移住者インタビュー/DESIGN STUDIO K 北村洸さん
インタビュー
宮城県石巻市出身の北村洸さんが「DESIGN STUDIO K」を、この山形のまちで立ち上げたのは2019年のこと。2021年には法人化し、いま、Webサイトやアプリのデザイン・制作という分野でさらなる飛躍をはかります。
北村さんはなぜ山形市というこの地を選び、暮らし、そしてじぶんの手であたらしい生業をつくったのでしょうか。その想いをお聞きします。
デザイン会社のアルバイトとして
Webデザインの独学をはじめた
山形に来たそもそものきっかけは、東北芸術工科大学への編入学でした。在学中、市内のデザイン会社でアルバイトすることになり、そこでWebデザインの知識やスキルをゼロからじぶんで獲得し積み上げました。やがてそのアルバイトが主となり、行かなくなった大学を中退し、そしてそのままそのデザイン会社に就職しました。
働くうちに考えたのは、この先どうキャリアアップしていけるのか、ということ。もっとじぶんを伸ばしていきたいし、成長させてもいきたい。そう思って山形のまちを見渡してみたとき「Webデザインに強い会社」がほとんど見当たらず、「じぶんが働きたいと思える場所がないかもしれない」という感覚を抱きました。そしてそれは後々までじぶんのなかに強く残りました。
それでも「山形に暮らしていたい」から
山形で転職し、そして独立へ
仙台や東京で働く友人たちから「おまえのスキルなら東京には仕事がたくさんあるよ」と助言され、「県外に出て働こうか」と考えた時期もあります。でも、山形のまちは「じぶんの肌に合っている」と感じていましたし、蕎麦は感動的にうまいし、「お米ってこんなに甘いの?」と衝撃を受けたくらいごはんがおいしいし、温泉も大好きだし。じぶんとしてはそんな山形にずっと暮らしつづけたかったので、ずいぶん葛藤しました。
そんなときに「Web部門を強化したいから来てくれ」とお声がけをくださった地元の印刷会社があったので、そこに転職しました。若輩者だったじぶんに色々とチャンスをいただき、それこそ見積もりから制作、納品まですべてを任せてもらって、たくさんのことを学ばせていただきました。そうしてひと通りのことがやれるようになり、また「じゃあ次は?」と考えるようになりました。
Webという業界はつねに新しいことが起きていますし、じぶん自身もつねに新しいことを学んで成長したいという想いもありました。そう思っているうちに、「次」はどこかに転職するのではなく、独立してじぶんの腕を試してみたくなって、挑戦することにしました。
常に成長していきたい
山形、東北を盛り上げたい
おかげさまで、それから現在に至るまで仕事を続けることができ、依頼をくださるクライアント様や、じぶんたちを認めてくださるパートナー企業様が増えてきたように思います。Web制作の世界ではまだまだシステムばかりが優先されることも多いなか、優れたUIや表現といったデザイン力で勝負できるのがじぶんたちの強みかと思っています。
数年前に法人化し、いまはデザイナーやエンジニアを含めスタッフ4名という体制で運営しています。これからももっと「成長したい」と望んでいますし、さらには「ここで成長したい」と想って一緒に働いてくれるデザイナーやエンジニアを受け入れていきたいです。かつてじぶんが悩んだように「山形に住んでいたいと望んでいるのに職がないから県外に出て行かざるをえない」という若い人がいるのならとても残念なことですし、そうならないような働く場を提供できるようなじぶんたちでありたいと思っています。
デザインやクリエイティブで目立つ仕事をする会社はまだまだ東北には少ないですし、いい人材ほど東京に集中してしまう状況はいまだに続いていると思います。けれど、なんとかそこを突破して、高い競争力を持って東京にも負けない高いレベルの仕事をしっかりとやる。そんな仕事を通して山形を、東北を、もっと盛り上げていきたいと思っています。
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Text: Nasu Minoru
Photo:Watanabe Zen(Strobelight)