、隣県の福井にはこうした関連商品を扱う店が少ないことからも、自衛隊の活動を発信したい気持ちもあります。
心を癒す音楽と共に
「自衛隊ってやっぱりつらい仕事が多いですからね。音楽は心の薬。当時の僕の心を癒してくれるのが音楽だったんです」と、白崎さん。「学生の時は外出するにも月に数回あるかないか。ギターの楽しさに出会い、習うようになって、学校でもバンドを組んでライブをやったりしましたね」自衛隊の仲間や先輩にも、音楽を趣味とする人が多かったそう。白崎さん自身も、東京の下北沢などを中心に様々な店によく通い、路上ライブや結婚式、パーティーなどでの演奏も経験しました。
よく見ると、驗屋さんのロゴのグルグルの形は、レコードになっているのです。福井に帰ってからは、一人で駅前音楽祭にも出ていたという白崎さん。店から漏れる音楽で、ふと高校生や学生も立ち寄ってくれるようになりました。
その時に現れたのが、当時高校3年生の横山彩華さんでした。「なんとなくお店に入って、レコードとかを聴かせてもらって、『どんな音楽が好きなの?』って聞かれた時に、フィッシュマンズって答えたんです。そしたら、白崎さんも知ってて、盛り上がって(笑)。おすすめのレコードを買って帰って、また遊びに来ました」
歌姫との出会い
以降、あかしやで白崎さんのギターに合わせて、店内で彩華さんが歌うように。その歌声に引き寄せられるように、彼女の声は新栄商店街で映画を撮影していた監督の目に止まり、短編映画のワンシーンを飾るという驚く展開をみせました。
「自分のキャリアである自衛隊と大好きな音楽の店を開いたことで、まさかこんなふうな出会いが生まれるとは思ってもなかったですよ。彼女の歌声で、僕も予想外の体験をさせてもらってます。またこれからの活躍を応援していきたいと思ってます」
好きな音楽は、世代を軽く飛び越えてしまう。2人の会話を聞いていると、そのことを強く感じます。まさか、自衛隊用品と音楽が結びつく場所があるとは驚きの空間ですが、それも白崎さん自身の個性をきちんと表現できているからではないでしょうか。
同じく新栄商店街にあるココットにて、12/16(土)19時からライブを予定しているそうです!唯一無二の歌声を聴いてみたい方は、ぜひお越しください!